2015

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Angkor Photo Festival

By |2015-12-13T04:42:40+09:0012月 13th, 2015|2015, Mt.ROKKO, Organization, Portfolio Review, Slideshow, Workshop|

11th Angkor Photo Festivalが終わりました。僕はポートフォリオレビューにレビュワーとして参加し、2日間で14名以上の写真家のレビューをしました。僕自身Angkor Photo Festivalに参加するのは2011年以降4回目。毎年子供たちの自立支援プログラムを支援したり、新しい写真専門家や写真家に会って写真の現在を学んでいるわけですが、ある意味Mt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVALなどのプログラムにプロジェクトを呼び込むネタにはこと欠きません。今年も例年にもれず美しい写真に出会ったし、このフェスティバルがアジアを代表する強い写真のフィールドだと改めて感じたりしています。Antoine d'Agata氏やSohrab氏などのマグナム組、それ以外にもKosukeOkahara氏など強力なワークショップのTutor陣に引き寄せられて、アジアのみならず欧米からも数多くの写真家が訪れているのも特徴です。 レビュー参加者の一人 アジアからは、マレーシア、シンガポール、台湾、タイ、中国、韓国からたくさんの写真家がワークショップを訪れていました。今年のショーケースは中国、台湾の写真家が招待されていたほか、カンボジアの写真家でこのワークショップ出身のレミッサ・マク氏の素晴らしい作品がフェスティバルセンターに置かれていました。連日のプロジェクションでは世界中のジャーナリズムの中からコーディネーターであるFrançoise Callier氏のセレクションでスライドショーが繰り広げられました。これは六甲山国際写真祭でも取り入れているプロジェクションですが、膨大な写真家データベースを駆使し、周到な準備、完璧で流れる波のような抑揚のあるショーで、本当に素晴らしいの一言。世界的な諸問題、戦争、紛争、格差、差別、人権、環境、暮らし、発見などあらゆる問題をフィーチャーしていて、羨ましい限りでした。 ポートフォリオレビュー会場 日本人は残念ながら六甲山からは八木玲子さんが出版ワークショップに、林典子さんと渡邉博史氏がプロジェクションに誘われたのみで、六甲山国際写真祭参加者の2名の写真家がポートフォリオレビューなどに自主参加するのみでした。写真のストーリーの描き方、モチーフを組み立てる作業、編集、技術にいたるまで、あらゆる写真の要素について、本当に豊かなヒントを得られるこういったフェスティバルに日本から自主参加する人が少ないのは、ある意味日本の世相やコミュニケーション能力をそのまま表していると思います。同じアジアの国々から活発にチャンスをうかがって参加する写真家が多いのとは対照的で、色々考えさせられます。アジアの写真家たちがこのフェスティバルを目指してやってくるのは、いろいろインタビューしてきましたが、やはり写真のテーマや表現へのヒントが得られるからで、多くの若い世代の写真家はそれぞれのネットワークでこの写真祭の素晴らしさについて語り合っていると言います。写真の活動が少なくても何とか上達し世界に羽ばたきたいと願うアジアの写真家にとって、こういった写真祭はアイデアの宝庫です。たった1週間滞在するだけで写真表現の根本が変わるくらいこの写真祭のワークショップやプロジェクションのインパクトは強烈なのですが、全体的に見てみると日本では活発に動いている日本人写真家や専門家たちがそのことに気がつき世界に学びを得るために動きだすのにはもう少し時間が掛かるのかもしれません。 Zalmai氏のプロジェクション(2014年六甲山国際写真祭メインゲスト) 写真の美的な要素とともに、世界的な諸問題、戦争、紛争、格差、虐待、差別、人権、環境、暮らし、発見などの問題は人類共通の話題です。すぐれた写真家の要件があるとすれば、こういったテーマにどれだけ寄り添えるのかという一言に尽きるわけで、現代社会においてはジャーナリズムに限らずアートの分野でも避けて通れないのが現実です。そういうテーマが欠け落ちても写真活動そのものが成り立ってしまう国は日本の他にはない、というのが海外から見て取れる日本の写真の共通認識になりつつあるのがとても残念に思えました。こういったイベントに限らず写真家データベースに載るための努力を誰がしているかというと、残念ながら日本の写真コミュニティーは何もしていないのが現実です。もっとも、写真のメインストリームに立てる人は海外であってもごく一部です。それぞれの人がそれぞれの立場で、たとえ小さなストーリーでも誠実に写真を撮り続けること。そして他者が見て何かしらメッセージが含まれる作品を作りたいのであればそれがどういうものであるべきなのか、写真家を名乗り表現を続けたいのであれば考え続ける必要があるわけで、日本の写真家の中には小さなきっかけで世界に渡れる実力のある人たちも確かに少なからずいます。短い滞在でしたが、きっかけを作るという意味で六甲山国際写真祭を含めた写真をサポートする立場としての僕自身のミッションにも大きな気づきのある滞在でした。

