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六甲山国際写真祭 2017 アフターリポート『WS ポートレート写真のすべて』/ 竹谷恵子

By |2017-09-06T17:00:28+09:009月 6th, 2017|2017, 未分類|

六甲山国際写真祭第3回のポートフォリオレビューにレビューイとして参加させていただきました竹谷 恵子です。 今年2017年、写真祭のポートフォリオレビューにはいまだ余裕なく応募もできませんでしたが、ワークショップ『ポートレート写真のすべて』に参加しました。講師は Kuala Lumpur International Photoawards (KLPA)のディレクター、Steven Leeさん。KLPAは前回レビューイ参加した時に知った写真祭でしたが、外国のことだし自分にはあまり縁がないかななどと思っていたのですが、その後、Stevenさんの活動や周りの写真家の方々の活動をSNSなどで知るうち、KLPAはポートレートに特化した写真祭&賞だということを知り、気づけばいつも主に人を撮っている私には、Stevenさんのワークショップは自分には必須だと思い参加しました。 Stevenさんの講義は、ポートレートの歴史的な背景として中世の肖像画の説明から始まり、そこから写真機の登場によってポートレートが人々の中にどのように浸透していったかということ、次に近代から現代に至る主だった写真家とそれらの作品からポートレートがどのように写真史の中で変遷を遂げていったかという流れを説明下さったのち、近年のKLPAでのたくさんのファイナリスト及び受賞者の作品を見せて下さり、特に注目度の高い作品の説明、またそこから現代に求められるポートレートとは何かを受講者と共にさぐるといった具体的でリアルな内容でとても勉強になりました。ワークショップは4時間近く。休憩を挟んで参加者の持参した写真のレビューの後、最後はみんなでポートレートの実践をするという内容の濃い最高に楽しい授業でした。 私がこのワークショップを受けた大きな理由に、3年前、第3回のレビュー参加後、そもそも何も写真の知識のなかった私は、その後渡部さとる先生の塾に入れて頂き、写真の基本的知識に加え、同時に世界における写真はアートの文脈の流れの中で評価されたり存在しているということを知り、それはもう天と地がひっくり返るようなショックやらなにやらの連続であっという間に3年が過ぎたのでした。そして最初にレビューを受けてから3年経った今、そもそも自分が撮っている人々の写真は「ポートレートとして成立しているのかどうか」ということを、今更ですが専門家の意見を伺いたかったのと、他の参加者と同じように少しでも良い写真を撮りたいという気持ちがムクムクと胸に渦巻いていたからです。 ワークショップの中で印象的だったのは、参加者から出た質問に「どのような写真が評価されるのか?」という具体的な解答を求めるような質問もあったと思うのですが、Stevenさんの一貫した答えには「このような作品が良いという解答はない」というもので、それは確かにこれこれこう、と言葉で具体的に形容できるものではないとわかりました。 しかし私は、ファイナリストや受賞者の作品に一貫したものがあることをたくさんの優れた作品を見て理解できたようにも思います。優れて強く印象に残る写真とは、美しく説得力のある写真であり、説得力とは何かと思うに、印象が強く存在意義のあるポートレートだと思うのです。それは「その人がどんな人でどんな生活背景を持ちどんな生き方をしているのか、またそこに他の人々と共有する社会的な背景がどれほどあるか」ということではないかと感じました。強く印象に残るポートレートとは、単作であれ連作であれ、そのような個人的なドラマに加えその延長線上にある社会的な実情や問題が作品の中に内包されており、それがリアルな説得力に繋がるように感じました。 さて、ワークショップ中、そのような優れた作品を多数見て、その後自分のレビューになると、当然ながら自分の写真に何が足りないのかというのが一目瞭然で打ちのめされるわけなのですが、しかしStevenさんは、未熟な私の写真の中にも私が表現したい欲求のようなものを汲み取って下さりアドバイス下さいました。そこで帰宅後、少し時間はかかったものの、無駄に落ち込むことからも脱却でき、次に何をどのように目指して自分は進めば良いのかという目の前のことが見えたような気がしています。(遠い先のことはわからなくても、とりあえず、今何をしようかと決めることができただけでも十分学びの成果を得たと私は思っています) 今まで前回のレビューイ参加の学びを元に、実践してきたつもりですが、時が経ち自分も変化してくる中で、常に自分はこれで良いのかという不安や疑問とともにいてしまうわけですが、そのような時にこのワークショップに参加できたことは自分にとってはジャストだったと思いました。 六甲山国際写真祭は、すでに完成された作品を持つ写真家には次の行くべき場所を見いだせるということが最も大きな利点だと思いますが、同時に、私のような経験が浅く完成した作品を持っているとはまだまだいえない写真家にも、専門家の目から広く世界の視点に立ち俯瞰したアドバイスと教育の機会を与えてくれる稀有な場所でもあります。 とはいえ、Stevenさんのくれたアドバイスは今の私には非常に敷居の高いものだったので、今後よりいっそう楽しみながら励み挑戦できる自分になっていきたいと思います。 「ポートレートのすべて」は今の自分に必要なワークショップでした。行ってよかった。その一言に尽きます。ありがとうございました。

