こんにちは、第三回の写真祭のポートフォリオレビューにレビューイとして参加した御代 歩です。

ポートフォリオレビューの翌日に開催されたAndreas Müller-Pohle氏の“写真のプロジェクトを作る5つのステップ”に参加してきました。

 

8月30日(日)にKiitoデザインクリエイティブセンター神戸にて「写真のプロジェクトを作る5つのステップ」と題したワークショップが行われました。講師は写真家であり写真雑誌の編集者でもあるAndreas Müller-Pohle。
このワークショップでは、写真作品の制作を「プロジェクトモード」として1つの制作パッケージと捉え、その制作プロセスを①準備→②理解→ ③撮影→ ④編集→ ⑤出版 の5つに分けて考えていくこと、またそれぞれの過程について具体的に学びました。

実際には、講師による2時間程のレクチャー、その後、参加者それぞれの作品の分析と検証という流れでワークショップは進められました。

 

11999115_10154237395969778_1930836862_o

 

 

ワークショップ全体を通し、多くの重要な学びを得ることができましたが、その中でも特に印象に残り、また今後の作品制作の上で生かしていくことが出来ると思われる内容について何点かピックアップしてみたいと思います。

1.制作プロセス①「準備」:アイデアをストックしておくことの重要性。

アイデアは書き留めておく=記録しておくことが大事であり、記録しない限り、アイデアは忘れられてしまう。思いついた時点でそのアイデアは現実的ではないかもしれなくても、様々な条件が整った時にずっと昔に書き留めておいたアイデアを実行に移すことが出来る、そのためにはアイデアをストックし、いつでも参照できるようにしておくことがとても大切である。

 

2.制作プロセス②「理解」:コンテクスト→コンセプト→メソッドの流れの重要性。

コンテクストとは、テーマの立ち位置、アイデアのフレームとなるものであり、作品を支える骨組みとなるもの。コンセプトとは、作品を通じ他者へ伝えたい内容であり、メソッドとは、そのコンセプトを形にする為の作品の手法である。

作品制作を始める上で、この3点を明確に他人に伝えることができるかどうかが問われる。逆に言えば、作品をその作家が語るとき、この3点さえ伝えられればよく、それ以上の理解や解釈は鑑賞者の自由に委ねられるべきである。

更に言えば、コンセプトやコンテクストのない写真群をアート作品とは呼べず、それらを説明出来ない作品はアマチュアのものである。

3.制作プロセス④「編集」:シークエンスの大切さ。

写真言語を語る際にはシークエンス、流れが重要となる。シークエンスを作るということは、まるで作曲をするようなものである。作品がメロディーを奏でるように、編集を行わなければならない。

 

4.制作プロセス⑤「出版」:セルフパブリッシングの可能性について。

デジタル化とオンデマンド印刷が進んだ現代では、かつてのような大手の出版社から写真集を出すという手法にとどまらない出版が可能である。自分達の手で、必要な部数のみを世に出すセルフパブリッシングを通して、よりリスクの少ない、より効果的な方法で写真集を作ることが出来る時代になっている。

また、写真家たちが横に繋がり、ネットワークを生かして、写真集を世に出していくことが出来る。そういうコミュニティーをどんどん作っていくべきである。
5.作品は、世の中に発表し、公共のものになることを意識する必要がある。つまりそこには倫理的な問題、例えば肖像権に対する配慮なども含まれてくることを常に念頭に置く必要がある。
6.プロジェクトには始まりと終わりがあるべきである。
永遠にプロジェクトを続けることは出来ない、どこかで終わりを決める必要があり、定めたゴールに向かって進んでいくべきである。

 

以上のように、作品制作におけるそれぞれのステージに於いて作家が知っておくべきこと、重要なポイントなどが丁寧に、分かりやすくレクチャーされました。

 

後半の各参加者の作品の分析では、それぞれの作品に対し、丁寧な分析、検証が行われました。

それぞれの作品がプロジェクトとして成り立つため、世の中に出ていくために必要な課題とその解決方法について、数多くの具体的なアドバイスが与えられました。各作品が、5つのプロジェクトモードのどの段階に課題を抱え、その段階から先に進むためにはどうしたらよいのか、ということをそれぞれが意識し、理解することが出来たと思います。

 

11996442_10154237395084778_1469038963_o

 

 

 

ワークショップは終始和やかな雰囲気の中で進められましたが、参加者は皆熱心に講師の話を聞いていました。

作品は社会、他者に働きかけるためのものであるということ、世の中に出すという最終地点を意識したものでなければならないこと、その為の効果的な手法を知っておく必要があること…このワークショップでの最も大きな収穫は、作品制作を行う上での基本的な姿勢とその制作プロセスを学ぶことが出来たことだったと思います。

「コンセプトがある作品を作ってこそ、アーティストである」という講師の言葉は非常に印象的でした。

 

 

投稿者/オカモト ヨシ