RAIEC KOBE OFFICE

B1F 2-4-8 kaigan-dori Chuoku Kobe JAPAN 6500024
Gallery TANTO TEMPO
+81 78 335 6510
info@rokkophotofestival.com

650-0024 神戸市中央区海岸通2-4-8 B1F
Gallery TANTO TEMPO内
078-335-6510
info@rokkophotofestival.com

事前審査講評

By | 6月 8th, 2017|2017, Mirage Gallery, Mt.ROKKO, NEWS, Organization|

2017年の写真祭ポートフォリオレビューの事前審査が終わりました。現在結果をそれぞれの写真家に送り出しているところです。 今年の作品は全体として低調でした。作品に芯がなく、何を伝えたいのか、どう表現し、誰に伝えたいのかが明確でない作品が多かったと思います。ただ小ぎれいな写真を並べたり、美しくもインパクトもない写真を連ねたり、テーマやストーリーが定まっていない作品が例年より目立ちました。ステートメントも、内容、書き方、全てが不勉強で、作品を支えるものとはとても思えないものが多かったと思います。とはいえ、現在の日本で写真表現をどう学び、どう準備を進めていけばいいのかわからない、という写真家が圧倒的に多いことも確かです。写真家ばかりに責任を押し付けるわけにはいかないと思います。 六甲山国際写真祭も今年5年目を迎え、これまで数多くの優れた写真家を目撃し世界に送り出してきました。ここにきてこのような質の低下を迎えたことをどう考えるべきなのでしょうか。しかし、実際こういう事態が起こることは十分に予想されたことです。 ポートフォリオレビューという言葉が一人歩きしているのか、ポートフォリオレビューが作家としてのチャンスを作り出すものであるとの認識がない、おそらくなんらかの認識不足か誤解があり、そもそも写真の勉強をしているのか、他者の作品を見て評価したり自分がどう評価されるのだろうかなどと考えたことがあるのか、そもそも作家であると宣言できる資質や経験が圧倒的に足りないわけで、おそらくポートフォリオレビューを受ける以前に写真家という職業や作品という言葉の理解、すべてについて理解しているのか疑わしい人が応募してきています。もちろん、ポイント上位にいる人たちは経験豊富で美しい作品もあり、それがせめてもの救いです。作家になるということがいかに大変か理解しないままこのような場所にやって来ると、結局は傷つき悩むだけです。 その原因について考えてみると、一通り優秀な作家たちが国内のレビューを一巡したと考えるべきなのか、日本の写真家層の薄さの問題なのか、ポートフォリオレビューのシステム自体に不信感があり賢い写真家たちが回避しだしているのか、写真祭そのものが十分に機能していないのか。どれも理由としては正しいと思います。しかし、その理由を探る前に、本来的なポートフォリオレビューなどというシステムがこの国においては、一部の写真家を除けば、まだまだ大げさで不要なシステムなのではないかと考えざるを得ない気がします。そもそも、力のある写真家はレビューシステムには乗らず自分で道を切り開いていくだろうし、国内のコンペなどからギャラリーなどが総じて抱え込み売り出す作家もいるでしょう。直接海外コンペに踏み出して羽ばたく人もいると思います。ポートフォリオレビューにチャンスを求める作家はある意味で限られていて、いずれいい作家が不在になるだろう、という予測はずっと以前からありました。ポートフォリオレビュー界隈に写真家を集めるためには、レビューが成果を出し続け、名前の大きな海外レビュワー(魅力的なプロジェクト)を揃える必要があるわけですが、作家、レビュー、システムすべてがあるレベルで機能しないと、いい作家を集め世界に届けることなどできるわけがありません。運営サイドにとってもこれらの悩みがあるばかりでなく、財政的圧力も大きいため、ポートフォリオレビューを開催することが必ずしもいいと感じているわけではなく、むしろ闇雲にレビューを続けてもあまり意味がないように感じはじめています。