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福井の写真コミュニティーを訪ねて

By |2015-11-30T20:33:00+09:0011月 30th, 2015|2015, NEWS, Organization, RAIEC|

昨日一昨日と福井県福井市を拠点とする写真コミュニティーを訪ねてきました。 もともとは六甲山国際写真祭のポートフォリオレビューに参加された写真家の一人が中心に立ち上げた写真コミュニティーですが、地域のデザイナーを中心に写真愛好家たちが集まって構成されたグループです。面白いのは、福井駅前にある新栄商店街という古い商店街の地域産業振興NPO「きちづくり福井」の中に様々な部活動を取り入れた一つの部として写真部の活動を行っている点で、来年開通予定の北陸新幹線南伸を機に地域の活性化を担う若い世代が沢山集まっているのが大変印象的でした。ワークショップは商店街のNPO拠点とSANKAKUという強力なコミュニケーションベースを使って行われました。 RAIECとしてのミッションは、地域コミュニティーにある写真活動の拠点作りを応援することです。そのために写真が社会に果たす役割や写真アートの重要性を理解してもらえるようなセッションを持ったり、写真コミュニケーションの手法を広げ、写真の理解を深めることにあります。六甲山国際写真祭の参加者の皆さんはおそらくRAIECのそういう方針についてよく理解されていると思いますが、今回の訪問は六甲山の活動が地域の写真活動と直接つながって写真コミュニティー作りに参加する初めてのケースとなりました。 @福井駅前 初日は小雨の中、地域産業新興NPOを訪れ、代表の方や写真家の皆さんと交流しました。福井駅前には古い商店街があるのですが、過疎化や経済的な衰退といった地方都市ならどこでも抱えている問題から商店街の活気が失われていきました。それでも地域における産業振興の観点から様々なグループが商店街活性化のために立ち上がり活動を続けてきた背景があり、そのベース基地となっているNPOには様々な人々がゆるく関わりながら様々な部会を持ち、全体として福井市の産業活性化を狙っているわけです。 RAIECではこの趣旨に基づいて新たに設立されたFUKUI PHOTO ART CLUBという写真グループと交流し、そのグループが有意味な写真活動を展開し写真メディアアートを理解出来る写真家を育てる活動を支援する目的で第1回のワークショップを開催してきました。 @新栄商店街 2日目のワークショップでは、まず「或る日の福井」というゆるいテーマで撮影された写真家それぞれの写真のプレゼンテーションを受けました。参加写真家は6名。それぞれが感じた「福井」を撮影した写真、そしてその写真を撮影したそれぞれの写真家の思いを聞きながらプレゼンテーションが進められました。次に、RAIECが定期的に開催しているコミュニケーションワークショップの手法を用いて、それぞれの作家の写真をキーワードや印象などで一度分解し、その後参加者全員でそのキーワードを用いて写真家の作品を言語的に再構築するという作業を行いました。中には「仲間」や「消えゆく街」をテーマに、優れた作品を作っている作家もいて、熱心なコミュニケーションがはかられました。午後からは僕が用意した写真の理解を深めるための講義を行い、歴史上重要な作家と作品を共有してみました。エドワード・シュタイケンからブレッソン、キャパ、ダイアン・アーバス、ナン・ゴールディン、最近のアンドレアス・グルスキー、澤田知子まで、風景写真、ポートレイト、ファッションフォト、パーソナル写真、アート写真、ジャーナリズムの写真まで、それぞれがどのように評価されて価値を有するに至ったのかを具体的なイメージを用いて説明してみました。また、現代の写真についてPhoto Lucida Critical Massの最終50名の写真からピックアップして提示しました。 @取り壊され新たに道路になる工事現場 最後に、神戸から参加いただいた徳平さんが福井でわずか2日間で撮影した1200枚の写真を提示し、作品を作るという点で技術的な要素は確かに必要だけれど、とにかく撮影することとそこから意味のある写真を抽出する努力をすることの大切さを説明していただきました。 @ワークショップの議論の様子 福井を訪れて印象的だったのは、若い世代からご年配の方に至るまで、街を愛し街のこれまでとこれからを共に考えてまちづくりをしていこうとする強い気持ちです。まちづくりに関しては様々な枠組みが同じ気持ちを持ちながらいきいきと活動をしており、商店街にも活気が戻りつつあるようで、これからの新しい街を作りたいという気概のようなものが強く感じられました。写真の歴史や過去の写真の膨大な価値について教育を受けたことがない人たちがいきなり優れた作品を作ることはなかなか難しいのですが、今回のワークショップで写真の根底にあるべき広大な装置を発見し理解することで一人でも多くのアーティストが福井から飛び立っていくことを願っています。それが結局は社会に根ざした地域の強い活動をささえる原動力になると感じられるものであればいいと思います。福井の皆さん、ありがとうございました。 @同じNPOに所属する民謡部会の忘年会に乱入 RAIECでは、国内海外にかかわらず、写真と町、写真と社会とがつながるような活動に対して支援をしていこうと考えています。出張ワークショップの開催を希望される方は是非ご連絡をお願いいたします。 info@rokkophotofestival.com

