第三回六甲山国際写真際にレビューイとして参加した堀内僚太郎です。

現在私が取り組んでいるプロジェクト「Quiet Existence」について投稿させて頂きます。

 

このプロジェクトで私が撮影対象としているのはマイノリティーと呼ばれる人々です。

ひとことでマイノリティーと言っても様々な人々がいますが、現在私が向き合っているのは主に少数民族であったり、移民として異国で暮らしている人々です。

私には戦前の移民政策によって異国へと渡った親族がいました。彼らはそこでマイノリティーとして扱われ、その地で強く生きています。
幼い頃から折に触れて彼らの話を聞いていた私は、ごく自然にマイノリティーと呼ばれる人々への興味を抱いていました。
おそらくこの事が、私が彼らを撮るきっかけになっているのだと思います。

2002年、当時の私はドイツに長期滞在していて、そのとき身近にいた人が少数民族であるジプシーだと後になって知りました。(ジプシーの正式な呼称はロマですが、ここではあえて呼称をジプシーに統一します。)

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当時の私はジプシーに関する知識は皆無で、彼らの生活様式はただただ不思議に見えました。今思えば彼らはその地でマイノリティーとして扱われ、独自の生活様式を築いていたのでしょう。
それ以来、ジプシーの人々に対する興味は強まり、彼らの文化と歴史的背景を学び始めました。

このプロジェクトをスタートさせるにあたり、当初私が考えていた最初の撮影対象は、ブラジルに住む日系移民の人々でした。それは私の親族が戦前に渡った国でもあり、ごく自然な着想でした。
しかし、ジプシーたちが放つあまりにも強烈な個性に惹かれ、私はブラジルよりも先に東ヨーロッパに位置するルーマニアのトランシルバニア地方へ行くことを決めてしまったのです。

なぜトランシルバニアなのか。

世界中で一番ジプシー人口が多い国は、トランシルバニアが現在属しているルーマニアなのです。私はバックパックを背負い、ジプシーに会うために2012年にトランシルバニアへと出発しました。
そこで多くのジプシーたちと接する中、彼らと共存する別のマイノリティーにも出会いました。ハンガリー民族です。
トランシルバニアは第一次世界大戦まではハンガリーに属していましたが、戦後ルーマニアに割譲されてしまったため、ルーマニアという国に住むハンガリー民族が数多く存在します。
彼らはジプシーとは全く違う種類のマイノリティーですが、そのアイデンティティーの表現は誇り高く豊かです。RAIEC_blog_horiuchi_04

彼らの営みに向き合うと、静かでありながらも強く息づくアイデンティティーが垣間見えます。
また、マイノリティーとして生きている人々は強烈な個性を維持していなければ、その文化を継続することが出来ないのかもしれません。

アイデンティティーとは一体何なのか。

その問いはまるで鏡のように、常に私自身にも返ってくるのです。

 

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後編に続きます。