六甲山国際写真祭が高名なレビュワー(プロジェクト)ではなくどちらかというと教育的な専門家や写真祭イベントを呼んでいるのは、作家とプロジェクトの間を埋めやすいからです。実現しにくい大きなプロジェクトよりも、手が届きやすく経験値を上げられるプロジェクトを呼んでいるのも、こういった現実や予想を踏まえてのことです。 では、作家は準備が整った結果としてこういう場に参加するべきなのでしょうか。答えはその通りでもあり、その通りではないとも言えます。つまり、国内には写真家として教育を受けたりチャンスを掴む場所があまりにも少ないという実態もあるのだと思います。その結果、ポートフォリオレビューに対する誤解が生じているということもあるのかもしれません。本来、ポートフォリオレビューは作品に対する感想を求めたり、準備が整ったかどうかを誰かに判断してもらうためのものではありません。不幸なことに、この国には写真家の準備が整ったかどうか判断して世に送り出したり、留めたりするシステムはありません。写真賞やレビューの一部、ギャラリーなどがその一端を担っているだけで、チャンスが少ないばかりか系統的なアート教育を担う機関などはほぼありません。アンケートでも、高いアート教育を受けた人は回答者180名全体の7%以下、Review Santa Feなどでこれまで出会った写真家のアートなどの学位保有者が75%を超えるアメリカの実態とはあまりにもかけ離れています。準備を整えるためには自学自習ではまず絶対に学べない表現やストーリーの組み立て、編集の大切さを豊富な経験のある指導者に教えを請うべきですが、経験豊富な指導者もおそらく国内にはわずかしかいないでしょう。先に行なったアンケートでも、自身が優れた写真家になれると信じている方が非常に多かったのですが、一方で同じ回答者が教育のなさを問題とし、どう表現すればいいのか悩んでいる実態も明らかになりました。この矛盾したアンケート結果が国内の写真全体の雰囲気を作り出していることは明らかです。 事前審査の応募状況をみて、今年の写真祭では、従来の1対1、20分のポートフォリオレビューは行わないことにしました。今年は例年より少ない20名の国内写真家と10名余の海外写真家がレビューを受けますが、無理に進めてもチャンスが訪れないばかりか写真家、レビュワーの双方を疲れさせてしまうでしょう。そこで、レビューよりもグループワークなどの方法でレビュワーと写真家が交流し学びを得られる全く別の場を作ろうと考えています。 さて、それでは事前審査に通らなかった写真家たちは一体どのように再挑戦をすればいいのでしょうか。僕は、それはもう猛烈に勉強するしかない、と答えます。教育を受けていない人たちは、教育を受けている人たちより明らかにスタートラインが後方にあります。その間を埋めるためには闇雲にチャンスを求めるより、系統的な教育を行なっているワークショップなどを探してアートの理解を深める必要があると思います。六甲山国際写真祭でも、上記の実態を踏まえ、附属のMirage Galleryと東京で系統的なアートの基礎、表現を学べるワークショップを順次開催予定です。これらはいくつかの世界的なワークショップからシステムごと呼び込んで、国内向きに調整して始めます。とにかく知識を蓄え、他者に作品を見せ、そのフィードバックから作品を作りこまないとチャンスはないと思います。逆に、系統的な知識の集積、社会問題への視点、フィールドワーク、ストーリーテリングの手法、コミュニケーション能力の開発、オリジナリティーを意識して写真に取り組むなら、チャンスを掴むことはさほど難しいことではないと思います。 来年度以降の六甲山国際写真祭は、おそらくこれまでの写真祭とは全く異なったワークショップ中心の写真祭にシフトすると思います。ポートフォリオレビューについては今年のレビューの状況を踏まえて存続させるか廃止するか慎重に検討しようと考えています。もちろん、系統的な教育に参加してくる写真家には、最大限のチャンスがあるような仕組みも検討します。 (イメージは、現在準備中の写真教育教材"I am Steven"の1ページです。システムとしての教育にサポートされた左と、教育のない状況から他者を押しのけて上ぼらなければならない右との状況の違いを示しています)  