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Photo Lucida Critical Mass 2015の審査を終えて

By |2015-11-12T00:35:03+09:0011月 12th, 2015|2015, Story|

Photo Lucida TOP50が発表されました。色々考えさせられる審査だったし、結果にはとても納得のいく顔ぶれが並んでいます。 200名から50名に絞り込むところで僕も審査に参加しましたが、有力だと考えて選んだ40名弱の高得点グループのうち実に23名がTOP50に選ばれていました。ということは、審査の傾向に僕の目は追随できていたということもあると思いますが、その傾向が世界的にはっきりしていて世界中の審査員の写真を選ぶ視点がちゃんと傾向としてあるということでもあります。 僕の審査基準を少し書いておくと、以下のような作品は落としています。 美しくないと感じられる作品 人類・社会共通のテーマが描かれていない スケール感がない さすがにTOP200に絞り込まれた段階でこういう作品は少なく、僕がはじいたのは7名のみでした。 次に、審査上重要な作品だと感じられる基準を書いておくと、 美しい作品 パーソナルなものは強く、作品を作る上で合理的な新しい装置を有していて、家族や地域社会の絆、逆に社会からの孤立といった普遍的で客観的に評価できるポイントが含まれている 風景写真として何らかの社会問題に迫れていて、普遍性がある 壮大なスケールがあり、知らない世界を見せてくれ、新たな発見をもたらしてくれる などを考えながら選びました。 パーソナルな、あるいは身近な素材を使って撮影した作品は相変わらず多く、全体の60%は何らかの形でパーソナルなものでした。新しい装置、ということを説明するのは容易ではありませんが、要するに自分の所属する小さな単位であってもその社会単位において自分が何を感じ、何をつながり、あるいは疏外と感じているのかが明確に描かれており、多少強引であってもその描き方が新しいものは高得点になる、という感じだと思います。具体的には、例えば家族と過ごした場所の現在と過去の家族写真とを合成していたり、生活の苦しみの救いのなさが登場人物の表情ににじみ出るように描かれている作品だが、それが光源やロケーションであくまで淡々と美しく描かれているというような作品です。ただ、あまりにも内向きな作品となると、うんすごい、というリアクションにつながらず、評価を落としてしまう可能性もあると感じられました。 風景写真は、ただ風景があるような写真は皆無。社会的要素、例えば汚染など環境問題、人権などにインスパイアされたと一目でわかるような作品、しかもやはり汚染されていても美しく描かれているということは重要なポイントなんだと思います。 僕はあまり興味を抱きませんでしたが、抽象的な作品もいくつか入賞していました。一目見て意味がわからない作品は結局テキストを読む他に理解する方法がなく、例えばイメージを二つ並べて関連づけるような作品は、ほとんどの場合テキストに依存してしまうので僕なんかは苦手なのですが、TOP50には4名の作品が選ばれていました。 ちなみに、TOP50のうち12名はすでにReview Santa FeやMt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO [...]