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六甲山国際写真祭2017を振り返って

By |2017-08-29T14:24:56+09:008月 29th, 2017|2017, Mirage Gallery, Mt.ROKKO, NEWS, Organization, Portfolio Review, RAIEC, Symposium|

When I drove back to the city on 27th, there was a sunlight coming through the trees on my car front glass, and [...]

27日のギャラリーツアー、クロージングパーティーについて

By |2017-08-21T02:19:21+09:008月 21st, 2017|2017, NEWS, Organization, RAIEC|

六甲山国際写真祭2017が始まりました。 27日にはトークショー、ギャラリーツアー、オープンポートフォリオビューイング、ワークショップなどが開催され多くの方が来場されることが予想されます。 27日午後7時過ぎからクロージングパーティを開催しますが、予約している店舗、用意している席数の関係で、ポートフォリオレビュー参加者、ゲスト写真家、レビュワー、27日のワークショップ参加者、写真祭ボランティア以外の方はご参加いただけません。また、ゲスト、レビュワーなどと連絡を取り合ってゲストが同行を求めても、主催者が許可しない限り入場はできませんのであらかじめご了承ください。 入場をご希望の方はぜひ27日のワークショップにお申し込みください。また同行入場をご希望の方はあらかじめinfo@rokkophotofestival.comまでメールをお寄せください。席数がタイトなため入場できるかどうかはわかりませんが、できるだけ配慮いたします(要参加費)。 なお、ギャラリーツアー、オープンポートフォリオビューイング、許可を得てクロージングパーティーにお越しいただく際でも、ゲスト写真家やレビュワーとご交流いただくことは大歓迎ですが、ご自身のポートフォリオをお持ちになって見せるような行為、会場外に誘い出すような行為はご遠慮ください。 どうぞご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

いよいよ今週末開催!

By |2017-08-15T17:49:35+09:008月 15th, 2017|2017, Feature, Mt.ROKKO, NEWS, Photography, Portfolio Review, RAIEC, Symposium|

写真祭もいよいよ今週末の開催となりました。 今年のレビューは少数精鋭となりましたが、準備会で拝見した限りでは問題なくレビューに臨めそうです。レビュワーのリストも公式サイトで発表しました。Angkor Photo Festival、Review Santa Feに加え、イタリアからCortona On The Moveという写真祭が将来的な提携関係を目指して新たに参加してくれることになっています。イタリアもオーストラリアも、おそらく1−2年以内に六甲山国際写真祭関係の写真家からプロジェクトをもっていくことになると思います。 いずれにせよ、レビューを通して写真家に機会を作ろうと頑張ってきた僕たちとしては願ってもないチャンスですし、今年の参加者に限らず過去のたくさんの参加者、ゲストからセレクションしてプログラムを持っていけるのは六甲山ならではではないかとおもいます。 8月19日から開催される今年の六甲山国際写真祭2017にぜひきていただいて雰囲気をご覧いただけると嬉しいです。今後のレビューをどうするか、今年は山上であまり世界ではみかけない実験的なレビューも行いますので、その結果を踏まえて来年以降のレビュー体制を整えて行くつもりです。 8月19日には国内初の試みとして写真教育シンポジウムを開催します。写真、写真家をめぐるいろいろな問題点をまずは探っていこうというディスカッションですが、5月にマレーシアで開催された同様のイベントPhotosymposiumを国内向けにアレンジしたものです。技術的、実践的な写真のワークショップは国内にもたくさんありますが、写真の表現など現代の世界の写真の潮流に即した方法論や写真界のバックヤードに関しては、国内ではほとんど知識を得ることができません。それらを整理して一般への写真の啓蒙や写真家教育などに取り組んでいこうというのが今回のシンポジウムです。 8月27日のワークショップも、ぜひご参加ください。このワークショップ参加者から世界につながった方もおられますし、何より参加前と参加後の作品に対する考え方が180度かわり見違えるような作品になっていくのが実感できると思います。 毎年恒例のLucky Photo Marketも六甲山国際写真祭のお楽しみの一つに育ってきました。写真祭の資金獲得のためのこの抽選会は、参加写真家や協賛出版社、ギャラリーなどからプリントや写真集を無償でご提供いただいて、写真祭期間中みなさまにご購入いただいたチケット(1枚¥1,000)をお好きな作品に投票いただき、最終日27日に抽選会を行うものです。これが毎年とても盛り上がります。去年は会場を渦のような歓声が埋め尽くしました。わけのわからないまま参加されて一枚のチケットがプリントに化けて、わけのわからないままプリントを持って帰っていただいた方もいらっしゃいます!今年も明日から公式サイトでもチケット販売をいたします。遠隔地でなかなか足を運んでいただけない方にもご参加いただけます。ぜひご参加くださりプリントやグッズ、写真集などを当ててください。 どうぞよろしくお願いいたします。