六甲山国際写真祭2017ポートフォリオレビュー参加写真家募集中!締め切り延長しました。5月14日まで。

By | 4月 30th, 2017|Mt.ROKKO, NEWS, Organization, Portfolio Review, RAIEC, 未分類|

六甲山国際写真祭2017のポートフォリオレビュー参加写真作家の募集が5月14日まで延長となりました。応募数はほぼ例年通りですが、全体的に作品作りの質が低く、準備のできていない方が多いのがその主たる理由です。このままポートフォリオレビューを開催できるのか、主催者としてはその実施を考えざるを得ない状況です。そこで、今回の写真祭はポートフォリオレビューを行いつつ、例年に増してワークショップ主体で写真家の教育的プログラムを実施することを検討しています。現在、すでにポートフォリオレビューをお申し込みの皆さんはどうぞご心配なく。審査結果にもよりますが、レビューは例年通りのレベルのレビュワーチームで確実に実施します。しかし、これまで行ってきた1対1の20分対面システムは多くの方にはオーバースペックです。これは参加者、レビュワー双方にとってとても負担であることがわかっています。そこで、ポートフォリオレビューはまずオープンポートフォリオビューイングの形式で実施します。その後、参加者をグループに分けて、3つないし4つのレビュワーチームに振り分けて、いくつかの教育的プロセスから写真家全員の作品を全員のレビュワーがもう一度評価・アドバイスする形式をとることを考えています。もちろん、個々にプロジェクトにつながるよう、連絡先の交換や売り込みは可能です。また、ワークショップとしての費用の上乗せはありません。ワークショップの内容は、グループディスカッションを中心に、「写真家に必要な知識と行動(グループ)」・「ストーリーテリング(グループ)」・「美しさとインパクト(グループ)」・「作品を撮影してみよう(全体)」・「成果発表会(全体)」と盛りだくさんでいこうと考えています。ナイトセッションでは、さらに写真のテーマなどについても話し合う予定です。最終日27日には海外のレビュワーから与えられた個別のテーマにからんで一般募集のワークショップも実施します。 お急ぎで準備された方には申し訳ございません。まだ参加を迷われている方は5月14日までにエントリーフォームよりご登録ください。 たくさんの皆様の六甲山写真コミュニティへのご参加お待ちしております。