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International Urban Photo Image @ Shenzhen Futian に参加して/星野尚彦

By |2015-11-10T23:34:49+09:0011月 10th, 2015|2015, Experience, NEWS, Story|

六甲山国際写真祭2015のポートフォリオレビューに参加した星野尚彦です。 深圳(Shenzhen)、香港の直ぐ北にある大陸。 まだ街ができて30年という若い街だが東京と同じくらいの人々が暮らしている。そして想像以上に美しい街並みの大都会。 その深圳市福田区(Futian)主催の写真祭が2015.10.16~26で開催された。     六甲山国際写真祭で写真をレビューしていただいたWang Xiさんからお誘いを受けて、同じく六甲山国際写真祭のレビューイであった阿部萌子さんと共に参加してきました。 中国での写真祭はwebにもほとんど情報あがっておらず、雰囲気さえ良く分からぬままでの参加です。 その上、展示する写真をサーバー上で送信、現地でプリント、そしてぶっつけ本番での展示であり、仕上がりのクオリティに不安を抱えたまま機上の人となりました。   このフォトフェスティバルはまだ歴史も浅く、かなりの突貫作業での開催と伺っていたのですが、会場も幾つかに分かれていてずいぶん大規模に展開している印象でした。 対日抗戦70年ということもあり、これにまつわる展示もあって日本人として避けて通れないものがありました。とは言え、Wang Xiさんはじめフォトフェスティバルディレクター、深圳市福田区長、参加されている中国人写真家の方々、皆さんとてもフレンドリーで楽しい時間を共有できたことは嬉しい収穫です。       私たちの展示はArtron Galleryと言うかなり大きな会場でした。 この会場は作家別の展示がされており、メインは中国ドキュメンタリーフォトの第一人者と言われているHou Dengke(1950-2003) 「麦客」。中国の農民を中心に、市井の人々を撮影された見応えのあるスナップショット。 そしてHenri [...]

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六甲山国際写真祭2015アフターリポート『真剣に写真に取り組む写真家たちのための、密度が濃いアットホームな写真祭』後編 /林典子

By |2015-10-16T23:15:10+09:0010月 16th, 2015|2015, Experience, Mt.ROKKO, NEWS, Story|