RAIEC SHOW 2017 作家紹介

By |2017-08-14T13:00:56+09:008月 14th, 2017|2017, RAIEC|

こんにちは★RAIEC SHOW 2017 作家紹介に参加してくださる五名の作家さんを紹介いたします。 「水中禅」 久保 誠     私は閉息潜水でFree diverを撮影しています。水中呼吸しない動物が潜水すると潜水反射が働き、人は末梢の血管を収縮させ心肺と脳を中心に血液を循環させると共に、潜水徐脈も現れ心拍数が落ちます。その機能を使い心身共に平穏になって潜水する様子が禅定の様だったので、水中禅というプロジェクトを始めました。潜水反射を感じながらの撮影はダイバーと私の間に境界がなく、脳の活動は抑制されYesかNoかの判断もしません。それは禅で言う悟りです。   「Individual」 志水 幹憲   死者:15,8911人 行方不明者:2,584人 (2015年3月10日現在) 東日本大震災から4年。それは、ひとつの震災として記録され、ひとつの歴史になろうとしている。 しかし、人々の悲しみや苦しみは被災した人々の数だけ刻まれた。 私は震災遺留品を作品に残すことにした。この作品を通じて、それぞれの遺留品から、それぞれのストーリーが伝わることを願って。   「Fukushima Samurai」 高杉 記子     これは、1000年続く相⾺野⾺追の侍たちを、同じ時代に⽇常を送っていた⽇本⼈とそのアイデンティティとしてとらえた⻑期的なプロジェクトだ。土地と記憶、馬と人、祈りと現実、伝統と近代技術、失ってもまだそこにあるもの、何かをあきらめて選んだもの。私の⽣活は、私自身が⽇々何が⼤切かを選んだものの累積であり、紡がれてきたものだ。いつのまにか、同じ時代を⽣きる彼らの姿は、私自身のセルフポートレートになっていった。   [...]

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WAVE photography platform vol.1

By |2017-07-08T12:29:28+09:007月 8th, 2017|2017, Mirage Gallery, Photo Book|

 ©EIJI OHASHI   みなさま、こんにちは。RAIECの氏川です。 Mirage Galleryでは六甲山国際写真祭に関係する写真家に活動の場を提供するツールとして、WAVEという新しいプラットフォームを立ち上げました。 ここから大小さまざまな波のうねりを生み出すことを期待しています。第1回目は昨年8月に開催された六甲山国際写真祭ポートフォリオレビューにおいて、写真集出版という成果を手にした3名の写真家によるグループ展です。   自身の出身地四国遍路を題材にした尾崎ゆりの『88』 ひっそりと輝く自動販売機に現代人の姿を重ねる大橋英治 『Roadside Lights』 ハードなモノクロ作品で見る者の心を揺さぶるTakamoto Yamauchi『FROM DUSK』   三者三様の写真集ですが、いずれも六甲山国際写真祭のレビューを経てたどり着いた成果の一つです。 7/22よりMirage Galleryにてグループ展を開催します。ご期待ください。 また7/22はオープニングイベントとして、尾崎さん、大橋さんによるトークショーを開催します。 出版に至るまでの経緯を踏まえ、そこからどのように活動の幅が広がっていったのか。 貴重な体験談をもとにお話を伺います。 今後写真集出版を目標にされている方 過去にポートフォリオレビューに参加したけれど、残念ながら思うような成果を得られなかった方 [...]