Review Santa Fe 2016 -状況と判断Part1

By | 11月 7th, 2016|2016, Mt.ROKKO, Organization, Portfolio Review|

Review Santa Feに来ています。 今年のReview Santa Feは通常6月に開催されていたのが、今年は11月開催になりました。主催者によると、夏休みに突入する6月に比べると11月はオフシーズンということもありコストが安い、とのことですが、パリフォトなどの期間を控えてこの時期に開催することを不思議がっているレビュワーたちも多くいたことから、来年はどの時期に開催されるのか不透明感が漂っていました。アメリカといえば大統領選挙を間近に控えて、いつもと違って少しそわそわしている街の様子も感じ取ることができました。 Review Santa Feの特徴は、アメリカの地方都市のローカルな、コンパクトな写真祭という位置付けですが、美術館、出版社、ギャラリーなど50名を超える強力なレビュワーが集まっての強力なレビューで、そこにワークショップ、展覧会を加えた写真祭の形式を作っていて、世界中からアーティストたちが集まってのお祭りです。2010年に初めてここを訪れて主催者をインタビュー、2013年以降4年間にわたって僕もレビュワーとして参加してきましたが、毎年集まってくるアーティストの多様性には驚かされます。 4年もの間毎年参加していると、レビュワーのなかでも次第に知り合いが増えていくのが面白いのですが、六甲山にも多くのレビュワーをここから誘っているので、ここでは六甲山はとても有名です。多くの人に声をかけられ、六甲山国際写真祭のことを聞かれます。日本人のアーティストを探しているので紹介してほしい、レビューに呼んでくれなどと声をかけられるのはとてもありがたいことです。2-3月にかけてMei House Photography Workshopを計画しているのですが、そこに誘う予定の専門家もきっちりと見つけることができました。 今年のレビューには4名の写真家が六甲山国際写真祭を経由するかその関連から選ばれて参加しており、それに加えてNYから自力で参加した日本人を合わせると5名の写真家が選ばれていました。Review Santa FeのLaura Pressley氏がかねてから表明していた通り、相互の交流を深めるという意思を強く感じました。もちろん、審査を経てのセレクションなのでアドバンテージが与えられているということは決してありませんが、六甲山国際写真祭経験者だからこそReview Santa Feに応募していくという流れができていることを反映したものだし、それこそがReview Santa Feが六甲山国際写真祭を重視する狙いだと考えられるので、今後も交流は深まっていくように思います。 一去年のReview Santa Feに参加していたEvan Andermanという写真家が、昨年の六甲山国際写真祭にプロジェクション作家で参加してもらったのですが、新たにReview Santa Feのボードメンバーになっていたのは嬉しい驚きでした。また、2013年に初めてレビューをした若い写真家たちがReview Santa Feのスタッフで戻ってきて再会できたのはとても嬉しいことでした。 また、今年はReview Santa Feの創始者の一人で、現在はSanta Fe Photographic Workshopを主催しているReid Callanan氏の表敬を受けました。同じ「山」の写真祭として、そしてコンパクトな写真祭の良き先例として相互に助け合っていく事を確認しました。 写真の傾向としては、今年は若干パーソナルワークがやや減少し、ドキュメンタリー、コンテンポラリーアートは例年通り、建築写真などを含めて風景写真などが若干増えた印象となりました。参加者の年齢は20代はすくなく、30代から40代を中心に、50代から75歳までの幅広い年齢層が参加していました。ひょっとしたら50代以降の方が多かったかもしれません。国籍はアメリカを中心に、日本、オーストラリア、ベルギー、中国、ロシアなどから参加者がありました。対するレビュワーは、美術館、ギャラリー、出版社に加えて、ウェブメディアなどが増えているのが時代を映していて面白いと思いました。ニュースウェブメディアとしては、ハフィントンポスト、Wired、Times、National Geographicなどが参加していました。ただ、一部のメディアは同じ組織から複数のレビュワーが来ており、それらがレビュワーリストで重複して不満を訴える状況もあったようです。 僕のレビューは例年通り全ての枠が埋まっており、嬉しい限りなのですが、場外で枠を引き当てられなかった人たちから盛んに声がかかる状況もこれまで通りでした。レビュー参加者は皆、六甲山のことやギャラリーのことをよく研究していて、写真祭参加、あるいはギャラリーでも展示が叶うことを希望しての応募で、売り込み攻勢はすざましい勢いを感じました。 僕はギャラリー向けと写真祭向けのリストをもっているのですが、今年もレビューした27名の写真家のうち15-17名をリストアップしました。特に六甲山のメインゲストクラスのリストに4名ばかり名前を追加できたのは良かったと思います。いずれも、教育的観点から取り上げたい作品で、ローカルなコミュニティーに起こった問題を客観的に取り上げている優秀な作品で、Review Santa Feの展覧会でも取り上げられていました。   日本人参加者の評価などについては、2016年11月27日の報告会後に記事にする予定です。