林典子さん『真剣に写真に取り組む写真家たちのための、密度が濃いアットホームな写真祭』後編 です   前編はこちらから http://rokkophotofestival.com/blog/?p=12399   私はこれまで行ったことのある国外の写真祭はフランスのペルピニャンとカンボジアのアンコール・フォト・フェスティバルの2つだけです。 が少ないので比べるのは難しいのですが、六甲山国際写真祭はただ様子を見に来たというよりも、写真家の写真祭に参加する目的意志がはっきりしていて、写真家それぞれが自身の作品を高めるためのアイデアやヒントを探そうとされている方が多いような印象を持ちました。 小規模ではありますが、だからこそ写真家と写真家、写真家とレビュワーが密接に接することの出来る、質の高い写真祭になっているのだと思いますし、今後もこのような方向でずっと続いていってほしいなと思いました。 私は普段東京をベースに活動をしていますが、写真家同士のグループに所属したり他の写真家の方たちから写真について意見をもらったりという機会が滅多にありません。そのため六甲山での特にポートフォリオレビューの様子を眺めながら、こんなにたくさんの私と同じ日本人の写真家の方たちが写真活動をされているということと、その中で素晴らしい作品をたくさん目にして、とても刺激を受けました。 心残りなのは、今回どうしてもタイミング悪く海外での取材と重なってしまい、最後の1日半を残して神戸を出発しなければならなかったことが本当に悔しく、残念でした。 今取り組んでいるテーマの写真もある程度まとまってきたらいつかレビューという形で見ていただきたいなと思います。 また8月28日の夜に行われたナイトセッションで7名ほどの参加写真家の方たちや写真家のSILKE GONDOLFさんとテーブルを囲んでジャーナリズムについて自由に積極的に意見を出し合ったり質問をしたりといった時間がありました。 最後は時間が足りないくらいで、個人的にはもっともっと意見を言い合えたらなと思いました。 全体を通して写真に本当に真剣に取り組んでいる写真家たちによって作り上げられてきている密度の濃い写真祭でありながら、とてもアットホームな雰囲気なのが私にとっては居心地が良かったです。 日本だけで活動をしていると、言語のハンデもあるのかもしれませんが、海外の写真コミュニティーからは孤立したような印象を受けます。それはそれでいいという意見もあるかもしれませんが、私はもっとグローバルな視点が日本に根付き、国内外で作品を発表する機会が日本人写真家の中で増えて行くことを願っています。そのために六甲山国際写真祭が存在していると思いますし、ここで築かれたコミュニティーを大切にしていきたいとレポートを書きながら改めて思いました。   New bride Dinara, 22, takes a [...]

六甲山国際写真祭2015アフターリポート『真剣に写真に取り組む写真家たちのための、密度が濃いアットホームな写真祭』後編 /林典子 はコメントを受け付けていません。

六甲山国際写真祭2015アフターリポート『真剣に写真に取り組む写真家たちのための、密度が濃いアットホームな写真祭』前編 /林典子

By |2015-10-12T08:47:02+09:0010月 12th, 2015|2015, Experience, Mt.ROKKO, NEWS, Story, 未分類|

