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– GUEST PHOTOGRAPHERS 2015

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– GUEST PHOTOGRAPHERS 2015 2015-04-26T09:55:34+00:00

Main Guest Photographers 2015

MAX PAM

SUPERTOURIST

旅びとというものは、そもそも自分自身が何かに変えられるという期待はしていないものだ。

The tourist does not expect to be changed.

西オーストラリアのギャラリーのキュレーターは、こういう一文を用いてMaxの批評を展開する。

Maxは旅びとであるし、ある意味Supertourist超人的旅びとだ。

僕がMax Pam作品に出会ったのは、2013年秋のパリの巨大な写真フェアだった。彼の作品はパリを代表する写真ギャラリーのブースに飾られていて、それはとても印象的な作品だった。写真であることには違いはないのだけれど、面食らったのが写真の周囲に手書きのテキストが配されていて、なんともいえない異色の味わいを醸し出していたことだ。慌ててその写真家の名前をスマートフォンで検索してみると、たくさんのイメージとともに彼の長い人生の写真の記録が現れた。その際にその写真をコレクションできないかと値札を見ていたのを憶えている。作品は結局買わなかったけれど。

実物の彼に会ったのは2014年12月。カンボジアのアンコールワットを擁するシエムリアプという小さな町でのことだ。アンコールフォトフェスティバルという写真祭は10周年記念の祝祭を楽しんでいて、大勢の写真家が集まっていた。主催者であるFrançoise Callier女史が夕食に誘ってくれたレストランに彼がいた。少年のように笑い、ゆっくりと話した。すぐに打ち解けて、翌日も食事に誘ってもらった。アフガン系スイス人一人、スペイン人一人、オーストラリア人二人、日本人一人がココナツミルクを飲みながらカンボジア料理を食べていた。そこでの話題といえば、日本の写真家のヌード写真に写った男性生殖器をめぐる美術館での出来事だった。その一件は彼の住むオーストラリアでも話題になったのだという。僕は尋ねられる限り、知りうることだけを淡々と話してみたが、一方で芸術的な内容を含みながら、他方で誰かを不愉快にさせる表現であるのであれば、それらを公的機関で展示することについて本質的で根源的な解がないのは日本もオーストラリアも同じようだった。ただ、人間の人間ぽいもの(例えば性や暴力、死)への興味が果てしないことや、他者に寛容であるということがどこまでできるのか、というような話題で話したと記憶しているが、そのうちみんな写真を見せ合ういつもの風景が展開されて、その時はそれで話は終わってしまった。

ところが、帰国後Maxからメールが届き、SupertouristというEdition Bessard本が届いた。その写真集を見た瞬間、僕はMaxを六甲山国際写真祭に招待することを決めた。なんという素晴らしい写真集だろう!

Maxは旅びとだ。そして超人的旅びとだ。彼が旅をするきっかけになったできごと、そして旅先でいつもすること、拾い集めるもの、すべてがこのシリーズには珠のように含まれている。旅びとというものは自ら変革を期待していないが、写真家はすべてを記録することができるのだ。

六甲山国際写真祭では2会場を使ってMax Pamの写真を展示します。六甲山上とKiito。また、Maxの写真集の一部は六甲ケーブル山上駅のTENRAN CAFEに展示しています。

RAIEC 杉山武毅

Noriko Hayashi

Ala Kachuu キルギスの誘拐結婚

中央アジアに位置する旧ソビエト連邦の小さな国キルギス。約540万人が暮らすキルギスで人口の7割を占めるキルギス人。地元の人権団体はキルギス人の既婚女性の約3割が誘拐され結婚していると推定している。キルギス語で「Ala Kachuu-アラカチュー」(奪い去る)と言われ、 面識のない男性や数回会った程度の男性に連れ去られるケースがほとんどである。1994年に制定された法律により、女性の合意ないアラカチューは禁止されているが、警察や裁判官は単なる家族間の問題とし、犯罪として扱うこともほとんどない。