写真祭を終えて

By | 8月 30th, 2016|2016, Experience, Mt.ROKKO, Organization, RAIEC|

2016年の六甲山国際写真祭がGallery TANTO TEMPOのMichel Huneaultの展覧会を残し、全日程を無事終えました。Gallery TANTO TEMPOの展覧会は9月25日までです。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 六甲山国際写真祭の開催は今年で4年目です。2013年の初開催の準備不足の写真祭をご存知の方は、おそらく写真祭が進歩していることに驚かれたと思います。六甲山上の野外展覧会は集客の難しさから今年は実施せず、神戸市内に展覧会をあつめ、山上ではポートフォリオレビューと参加者向けワークショップのみを行うことにしました。山上ではポートフォリオレビューのほか、BBQなどのリクリエーションやナイトセッションというディスカッションを行い、コミュニティーのつながりに必要な議論を促すイベントを開催しました。28日にはオープンポートフォリオビューイングを開催し、思いがけない数の参加者があり、Lucky Photo Marketの抽選会もあり大変盛り上がりました。Lucky Photo Marketでは、メインゲストをはじめ協賛出版社・写真集ディストリビュータからもオリジナルプリント、プリントつき写真集を無償で提供いただくなど、羨ましくなるようなものばかりで、提供者本人がドローに登場して興奮に溢れた抽選会でした。おかげで、例年をはるかに超える資金獲得ができました。ウェブからチケットをご購入いただいた方にも作品が当たったのは良かったと思います。ご支援をいただいた方々に感謝申し上げます。 六甲山からは、参加者がそれぞれの思いを胸に世界中のイベントや展覧会、写真集出版の機会を得ていることは素直に喜ばしいことだと考えています。今年も、世界中からアーティストやレビュワーが参加され、準備のある程度整った写真家が多かったことから、レビューはそれぞれに成果があったと思います。国内のレビュワーも変更し、海外からも新しい新鮮なレビュワーを呼んだことから、具体的な成果が次々と報告されていて、かつてない規模で世界に羽ばたいていく可能性を秘めたレビューになりました。 六甲山国際写真祭がどのような場所か、おそらくは参加されたか関わった方にしかわからないわけですが、写真とはなにか?写真で何をやりたいのか?なんてことを真面目に話し合う場所に自然になってきているし、六甲山はやはり写真家に覚悟と準備を促す場なのかなと考えています。RAIECがやりたいことは、ある意味ゆるやかな写真をつかった社会変革です。アーティストサポートや教育が主ではあるけれども、その目指す先には写真を通じて社会に参加する姿勢を求めたり、プロジェクト自体を動かせる人をリクルーティングという観点もあるのです。そしてこれは、さまざまな分野で欧米やアジアから遅れをとるなかで、国内の写真の状況がかなり切実な状況だというところから導き出されています。なぜなら、写真界だけで見ても、こういったプラットフォームに運営側で参加したいと思うひとが現れない限り、純粋に写真関係者のみで国内発の世界に通用する枠組みをつくることはできないからです。海外の多くの写真イベント主催者は、もともとは皆写真家です。そういう人たちが写真家の事情を訴えて社会につなぐ活動をするからこそ、写真家や写真界がまとまることができるのです。 参加者みなさんの経験や作品を拝見していても、ほとんどの方が写真の専門教育を受けておらず、教育を受けていないことでスタートラインのはるか後方から走らなくてはならない状況にあります。もちろん日本にもいろいろな枠組みがあって、それぞれが役割を担ってはいるのですが、写真とは何か、写真で何を誰に伝えたいかという問いに立ち帰れる場所は実のところ一つもないと思います。無数の枠組みに知らず知らずに巻き込まれて、そのためにいつまでも写真にお金をつぎ込まざるをえないのです。写真を続けることはとても大切なことです。皆さんが懸けてきたことをあれこれ論評するつもりはありませんが、写真の続け方を知ることも大切だと思います。 世界中、また日本国内でもポートフォリオレビューが盛況な今、多くのレビューに世界中の写真家が参加してきます。また、ワークショップも写真賞もどこの国にもたくさんあり、写真家にとっては機会が増え喜ばしい限りなのですが、運営サイドからみているとそれらがどういう意図で形成されているのかを知るにつれ、やはり写真の世界を体系的に知っておかないと世界を渡り歩くことはできないと思います。 成果がありそうな人も、あまりいい評価が得られなかった人も、それぞれの評価で焦ることはないと思います。海外デビューなんていうのはプロセスのひとつであってゴールではないし、そこからもっと登っていきたいと願うことは悪いことではありませんが、実際に駆けあがれる素養と体力、度量、図々しさがある人はそんなにいないはずです。成果があるといっても、一度海外につながっただけではなんとも言えません。海外に出かけるだけでも、会話ができないようではふうふう疲れますし、その後はより厳しいスクリーニングにかけられ、今回の参加の何倍ものアイデア、体力、資金が必要となるでしょう。 そういったことを含めていくと、六甲山国際写真祭が果たすべき役割はとてもよく見えてきます。RAIECではこれからもワークショップを中心とした写真祭作りを目指していきます。今後もご支援をくださいますようお願いいたします。 最後に、今回の写真祭を一緒に作り上げてくれたRAIECスタッフ、ギャラリー関係者、参加者、レビュワー各位に深く感謝いたします。 RAIEC 杉山武毅 ※レビュワーから頂いた言葉を記しておきます。 写真・写真家について 世界でも通用する人は少なからず存在している 編集は過去2-3年よりずっと良くなっているし、ステートメントも的を得たものに改善されていて驚いている。準備会をやったようだが、着実に成果が出ている シリーズの枚数が多すぎる人が多かった。20-25枚でひとシリーズを区切るべきだ 2週間仕事、1日仕事が幾つかあった。長期的視点、社会的プロジェクトをもう少し見たかった 運営について おそろしく統率の取れた真心のこもった運営だった ロケーションが最高で、何度でも訪れたい 小さなフェスティバルでいけばいい ロケーションから考えるとワークショップ型の写真祭にしていくのがいいだろう 短い日程にイベントが多すぎ、トークも長すぎる。参加者が疲れている 疲れたが、充足感があった  