六甲山国際写真祭にゲスト写真家として参加させていただきました、林典子です。この写真祭は、海外からの著名なレビュワーによるポートフォリオレビューや国内外の写真作家たちとじっくりと写真について意見交換をすることが出来る、とても貴重な機会であるにも関わらず、私自身が今回参加するまでこの写真祭について全く無知であったことが本当に勿体なかったです。 今回、六甲山国際写真祭で写真展のお誘いをいただいた時に、「この写真祭はアートやメディアとしての写真を社会に繋ぎ、さらに世界と日本の社会を繋ぎ、写真家が取り組んでいるプロジェクトを通して人々が世界の現状に目を向けてディスカッションを始めるきっかけしてもらいたい、、、」こういった目的があると伺いしました。それなりに平和な国で暮らす私たちの日々とは遠い地域で起きている問題をあえて直視する必要がないという日本の風潮や社会問題を扱った作品が敬遠されがちな日本の写真界の中で、パーソナルな作品やよりアート性の高い写真作品と同じように、よりジャーナリスティックな視点で社会問題を切り取った私の作品も丁寧に取り上げていただいたことを本当に感謝しています。 今回の写真祭で2012年から14年まで取材をした「Ala Kachuuキルギスの誘拐結婚」の展示をしていただきました。写真祭のオープニングに合わせて行われたトークイベントで、この問題についての私の思い、取材中のエピソードなどをお話しました。 中央アジアのキルギスでは、合意なく女性を奪い去り結婚をするAla Kachuu (アラ・カチュー 直訳では『奪って去る』)が横行し、地元の人権団体によると毎年1万人ほどの女性が被害にあっていると言われています。(Ala Kachuuについての詳細は、こちらを読んでいただけたらと思います→ (http://rokkophotofestival.com/blog/?page_id=11937)。   トークイベントでは、私が取材中にこの問題にどう向き合うべきか悩みながら撮影をしていたということについて主にお話をしました。その一つがAla Kachuuを「人権問題」としての問題提起を目的に伝えるか、それとも「文化紹介」として伝えるかということです。取材当初は、Ala Kachuuは女性に対する人権侵害という意識で取材を開始したのですが、取材を進めていくにつれ、かつてAla Kachuuで結婚をした結果幸せに暮らしている夫婦に多く出会ったこと、女性を誘拐したことのある男性たちと話をしても、ほぼ全員が実に常識があり、温かい人間的な方たちだったということもあり、取材を初めて2ヶ月後あたりから この問題を「人権問題」として伝えるべきなのか、それとも否定も肯定もせずに「キルギスの文化」として伝えるべきなのか悩むようになっていきました。 結果的に私は「人権侵害」としてこの問題を伝えることにしましたが、発表後は多くの方たちから、 日本人としての価値観を元に他国の「文化」を否定するのはおかしいという意見がありました。しかし、私が取材を通して「人権侵害」と結論付けたのは、女性の合意ないAla Kachuuはキルギスでも違法であること、決して伝統ではないこと、 婚約者がいるにもかかわらず誘拐され自殺に追い込まれた女性たちの遺族の苦しみを知ったこと、そして誘拐され今は幸せに暮らしている女性たちの多くが自分の娘にはAla Kachuuを経験しないで欲しいと話していたことなどが理由です。ただ写真展や写真集として発表させていただく際には、見ていただく方々に私の考えを押し付けるような編集(写真の選択や並べ方)の仕方ではなく、「文化」とも「人権侵害」と考えられている、このAla Kachuuの複雑さを複雑なままに伝える編集をするようにしています。そうすることで、私の写真をきっかけに、この問題についてのディスカッションを促せたらという想いがあります。 そして、もう一つ伝えたかったことは合意のないAla Kachuuは人権侵害であるということについての私の立場は変わらないのですが、誘拐された後に結婚した女性たちのことをセンセーショナルに伝えたくなかった、そして私の感情的にならず冷静な視点でこの問題を伝えたかったということです。日本語で「誘拐結婚」と訳されるとどうしてもセンセーショナルに聞こえてしまい、どちらかというとニュース的な誘拐される場面の写真ばかりが注目されてきたことを残念に思っていました。誘拐された瞬間に女性たちの人生が終わるわけではないからです。取材を通して、誘拐されたばかりのある一人の女性の結婚式に立ち会う機会がありました。その後に彼女が試行錯誤しながらもどうやって新しい村の家庭に入っていったのか、その1年半後には彼女が母親になる瞬間にも立ち会いました。彼女をずっと取材して感じたのは、突然見知らぬ土地に嫁ぐことになった若い女性が、今は近所付き合いも家事もそつなくこなし、この村でずっと生きていくことを受け止め、思い描いていた未来を奪われても、必ずここで幸せになってみせるというというような覚悟さえ感じたことです。私が切り取ったのは彼女の人生のほんの一部にすぎません。彼女が母親になった時に、これからの彼女の人生も見続けていきたいと改めて思いました [...]

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六甲山国際写真祭ワークショップ参加者募集開始

By |2015-07-27T11:31:34+09:007月 27th, 2015|2015, RAIEC, Workshop|

六甲山国際写真祭のワークショップ参加者を募集します。 今回のワークショップは現在の段階で3つ。いずれも写真家向けワークショップとなっています。いずれも参加型のワークショップですので、それぞれ参加者の作品をお持ちいただきます。 […]

