こんにちは。六甲山国際写真祭2016のポートフォリオレビューにレビューイとして参加させていただきました、高杉記子です。
最終日に、ワークショップ『Contemporary portraiture as an artform in photography 現代ポートレイト写真のアート』に参加しました。

 

講師のSteven Leeさんは、2009年にThe Kuala Lumpur International Photoawards (KLPA)を立ち上げ、毎年、世界中から集まってくる1500以上のポートレートをみてきています。

ワークショップは、Kobe 819 Galleryで開催されました。参加者がそれぞれ持参した5枚のポートレートを紹介するところからアットホームな雰囲気で始まりました。前半は座学で、ポートレートの基本的な歴史からスタートし、これまでのポートレート史上重要な写真家たち、そしてStevenさんがいま注目している現代のポートレート作品を紹介してくださいました。特に興味深かったのは、 KLPA 2016のオープンカテゴリーでファーストプライズに選ばれたJessica Hinesの「My Brother’s War」という作品でした。ベトナム戦争から帰国して1年めに自ら命を絶った兄がベトナムでどんな生活を送っていたのか、行方不明となっていた兄の親友を探し出して話を聞き、兄がつらい思いをしていたベトナムの地に行くというプロジェクトを通して表現した作品でした。実の兄が亡くなった日のベトナムの星空をパソコンのスクリーンに映し出し、当時の兄のパスポート写真を画面の前に置いたものをポートレートとして撮影しています。他にもさまざまな作品を紹介しながら、ポートレートに、昔からの既成概念にとらわれない表現の可能性が無限にあること、あるいはそれを求められていることを改めて提示してくださいました。

後半は、3人ずつのグループに別れ、ポートレート撮影会をしました。制限時間30分と時間がない中、Kobe 819 Galleryから出て、それぞれが好きな場所で撮影をし合いました。撮影では、たとえば自然光をどう活用しているのか、どんな小道具を使っているのか、どのように声をかけて被写体とコミュニケーションしているのかなど、チームの方々が普段どう被写体に向き合っているのかが垣間見え、とても楽しい時間でした。

 

Stevenさんの言葉で特に印象に残っているのは、受賞者やファイナリストのポートレートは、いきなり撮ったのではなく、1つの作品として完成したプロジェクトの中の1枚が選ばれることが多い、ということでした。なぜならそのような作品は、リサーチや取材に基づいており、それがレイヤーとなってきちんと反映されているからです。ポートレートは1枚一発勝負のように見えるけれど、やはり人を動かすものはその裏にいくつもの層があることを強調していたことはとても説得力がありました。私自身,写真家としてポートレートを極めたいと願う中、改めてポートレートの奥深さと魅力を感じることができたワークショップでした。

KLPAには、2014年、2015年と、六甲山国際写真祭の参加者からも日本人Finalistが出ています。ぜひ来年は、皆さんも応募してみてください!

http://www.klphotoawards.com 

初めて参加した六甲山国際写真祭でしたが、レビュワーの方々やゲスト写真家の方々との距離が近く、参加者同士もお互いに情報交換し合ったり励まし合ったりとそれぞれが緊張感をもってレビューを受けながらも終始温かい雰囲気に満ちており、“コミュニティ”、“教育”といったこの写真祭の目指す方向性を、ひしひしと感じるものでした。今回レビューやワークショップでお世話になったStevenさんは、以前よりFacebookでつながっていたので、今回実際に会う初めての機会ともなり嬉しかったです。さまざまなつながりが作り出されることは、六甲の醍醐味だと思います。あらたな出会いや再会から生まれたご縁を今後も大切にしたいと思います。杉山さんを筆頭に、1年目から写真祭を育ててこられたスタッフの皆さま、各国からいらっしゃった素晴らしいレビュワー、レビューイの皆さまに改めて感謝申し上げます!

 

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