Festival Official Statement / 写真祭開催に寄せて

By | 8月 25th, 2016|2016, Eng, Experience, Mt.ROKKO, Organization, RAIEC|

When I started collecting photographs in 2006, I was just a collector not a photo person. I just wanted to stand beside art in my small territory. When I started a photo gallery in 2008, I had no idea how to deal with selling photos. I tried to learn from professionals, but most of them in Japan had no enough information that I needed. There were legendary photo galleries here in Japan, but it was not the way I really like to follow, they all looked like small pieces of pies for me. So I learnt how to proceed by a French artist. When I visited Arles for the first time, I felt everything was so over scaled than I expected and I got some sense of fear. I felt myself still in grass covered ground. So I started exploring photography. I visited [...]

準備会終了いよいよ本番へ

By | 7月 24th, 2016|2016, Experience, Mt.ROKKO, Organization, Portfolio Review, Support, Workshop|

先週末に始まった六甲山国際写真祭ポートフォリオレビュー参加写真家たちのための準備会は、今日で全日程を終えました。総勢28名、参加者総数の実に7割にせまる参加者数でした。参加された写真家の皆さん、ご苦労様でした。   準備会の意味は、六甲山国際写真祭の公式ブログにも掲載していますのでここでは書きませんが、やはり開催しておいてよかったと思います。日本のポートフォリオレビューの開催意義まで掘り下げるといろいろ問題点が浮き彫りになるわけですが、その最たる問題は写真家の不勉強と準備不足に尽きます。それはアート教育システムのなさ、歴史的写真の知らなさ、発表現場の緊張感のなさ、ワークショップの乱立、国内指導者層の意識の低さ、ばらつきの大きさ、マネタイズ主義のイベントの多さ、自分が参加する写真システムへの参加意識の低さなどに加えて、絵作りのレベルの低さ、テーマの弱さ、取材や掘り下げのなさ、流行りに弄ばれる意志の弱さなどもうどうしようもなく問題点だらけです。うわついた写真、薄っぺらで不十分なアートの装置、他者への心配りのなさ、取材のないドキュメンタリーとまで書くと、もうどうしようか、レビューなんてやめてしまおうかとさえ考えてしまうのですが、六甲山としては、欧米アジアの人やシステムとの違いは織り込み済み、蹴落としていくのがいいのか、拾い上げて教育するのがいいのかで考えた場合、はっきり後者だと言い切れるシステムを作り上げようとの意思表示をしたわけです。六甲には開かれた写真コミュニティーがあって、誰もが参加でき、努力次第ではチャンスがある、という主催者の写真祭開催意図は、参加者が汲み取ってこそ生きるわけで、参加者の皆さんは一層の努力をして準備に邁進してほしいと思います。   実際、参加者の皆さんの作品は事前審査を通過したものであっても皆が決して優れているというわけではありませんが、準備不足な人たちも編集次第、写真の構造の持ち方、ちょっとした軸を変えることで良くも悪くもなるわけで、その良い方向に整える努力を怠らなければ、決して悪い無意味と弾き飛ばす必要はなく、むしろ良い点にストーリーをフォーカスできるということも学んだと思います。もちろん、通過者の半数は何かしら可能性を秘めているし、真の表現者も少なからず参加しています。 一方で、写真で何を目指したいのか、という根本的な問いかけはずっと問い続ける必要があるな、というのが今回の準備会の印象です。皆さん、目標が漠然としているか、そこまでの欲求がないか、高望みをしているか、自分のレベルにフィットした目標がないこともわかりました。六甲山国際写真祭のレビュワーにはギャラリストは少数です。ほとんどが写真祭、キュレーションメディア、キュレーター、編集者、出版社です。そしてそれには読みと計算もあるわけです。現代の写真ポートフォリオレビューでは、ギャラリーの取り扱いに至るケースはほとんどないと思います。欧米でもグループ展などに取り上げられるケースはありますが、契約に至るような取り扱いを受けることはごく稀です。一方で、活況なのが写真祭、写真ブログやキュレーションメディア、出版社などです。これらは比較的プロジェクトになる可能性がありますし、それらは決して閉じてはいないので、人のつながりを生みます。オーディエンスも増えるので、結果的にどこかにストンと落ち着く可能性があります。また、いつも書くように、写真がいいという理由だけでプロジェクトになるのではなく、人と人のつながりからプロジェクトになるということを忘れないでいてほしいと思います。誠実にプロジェクトを作ってさえいれば、小さな始めたばかりでの作品でも良いプロジェクトに発展させることは可能なのです。 さあ、本番まであと少し。準備会に参加された方もされなかった方も、頑張って準備を進めてください。

ポートフォリオレビュー準備会始まりました

By | 7月 16th, 2016|2016, Feature, Mt.ROKKO, NEWS, Portfolio Review, RAIEC, Support, Workshop|

今日は、六甲山国際写真祭2016に参加されるポートフォリオレビュー参加者のなかから希望者に対してポートフォリオレビュー準備会と称して、簡単なレクチャー、ポートフォリオレビューのロールプレイ、そして全員の方に実際にポートフォリオレビューを実施しながらレビューに臨む際の注意点などをお伝えしたり、写真の簡易編集を行って選ぶべき作品の順序やストーリーの研ぎ方、またどのサイズのプリントを用意すべきか、プリントのクオリティーをどこまで高めるかなど、基本的な対策と称して3時間にわたり参加者と交流しました。これは神戸会場が明日もう1日、そして来週末東京会場でも、参加者全体の実に3/4の方たちに有料で実施しています。 ポートフォリオレビューは、言ってみれば口頭試問のようなものですし、参加した経験がなければどれくらいのストレスがあり、どう進めていっていいのかわからないという実態があることが過去3年間の経験からわかっています。そこで、少しでも経験値をあげ、参加者の参加への不安を取り除きながら、写真の意図が伝わるように事前に準備を整えたほうがいいのではないか、と企画したところ、思わぬ数の参加者となりました。 せっかくいい写真を作っていても、プリントが悪いとレビュワーの評価にはつながりませんし、意味不明なステートメントであったり、訴えたいポイントがボケた文章だったりすると、それだけでチャンスを逃してしまいます。一文を付け加えるだけで社会的な要素を演出したりできることを、今日の参加者たちは実感したと思います。かなり手ごたえがあったので、運営サイドに時間的な余裕があるかがポイントにはなりますが、六甲山国際写真祭のレビュー自体の質を高め特徴のあるレビューにするためにもこの準備会は必要なのかな、と考えています。 そこまで実行組織がやるべきかどうかは正直悩むところではあるのですが、今日の参加者の振り返りにもあったように、緊張から言いたいことが言えない、緊張がほぐれ楽しくなってきた頃にはレビューが終わってしまう、というこういった対面のコミュニケーションが不慣れな方が多いことも現実にはあるわけで、決して安くないレビュー費用に対して効果が得られないようなレビューとなってしまうのはとても残念だという思いもあり、開催することにしました。また、国内のみならず海外のレビュワーたちに対しても、よく準備されているレビューというのは疲れず、楽しく、コミュニケーションが取りやすく、先のプロジェクトにつなげやすいというメッセージでもあるはずです。海外のレビューを数多く経験してきた僕としては、作品が同じレベルではなくても、コミュニケーションからつながりを作り得ることを知っていますので、その技術やアイデアを参加者に伝えることで運営そのものがスムースになるのなら、参加者も六甲山国際写真祭自体も評価を高めることができる、という読みもあります。 残り3日。参加者の覚悟に訴えてレビューの質を高める準備をしていきたいと思います。    