プロポーズをしたが断られた、親から結婚をせかされているなどの事情で、女性を連れ去る男性がいる。誘拐されると、女性たちは男性の家に連れていかれ、男性の親族の女性たちに結婚を受け入れるよう説得され、花嫁の象徴である白いスカーフを頭に被せられるのを必死に抵抗する。キルギスでは高齢の女性たちに逆らうのはきわめて失礼とされ、さらに一度男性の家に入ると、純潔ではないと見なされ、実家の家族に恥をさらしてしまうという理由で、誘拐された女性の約8割は何時間、何日間もの抵抗の後に結婚を受け入れるという。なかには暴力的な手段をとらず、 結婚に同意しない女性側の家族を説得させるために駆け落ちとしてのアラカチューを実行する恋人たちのケースもある。合意ないアラカチューで結婚した女性たちの中には離婚や自殺に追い込まれる女性たちもいる。違法である誘拐婚がなくならない背景には、国民の多くが合意のない誘拐婚をキルギスの伝統だと信じている現実がある。しかし、専門家たちは「合意ないアラカチューはキルギスの伝統ではない」と主張する。キルギスがソビエト連邦の共和国になる以前は、両親が決めた相手とのお見合い結婚が主流だった。アラカチューという言葉は存在したが、本来は「駆け落ち」婚を意味していた。20世紀に入り、キルギスが旧ソビエト連邦の共和国になると経済活動や社会システムが急変し、男女平等のイデオロギーがキルギス人たちの間に芽生えた。それまで両親が決めていた結婚相手ではなく、自分たちで相手を選びたいという自由な意志が生まれ、その結果としてかつて行われていた駆け落ちのアラカチューが、ねじ曲がって伝えられ現在の暴力的な誘拐行為までもが「伝統」のアラカチューだと思い込むキルギス人が増えたのではないかという。

2012年7月から11月までの約5カ月間、キルギスの村々を訪れ、これまでに誘拐で結婚をした10代から80代の夫婦約20組を取材した。誘拐直後から結婚式、新婚生活までの2週間を、生活をともにしながら撮影した大学生ディナラや、誘拐後に兄に救助され、実家に帰っていった20歳の学生ファリーダ、一度は結婚を受け入れたものの数日後に逃げ出した女性、夫の暴力に耐えきれず離婚の準備をすすめている女性、娘を誘拐され自殺に追い込まれた遺族、中には誘拐結婚後に幸せに暮らしている夫婦もいた。 取材を終えた直後の2013年1月、刑法が改正され、女性を誘拐した者に罰せられる刑期がこれまでの3年から最大で10年に延びた。

最初の取材から1年4ヶ月後、結婚直後から取材していたディナラが臨月を迎えていると聞き再びキルギスを訪れた。夫のアフマットが村の学校で仕事をしている間、 ディナラの家事を手伝いながら、出産に備える彼女の日常を撮影した。2014年2月8日、ディナラは第一子の娘を出産した。1年4ヶ月前に誘拐され必死に抵抗していたディナラは、この日母親になった。ディナラは真面目な夫アフマットと結果的には幸せに暮らしているが、「将来、もしも娘が好きではない男性に誘拐され結婚をするようなことになれば絶対に反対する」と話していた。

「女性の合意ない結婚をする男は最低だ」という若い男性たち、また「連れ去られたら何をしてでも逃げる」というキルギス女性もいる。合意ないアラカチューは決して少なくないが、それがおかしいと考えているキルギス人が多いのも現実だ。

  • ©NORIKO HAYASHI
  • ©WENXIN ZHANG

WENXIN ZHANG

Five Nights, Aqualium

「ファイブ・ナイツ、 アクアリウム(水槽五夜)」は、それ自体はつながりのない物語であるが、写真と五つのショートストーリーから紡がれたものだ。

故郷の中国とサンフランシスコを行き来してきた2年の間に、私の中に生じた内的な旅を誠実な形で再構築しようとしたものだ。

その旅路から湧き上がった疎外感と孤独感は私にとっては重く、思い出はいつしか囚われの幻想へと変貌していった。

その幽閉されたような感覚とは、私の旅の物語が時空に囚われているように感じられるものだ。そしてその感覚は水槽に住んでいる感覚に似ている。

この水槽では、都市の景観が水槽の中の飾りであり、描かれた物語は水槽に貼られたラベルのようなものだ。

私は再構築した旅の物語の中から五つの夜を選んだ。

手掛かりとなるような半虚構の物語を使い、想像上の水槽を描いた。そしてそれは冷たいが親密、官能的であるが物質的なものとなっている。

真実と虚構の狭間を行き来しながら、私の旅は現実から想像の空間へと移っていく。

Five Nights, Aquarium is a non-linear narration weaved by photographs and five short written works.

