昨日につづき、今日は昨日の作業で絞り込んだ写真をもとに2次選考を加え、さらに3次選考、ファイナリスト、優勝者を決める作業を行いました。優勝者には4,000ドルが手渡され、8月の初旬にKuala Lumpurにて展覧会が開催されます。当然審査員たちは次第に慎重に選考を進めていきます。見落としてはいけない写真をすくい上げ、通るべくもない作品を慎重に選り分けていきます。

本来この写真賞は単写真の力量を問うものです。多くの写真家は単写真で勝負するのですが、中にはかなり興味深いシリーズから切り分けて応募したり、シリーズごと応募するひともあり、シリーズの取り扱いが長い議論となりました。一枚で勝負することと、シリーズで勝負することとは全く意味が異なります。シリーズでは意味をなす写真も、単写真ではその素晴らしさが伝えられないことも多く、実際に2次選考に残っていたシリーズ作品の多くは3次選考くらいになると消えていくしかありませんでした。世界の紛争を捉えたシリーズもいくつか寄せられていましたが、対象がどこで何の問題にさらされていているのかを単写真で伝えているものは強く、全体で伝えるしかないようなシリーズは苦戦するわけです。

また、中にはいい作品で来ているのに、最後の詰めがあまく落とされていくものもありました。写真が主題やモチーフから外れている、ピントが合っていない、構図がよくないなど技術が問題となることもありました。これらは単写真だからということではありませんが、やはり作品制作に関わる資質と努力とが問われており、有力な写真家が2名含まれている選考チームからすれば当然のことだと思います。また、経験豊富なレビュワー、審査員経験者などからは、これまでの経験から先行作品、つまり製作上の類似性が指摘される作品だったため落とされる作品もありました。そういう意味ではチームのそれぞれの経験が共有できていた良いチームだったと思います。

3次選考あたりになると、並べられた写真が俄然輝き始めます。それぞれが力があり魅力があるものとして見えるために、選考チームの中でもそれぞれ順位づけに葛藤が生じてきます。合議や投票をつかって慎重に選考を重ねた結果、最終的にファイナリストが選ばれ、最後に投票で優勝者が決められました。その結果には皆が満足し、自然に拍手が沸き起こりました。知識と経験をもとに審査員たちが作品に呼応し、次世代のヒーローを生まれた瞬間に立ち会えたのはとても良い経験になりました。

2日間の長丁場の選考でしたが、選考チームは常に活発に発言し、それぞれの写真観をもとに優れた写真を見出していく作業に取り組むことができました。ひとつはっきりとしているのは、選考する立場がどうであれ、優れた写真は人を惹きつけるということです。全体の流れで見ても、ストーリーが強く、美的な価値があるとみなされる作品を選ぶ作業は決して難しいわけではなく、むしろいい作品は誰がみても、仮に経験がなくても選ぶことは可能です。その逆の観点で写真を作るとなるとなぜか難しく考えがちですが、これは優れた作品に対峙し、どのような点で足りないのか学ぶしかありません。単写真は特に写真への努力と資質が試されると思います。

Kuala Lumpurは日中は常に30℃を超える街ですが、初日の朝に雨が降った以外は天気にも恵まれました。審査会場もツインタワーがそびえるKuala Lumpur中心地のコンベンションセンター内の一室で、快適に選考することができました。マレーシアの食事は中華、現地の伝統料理も美味しく、主催者のホスピタリティーの高さにも驚かされました。六甲山国際写真祭も学べることがたくさんありました。

Kuala Lumpur International Photo Awardの審査レポートでした。