Kosuke Okaharaさんの仕事 – Main Guest Photographer

By | 7月 14th, 2016|2016, Eng, Mt.ROKKO, NEWS, Photographer, Photography|

KOSUKE OKAHARA “FUKUSHIMA FRAGMENTS” Aug 20 Sat – 28 Sun 2016 10:00 – 19:00 (closed on Monday) C.A.P. HOUSE 4F WEST GALLERY 岡原功祐 「フクシマ・フラグメンツ」 2016年8月20日(土) – 28日(日)10:00 – 19:00(月曜休館) C.A.P. 芸術と計画会議 4階 西ギャラリー   さていよいよ岡原功祐さんの登場です。 六甲山国際写真祭も開催まであとひと月と少しになりました。現在鋭意準備中です。 六甲山国際写真祭では「Fukushima Fragments」という岡原さんの最新作をオリジナルプリントで展示します。この展示は、つい先日まで東京の大正大学にて開催されていた同名の展覧会を関西で初展示するものです。 東日本大震災直後の東京にパリから急遽降り立った岡原さんは、灯りの消えた東京の街をみて衝撃を受けたといいます。慣れ親しんだ街が震災による電力供給抑制と震災の暗いニュースとで大混乱に陥っている様を見ながら、東北を撮影するために福島に入りました。その心中には、これまで様々な紛争地にはいって撮影を続けてきた経験豊富な岡原さんでも不安や怖れがあったといいます。そんななか、少しずつ作品を撮りためていったのがこのFukushima Fragmentsなのです。 岡原さんのジャーナリズムの写真は、どれも人類の、あるいは人間の存在のさまざまな局面を見せながら、傲慢さ、弱さ、儚さ、権力への渇望、生きることへの情動など、ひとの根源的な姿を明らかにします。淡々と表層的な事実関係を明らかにするスタイルのジャーナリズムとは異なり、人間や人間社会の深層に迫っていくのがとても強いスタイルだと感じさせます。 岡原さんとは2010年のAngkor Photo Festivalで知り合いました。ようやく関西で彼の展覧会が開催できることを嬉しく思います。

ポートフォリオレビュー事前審査講評

By | 6月 5th, 2016|2016, Mt.ROKKO, NEWS, Organization, Photographer, Photography, Portfolio Review, RAIEC, Workshop|