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「レビュー後に得たもの」/ 斎藤涼介

By |2015-07-27T09:48:02+09:007月 27th, 2015|2015, Story|

2014年 六甲山国際写真祭のポートフォリオレビューに参加させて頂いた斎藤涼介と申します。 写真はコミュニケーションツールであり、展示をしないと作品は成り立たないという事実に遅ま きながら気づいた事と、今回の作品が社会性のあるテーマを取り扱ったものの為フォトフェスな どパブリックスペースで展示をする事が一番効果的だと考え、その機会を得る為にレビューに参加 致しました。 結果としては残念ながら具体的な話しにはなっていませんが、作品力があればその後の発展性 を持てる、レビューアーに多様性がある日本では数少ないレビューだと感じています。 作品は1枚全体で横25m以上あり、レビューには一部分をロール紙にプリントして5m x 70cm サイズで2枚10m分を持って行きました。この作品を作るに至った経緯をblogに書いて欲しいと いうご要望を頂いたので簡単ですが紹介させて頂きます。 今回の作品のテーマは、実は自分たちが思っているほど自分たちは自由ではないのではないかと いう疑問です。 子供の頃から集団行動が苦手で、ラジオ体操とか坊主で野球とか勘弁してくれと言いながらそ のまま順調にひねくれて育ち、その後19歳から25歳までバックパッキングでいろいろと旅行をし ていました。写真もその間に始めています。なんとか簡単な英語は話せても日本語で考えている以 上当たり前に典型的日本人のマインドセットですので、芯も軸の無く立ち位置があやふやなまま常 に外部に憧れ、同時に日本的な全体主義に反発し、くらーい眼差でもんもんとニーチェとかフロ イトとか読みながら藤原新也の真似事してた訳です。なんて残念な青春時代なのでしょう(笑 お陰様で本で読み知り旅行中に垣間見た憧れとしてのヨーロッパ的な近代的自我のあり方と、 ヒマラヤ辺りにいると考えざるを得ない東洋仏教的な無我というあり方との狭間で行ったり来た [...]