六甲山国際写真祭2017ボランティア募集中

By |2017-07-08T14:15:35+09:007月 7th, 2017|2017, Mt.ROKKO, RAIEC, Support, 未分類|

こんにちは、RAIECの氏川です。 六甲山国際写真祭は毎年たくさんのサポーター、ボランティアの方々に支えられています。 RAIECでは私たちと一緒に今年の六甲山国際写真祭2017を盛り上げてくださるボランティアスタッフを募集しています! 写真やアートに興味があり、写真祭運営に関わってみたいという方のご応募お待ちしております。   【主な仕事内容】受付・案内・グッズ販売等の平易な業務 【会期】 2017/8/19−2017/8/27  *(月)休み 【会場】 C.A.P / KIITOデザイン・クリエイティブセンター神戸 / Mirage Gallery *時間は会場ごとに異なります 【お申し込み方法】info@rokkophotofestival.com まで下記の項目をご連絡ください。 その際タイトルは「六甲山国際写真祭2017ボランティア応募」としてください。 1.氏名(ふりがな) 2.メールアドレス 3.電話番号(緊急連絡先として連絡のとれる番号)   *8月5日に行うボランティアスタッフミーティングにご参加ください。 [...]

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六甲山国際写真祭のHPをリフレッシュしました(失敗談付き)

By |2017-07-04T07:57:57+09:007月 4th, 2017|2017, Mt.ROKKO, NEWS, Organization, RAIEC|

六甲山国際写真祭のHPをリフレッシュしました。2017年のプログラムがほぼ決まり、これから新しいデザインで運用したいと思います。 今回リフレッシュに至った経緯は、前のデザインが煩雑で人気がなかったことに加えて、Akismetというスパム防止プラグインを導入していたにもかかわらず、なぜかサービスの接続が途切れていてフォーラムに大量のスパムが送られていました。今回はそのスパムを削除する、というものリフレッシュの理由です。ところが、、千件に渡るスパムを削除するのは並大抵のことではなく、データベースを触らなくてはならないため素人では手を出しにくくながらく躊躇していたのですが、今回Mirage Galleryを立ち上げたこともあり、両方のサイトを新たに作ることにしました。 今年フォーラムの利用を考えていた方、昨年フォーラムにご参加いただいた方には大変申し訳ないのですが、フォーラムとトピック、ユーザはなんとかバックアップできたものの、返信のデータがバックアップされないというトラブルに見舞われました。そのため、現在フォーラムに来ていただいてもトピックしか表示されません。 昨年の参加者の皆さんにもご協力いただいて、こちらで回答できることはできるだけ写真祭に間に合うよう補足することにしています。フォーラムの復活にどうぞご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。また、新たにトピックを立てていただけると嬉しいです。 ちなみに、今年の六甲山国際写真祭の公式生き物は「カブトムシ」です!

Mirage Galleryが始まります

By |2017-07-03T21:04:18+09:006月 12th, 2017|2017, Feature, Mirage Gallery, NEWS, Organization, RAIEC|

RAIEC-Mirage Galleryが6月24日に開設されます。 このギャラリーは、六甲山国際写真祭の実行委員会であるRAIECの運営する写真ギャラリーです。六甲山国際写真祭やRAIEC関連のイベントを中心とした六甲山の写真コミュニティーの写真家たちが自由に使えるギャラリーを目指し、また写真を使った社会教育などの一般向けプログラム、コミュニティーワークショップを基礎教育から拡張させた定期ワークショップ、コミュニケーションやディスカッションを通じて作品を磨くメンバー制のサロンなど、新しい試みを通じて写真のもつ力を、特に関西圏で訴えていきたいと考えています。また、長年神戸で活動し昨年末一旦閉廊したGallery TANTO TEMPOの展覧会も企画の委託を受け、年間2–3プロジェクトを実施します。 RAIECはこの秋のNPO法人化を目指して準備を進めており、写真家の育成と国内の写真の地位向上に努めて参ります。 ギャラリーは現在内装工事に入っています。4面の延べ15mにわたる壁面に加え、アジアを中心とした写真集書店エリア、3x3mの写真集ライブラリーつきメンバーズサロン・レクチャールーム、オフィスを備えており、バックヤードとして倉庫兼スタッフルームもあります。6月20日ごろ引渡しとなり、6月24日にオープンとなります。 なお、Mirage Galleryは当面は入場料制を取り入れて運営いたします。もちろん、写真展の入場料制については異論やご意見もあることは承知していますが、NPOが広く一般から会員を募りその会費をもってその運営に当たる、という趣旨がRAIECが法人化された場合の組織運営によく当てはまると考えています。今後は会員を募集し、その会員については入場料は無料とします。これらの入場料制の趣旨にご賛同いただけない場合やお手持ちの資金がない場合などは必ずお支払いいただくような徴収はいたしませんので安心してお越しください。入場料は一つの企画ごと200円です。会費は年間3,000円となっています。高校生以下は入場無料。学生は100円です。ご理解、ご協力をお願いいたします。 こけら落とし展は香港の写真家のChan Dick氏を迎えて開催し、7月後半はグループ展、8月19日から六甲山国際写真祭、9月以降のスケジュールも続々決まっています。 どうぞよろしくお願いいたします。    

