六甲山国際写真祭 2017 アフターリポート『WS ポートレート写真のすべて』/ 竹谷恵子

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六甲山国際写真祭 2017 アフターリポート『WS ポートレート写真のすべて』/ 竹谷恵子

六甲山国際写真祭第3回のポートフォリオレビューにレビューイとして参加させていただきました竹谷 恵子です。

今年2017年、写真祭のポートフォリオレビューにはいまだ余裕なく応募もできませんでしたが、ワークショップ『ポートレート写真のすべて』に参加しました。講師は Kuala Lumpur International Photoawards (KLPA)のディレクター、Steven Leeさん。KLPAは前回レビューイ参加した時に知った写真祭でしたが、外国のことだし自分にはあまり縁がないかななどと思っていたのですが、その後、Stevenさんの活動や周りの写真家の方々の活動をSNSなどで知るうち、KLPAはポートレートに特化した写真祭&賞だということを知り、気づけばいつも主に人を撮っている私には、Stevenさんのワークショップは自分には必須だと思い参加しました。

Stevenさんの講義は、ポートレートの歴史的な背景として中世の肖像画の説明から始まり、そこから写真機の登場によってポートレートが人々の中にどのように浸透していったかということ、次に近代から現代に至る主だった写真家とそれらの作品からポートレートがどのように写真史の中で変遷を遂げていったかという流れを説明下さったのち、近年のKLPAでのたくさんのファイナリスト及び受賞者の作品を見せて下さり、特に注目度の高い作品の説明、またそこから現代に求められるポートレートとは何かを受講者と共にさぐるといった具体的でリアルな内容でとても勉強になりました。ワークショップは4時間近く。休憩を挟んで参加者の持参した写真のレビューの後、最後はみんなでポートレートの実践をするという内容の濃い最高に楽しい授業でした。

私がこのワークショップを受けた大きな理由に、3年前、第3回のレビュー参加後、そもそも何も写真の知識のなかった私は、その後渡部さとる先生の塾に入れて頂き、写真の基本的知識に加え、同時に世界における写真はアートの文脈の流れの中で評価されたり存在しているということを知り、それはもう天と地がひっくり返るようなショックやらなにやらの連続であっという間に3年が過ぎたのでした。そして最初にレビューを受けてから3年経った今、そもそも自分が撮っている人々の写真は「ポートレートとして成立しているのかどうか」ということを、今更ですが専門家の意見を伺いたかったのと、他の参加者と同じように少しでも良い写真を撮りたいという気持ちがムクムクと胸に渦巻いていたからです。

ワークショップの中で印象的だったのは、参加者から出た質問に「どのような写真が評価されるのか?」という具体的な解答を求めるような質問もあったと思うのですが、Stevenさんの一貫した答えには「このような作品が良いという解答はない」というもので、それは確かにこれこれこう、と言葉で具体的に形容できるものではないとわかりました。
しかし私は、ファイナリストや受賞者の作品に一貫したものがあることをたくさんの優れた作品を見て理解できたようにも思います。優れて強く印象に残る写真とは、美しく説得力のある写真であり、説得力とは何かと思うに、印象が強く存在意義のあるポートレートだと思うのです。それは「その人がどんな人でどんな生活背景を持ちどんな生き方をしているのか、またそこに他の人々と共有する社会的な背景がどれほどあるか」ということではないかと感じました。強く印象に残るポートレートとは、単作であれ連作であれ、そのような個人的なドラマに加えその延長線上にある社会的な実情や問題が作品の中に内包されており、それがリアルな説得力に繋がるように感じました。

さて、ワークショップ中、そのような優れた作品を多数見て、その後自分のレビューになると、当然ながら自分の写真に何が足りないのかというのが一目瞭然で打ちのめされるわけなのですが、しかしStevenさんは、未熟な私の写真の中にも私が表現したい欲求のようなものを汲み取って下さりアドバイス下さいました。そこで帰宅後、少し時間はかかったものの、無駄に落ち込むことからも脱却でき、次に何をどのように目指して自分は進めば良いのかという目の前のことが見えたような気がしています。(遠い先のことはわからなくても、とりあえず、今何をしようかと決めることができただけでも十分学びの成果を得たと私は思っています)

今まで前回のレビューイ参加の学びを元に、実践してきたつもりですが、時が経ち自分も変化してくる中で、常に自分はこれで良いのかという不安や疑問とともにいてしまうわけですが、そのような時にこのワークショップに参加できたことは自分にとってはジャストだったと思いました。

六甲山国際写真祭は、すでに完成された作品を持つ写真家には次の行くべき場所を見いだせるということが最も大きな利点だと思いますが、同時に、私のような経験が浅く完成した作品を持っているとはまだまだいえない写真家にも、専門家の目から広く世界の視点に立ち俯瞰したアドバイスと教育の機会を与えてくれる稀有な場所でもあります。

とはいえ、Stevenさんのくれたアドバイスは今の私には非常に敷居の高いものだったので、今後よりいっそう楽しみながら励み挑戦できる自分になっていきたいと思います。
「ポートレートのすべて」は今の自分に必要なワークショップでした。行ってよかった。その一言に尽きます。ありがとうございました。

2017-09-06T17:00:28+00:00

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