I try to reconstruct my inner journey from trips I’ve made between my home country China and San Francisco during these two years in a truthful way, but the overloaded feelings of estrangement and desolation created by the journey have transformed my memories into illusions of confinement. Due to this confinement, my journey story became a space-time, which resembles an aquarium. In this aquarium, cityscapes are fish tank decorations, people are fish, and writings are tank labels.

I chose five nights in the whole reconstructed journey story, using five short semi-fictional short stories as clue, to portray the imaginary aquarium. The stories are cold yet intimate, sensual yet intangible. The narration of journey moves from real to imagined spaces, exploring the boundaries between autobiography and fiction.

Wenxin Zhang

HALEY MORRIS-CAFIERO

Wait Watcher

2010年、私はニューヨークのタイムズスクエアにいて、カメラでセルフポートレイトを撮影した。その後フィルムを現像してみると、そのイメージの中に私の後ろに立って明らかに私のことをあざ笑う男がいることを発見した。ほんの一瞬の視線をこんな風に捉えることができるとは思ってもいなかった。そのとき以来、私は日常と同じような行動をしている中で、知らない人が通り過ぎざまに同じように私に視線を投げかけているのを捉えられるかを知るために撮影を続けているのだ。そしてその見知らぬ人が通り過ぎざまに批判的、あるいは問いかけるような表情や身振りを交えて見ていないか確かめるのだ。私は写真を世界に提示することによって対話を始めようとしているのだ。過ぎ去る彼らが何を考えているのかは知らないが、私は彼らにこそ視線を返そうと企むのだ。2013年2月、この”Wait Watchers”のシリーズがLenscratchという優れたブログに掲載され、翌日にはHuffington Postに掲載された。そして、Daily Mail。そうなるとシリーズは瞬く間に知れ渡った。

私の写真が露出するにつれ、ほとんどの記事のコメント欄に私の身体を、服装を、髪を批判するコメントが並んだ。そのあと、今度は同様の批判的なメールが届くようになった。ほとんどのコメントやメールは、私の人生が(あるいは世界が)、体重を減らしてイメチェンをはかりさえすればより良くなるだろう、と述べていた。これらのお節介なコメントやメールが”Wait Watchers”に続く次なる作品のきっかけになったのだ。

私は私の身体を愛している。お節介な批評は次のシリーズの原動力となった。

HaleyのKickstarter出版プロジェクトの説明文より引用

In 2010, I set up a camera to take a self-portrait in Times Squares in New York City. After I had the film developed, I looked at the images and found that a man was standing behind me and appeared to be sneering at me. I never thought that I would capture a glance that can last a microsecond. Since then, I have been setting up a camera in public to see if I can capture the gazes of the strangers who walk by me while I am doing everyday, mundane acts. I then look at the images to see if anyone who passed by me had a critical or questioning look on their face or in their body language. I present the images to the world to start a conversation. While I do not know what the passersby is thinking, I attempt to reverse the gaze back onto the stranger.

In February 2013, the Wait Watchers images were published on the wonderful blog, Lenscratch. The next day, they were published on Huffington Post, then Daily Mail in the UK,and then went viral.

After my photos received viral exposure, I found that most of the articles had comment sections filled with thousands of anonymous comments criticizing my body, my clothes, my face, my hair, etc. Then the critical comments starting coming via email. Most of the comments and emails said that my life (and in some cases the world) would be better if I lost weight and got a makeover. The unsolicited criticism inspired the next phase of the Wait Watchers series.

I love my body and these unsolicited criticisms fuelled me to make new images.

I now set up a camera and record people as they pass by me while I am doing what society wants me to do: exercise and get a makeover. By attempting to “improve” myself, I am engaging in the conversation of body acceptance and idealized beauty standards that unrealistic and unwanted by many people.

quotation from Haley Morris-Cafiero THE WATCHER Kickstarter publishing project

  • ©HALEY MORRIS-CAFIERO