2016年のMt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVALポートフォリオレビューの事前審査が終わりました。すでに結果は各方面に連絡済みです。 今年は通過者38名となりました。正直に申し上げれば、通過者と次点(補欠)、また通過されなかった方々の違いはさほどありません。どうしてもこのようなイベントの予備選考というものは難しくならざるをえませんが、それは集計点数のわずかな違い、当落線上の1点2点のなかに数名の参加者が集中し、最後は主催者判断が必要となることなのですが、いずれにせよ結果は出ました。 今年は、それでも六甲山国際写真祭の役割というか、この写真祭に参加することで世界中につながりを作りたいという思いが強い方が集まってくださったと思います。上位6名程度は、海外でも十分に活躍できる力量があると考えられますし、作品を作っていく上での覚悟が見えたり、アイデアが豊かに見えたり、より大きなオーディエンスを意識した作品作りをされていたと思います。一方で、やはり作品作りが習作の域を出ず、作り込みが不十分であったり、ストーリーがなく独りよがりだったり、強い美を追求したり力強いテーマを描けずに苦戦する方も多かったと思います。今年から従来の審査基準に加えて、将来性、というキーワードにより多くの点数を含めたことも採点に大きく反映されました。今はさほど強い作品でなくても、将来に可能性を感じさせる作品や、実験的ではあるけど可能性を探ろうとしている作品がいくつか審査を潜り抜けています。 皆さんの経歴を見ていると、なるほど様々なイベントやレビュー、出版物を経過して来られている方も多いのですが、アートや写真の歴史や構造を意識しつつ、どのように自作をアピールするかという点で弱かったり、ステートメントと作品の間に乖離があったり、ステートメントで語りすぎているのに作品が弱かったりと、イメージ自体はさほど悪くないのに得点が伸びないか減点されているというケースが多々見られました。自学されて活動をされている方が多く、専門的な教育を受けていないということも確かにありますが、おそらく写真を作る動機、誰に見せたいのか、どういう人たちと付き合いながらどう世界につながっていくのか、というアイデア勝負となると、国内では通用してきた経験者でも、世界レベルから評価すると圧倒的に経験値が足りないことがよくわかります。正直に言えば、上位10名がなんとかそういう領域には達していますが、それより下位の皆さんはほとんど一並び、そういう意識は見えない方が多いように感じました。また、繰り返し参加されている方も申し込み者全体の20%に及びますが、明らかな新作を提示して来られた方や掘り下げ方を変えて来られた方が通過しています。再挑戦はプロジェクトによほどの発展がないと辛口評価になってしまいがちです。 イメージとしては美しい作品を作っていても、ストーリーが描ききれてないか、複雑な説明を置いたり、言葉を重視しすぎたステートメントが重荷になって評価を下げた作家もいました。通過者の中にもステートメントに問題があるか理解できないものが若干含まれているため、本番を前に作品を整理しなおす場面も必要かもしれません。これは希望があれば準備会のようなセッションを持てればいいなと考えています。また、写真家のウェブページについても、簡潔で十分な情報があり、美的な要素が感じられるサイトを作っておられる方もいますが、そもそもサイトを持っていなかったり、作り直したほうがいいサイトも多数あります。国際写真祭のポートフォリオレビューですので、この辺りも個別に準備を促していきたいと思います。 通過者全体でいうと、地域や家族を取り上げたパーソナルワークが30%、社会のありさまに視点を投げかけるプロジェクトが30%、コンセプチュアルアート20%、ドキュメント20%というような内訳です。風景が全体の20%、ポートレイトが30%、静物が20%で、残りはスナップほか分類不能な作品となります。ただし、これは大まかな印象でこれから少しまじめに集計してみようと思います。 残念ながら通過を果たせなかった写真家、作品についても、僕としては将来性のある作家や作品は何らかの形で取り上げていこうと考えています。がっかりされている方もいらっしゃると思いますが、がっかりしている暇があったら作品をより良いものにする努力を払うべきです。落選するにはそれなりの理由があるはずで、その理由を自分なりに分析する冷静さが必要だと思います。また、実際に六甲山国際写真祭に限らず世界的な写真の枠組みでおこっていることを理解すること、世界という視野の中で表現を磨くために必要な努力については、リサーチが必要なのは言うまでもありません。これまでに参加されて活躍の場を自分でこじ開けてきた先人達のコメントを読んでそれらの作品が評価を得られる理由を考えてみたり、六甲山国際写真祭が写真教育、社会への理解を深めるために写真というメディアを用いている写真祭であることなど、写真祭の開催理念も包括的に理解した上で参加すべきだと感じられました。これにはRAIECのワークショップ、東京展などに足を運んでいただいて体験するのが早道です。六甲山国際写真祭は、写真家育成機関を謳ったことは一度もありませんし、写真家だけが参加してくる閉じたイベントではありません。むしろ私たちが向き合おうとしているのは一般社会の人々です。開催理念として描いているのはあくまでも写真を通じて人生、暮らし、社会への作家の視線や機微を掘り起こすことであり、写真家自身がメディウムであることを自覚して活動し、この途方もなく大きな写真空間を自在に行き交いながら新しい表現を用いて世界的な視野に立つことを目指せるようただ舞台を用意しているにすぎません。そのことを理解していただき、これからもそれぞれの皆さんが写真の高みを目指して活動していただきたいと願っています。

Michel Huneaultの仕事 – RAIEC Director’s Choice 2016

By | 5月 31st, 2016|2016, Eng, Mei House, Mt.ROKKO, NEWS, Photographer, Photography, RAIEC|

We will present “La longue nuit de Mégantic” of Michel Huneault as one of festival main guest photographers (RAIEC Director's Choice 2016). This exhibition will be Gallery TANTO TEMPO's independent program which collaborate with RAEIC. Exhibition Venue: Gallery TANTO TEMPO (closed on monday, tuesday) Exhibition Period: Aug 20 sat – Sep 25 sun (Festival Aug 20 - 28) Closing Lecture: Aug 28 PM12 at C.A.P. House 5F Lecture room     Michel Huneaultミシェル・ヒューノーはカナダ人の写真家です。今回の写真祭では、“La longue nuit [...]