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第4回写真コミュニケーションワークショップレポート

By |2015-07-12T18:31:32+09:007月 12th, 2015|2015, RAIEC, Workshop|

7月11日、神戸で写真コミュニケーションワークショップが開催されました。 今回は遠くは北海道から、また東京や名古屋、京都、大阪と広い範囲から参加者がありました。そのため多くの参加者が前泊、朝9時45分の集合時間には全員がそろって定刻にワークショップが開催できたのは出だしとしてはとても良かったと思います。 写真コミュニケーションワークショップは、とても単純な、しかし写真家や写真に関わる専門家が学ぶべき非常に重要な事柄を取り上げています。それは単なる写真表現の知識としてではなく、ディスカッションを通じて自身の作品に向き合うことで作品の訴求点を客観的にみる能力を身につけることであり、写真を専門家がどのように評価するのかを理解することでもあります。 まず参加者全員がコミュニケーションを取りやすいように、アイスブレーキングを行います。日本各地から参加者があったため、「ご当地自慢」というネタで他己紹介を行いました。 つづいて1stプレゼンテーションを行いました。ここでは作家が思い思いに作品について語るのですが、かなり説明的で饒舌なプレゼンテーションを行う作家が多かったと思います。このワークショップではこの「饒舌な」プレゼンテーションのうち余分な言葉をそぎ落とし、必要な言葉を組み込むことを学びます。 講義をする中島さん 今回の講師は今年のReview Santa Feで唯一の日本人参加者である中島洋紀さん。自身の作品シリーズであるTOKYO ATTRIBUTEについて、その制作の背景やReview Santa Feでの体験などを話していただきました。これは制作全般にわたる写真家のアイデアを明かにすることによって、作家がどのようなきっかけで作品制作を始めたのか、それをどのように膨らませ煮詰めていったのか、Review Santa Feのようなレビューイベントに参加した理由は何か、そのレビューで気がついたことはなにか、などを言葉で示していただくことによって作家の活動全般の思考プロセスを共有することにあります。中島さんは東京に介在するある意味で特異な人物をストレートなポートレイトとして撮影する手法で作品を制作していますが、それはファッションフォトでもあるし、都市の生み出した強烈な個性の類型でもあります。 グループワークに参加する山縣さん 昼食を挟んで、今度は山縣勉さんの講義を共有しました。山縣さんも東京のある地域に介在する視覚的に強烈な印象を与える人物をストレートなポートレイトで撮影する写真家です。ただ、中島さんと異なるのはすでにかなり世界的な実績を積み上げている作家であるという点です。人間への視線、興味という点で中島さんのプロジェクトと共通点がある一方、山縣さんの作品はその人物像の表層的なヴィジュアルにとどまらずその人物像の奥へとオーディエンスの興味を導きます。また、新しい製作中のプロジェクトなども紹介され、その美しいストーリーに参加者皆が見入っていたのが印象的でした。 真剣に写真に見入る参加者 このワークショップの最も重要なプロセスは、参加者それぞれの作品を、つづくグループワークで読み解くことです。作品の表面的な被写体を抽出したり、絵に描かれているすべての要素から全体にわたる印象などをキーワードとして書き出し、作品を言語的に解体していきます。作品はまるで丸裸にされてしまうのですが、実際に作家としてその作品を制作するプロセスにおいてはおそらく皆がなんらかの形でこの解体あるいはそれに代わる考察をしているはずです。ところが、作品を制作する主観において、この解体作業はいつもなんらかの修飾をうけてしまいます。主観というものは作品の本来あるべき要素を覆い隠し、見るべきものを見えなくしてしまうのです。この作品なら世界に通用するだろう、などの考え方です。ところが、主観が強すぎると作品は漠然としたモチーフが絡み合い、多くの場合写真で誰に何を伝えたいのかというもっとも基本的な写真の力が失われてしまいます。そこで、写真の要素を客観的に抽出することで漠然としていたイメージを明瞭に見えるよう整え、テーマやストーリーを際立たせる作業を行う必要が生じてくるのです。言語的解体は、グループワークのディスカッションによりキーワードを被写体やモチーフ、印象などをもとに書き出すことによって他者の視線で作品を共有する方法論なのです。スナップ、ポートレイト、ランドスケープ、抽象すべての作品にこの方法は通用するし、すでに作り上げたシリーズにも、新しい編集を作る場合にもヒントになるはずです。 グループが取り出したキーワードは、つづく再構築のセッションでステートメントにまとめあげられます。キーワードのうち必要なものを取り出し、不要と考えられるものを削除し、もっとも重要な2-3のキーワードをマークします。そして、それらを起承転結のストーリー仕立てにして表記していきます。 ある日、私は草原に大きな木が美しいたたずまいで立っている風景に出会った。それはあまりにも美しい光景だったので、私はこの木の凛と立っている姿を留めるために、その美しい風景を写真で撮影することにした。(きっかけ・起) 撮影はいつも夕方に行われ、雨の日も風の日も撮影する手法をとった。(方法・承) それらの写真のうち、木の存在感が際立つ、木が何か美しい表情を見せて草原に立つ風景のみを取り出してまとめてみた。しかし、なぜか時々こころに響かない時もあるのだけれど。(考案・転) どうしてこの木が私を魅了するのかを考えてみると、この木は私にとって母のような存在だということがわかった。大地に根ざす力強い母なる木を、私はこの写真シリーズで示したい。(まとめ・結) [...]

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ボランティアスタッフ募集!

By |2015-07-04T15:01:29+09:007月 4th, 2015|2015, Mt.ROKKO, NEWS, RAIEC|

六甲山国際写真祭2015は、イベントをお手伝いしてくださるボランティアスタッフを募集しています。 国際交流に興味のあるかた、写真アートや写真メディアに興味のあるかたのご参加をお待ちしています。   【日時・場所】 日時:2015年8月20日(木) - 8月31日(月) 神戸市街会場:神戸デザインクリエィティブセンター(KIITO)/  Gallery TANTO TEMPO / Gallery 819 / Gallery 4など 六甲山上会場: 六甲山カンツリーハウス/六甲山 TENRAN CAFE /  グランドホテル六甲スカイヴィラ [...]

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