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事前審査講評

By |2017-07-03T18:21:47+09:006月 8th, 2017|2017, Mirage Gallery, Mt.ROKKO, NEWS, Organization|

2017年の写真祭ポートフォリオレビューの事前審査が終わりました。現在結果をそれぞれの写真家に送り出しているところです。 今年の作品は全体として低調でした。作品に芯がなく、何を伝えたいのか、どう表現し、誰に伝えたいのかが明確でない作品が多かったと思います。ただ小ぎれいな写真を並べたり、美しくもインパクトもない写真を連ねたり、テーマやストーリーが定まっていない作品が例年より目立ちました。ステートメントも、内容、書き方、全てが不勉強で、作品を支えるものとはとても思えないものが多かったと思います。とはいえ、現在の日本で写真表現をどう学び、どう準備を進めていけばいいのかわからない、という写真家が圧倒的に多いことも確かです。写真家ばかりに責任を押し付けるわけにはいかないと思います。 六甲山国際写真祭も今年5年目を迎え、これまで数多くの優れた写真家を目撃し世界に送り出してきました。ここにきてこのような質の低下を迎えたことをどう考えるべきなのでしょうか。しかし、実際こういう事態が起こることは十分に予想されたことです。 ポートフォリオレビューという言葉が一人歩きしているのか、ポートフォリオレビューが作家としてのチャンスを作り出すものであるとの認識がない、おそらくなんらかの認識不足か誤解があり、そもそも写真の勉強をしているのか、他者の作品を見て評価したり自分がどう評価されるのだろうかなどと考えたことがあるのか、そもそも作家であると宣言できる資質や経験が圧倒的に足りないわけで、おそらくポートフォリオレビューを受ける以前に写真家という職業や作品という言葉の理解、すべてについて理解しているのか疑わしい人が応募してきています。もちろん、ポイント上位にいる人たちは経験豊富で美しい作品もあり、それがせめてもの救いです。作家になるということがいかに大変か理解しないままこのような場所にやって来ると、結局は傷つき悩むだけです。 その原因について考えてみると、一通り優秀な作家たちが国内のレビューを一巡したと考えるべきなのか、日本の写真家層の薄さの問題なのか、ポートフォリオレビューのシステム自体に不信感があり賢い写真家たちが回避しだしているのか、写真祭そのものが十分に機能していないのか。どれも理由としては正しいと思います。しかし、その理由を探る前に、本来的なポートフォリオレビューなどというシステムがこの国においては、一部の写真家を除けば、まだまだ大げさで不要なシステムなのではないかと考えざるを得ない気がします。そもそも、力のある写真家はレビューシステムには乗らず自分で道を切り開いていくだろうし、国内のコンペなどからギャラリーなどが総じて抱え込み売り出す作家もいるでしょう。直接海外コンペに踏み出して羽ばたく人もいると思います。ポートフォリオレビューにチャンスを求める作家はある意味で限られていて、いずれいい作家が不在になるだろう、という予測はずっと以前からありました。ポートフォリオレビュー界隈に写真家を集めるためには、レビューが成果を出し続け、名前の大きな海外レビュワー(魅力的なプロジェクト)を揃える必要があるわけですが、作家、レビュー、システムすべてがあるレベルで機能しないと、いい作家を集め世界に届けることなどできるわけがありません。運営サイドにとってもこれらの悩みがあるばかりでなく、財政的圧力も大きいため、ポートフォリオレビューを開催することが必ずしもいいと感じているわけではなく、むしろ闇雲にレビューを続けてもあまり意味がないように感じはじめています。六甲山国際写真祭が高名なレビュワー(プロジェクト)ではなくどちらかというと教育的な専門家や写真祭イベントを呼んでいるのは、作家とプロジェクトの間を埋めやすいからです。実現しにくい大きなプロジェクトよりも、手が届きやすく経験値を上げられるプロジェクトを呼んでいるのも、こういった現実や予想を踏まえてのことです。 では、作家は準備が整った結果としてこういう場に参加するべきなのでしょうか。答えはその通りでもあり、その通りではないとも言えます。つまり、国内には写真家として教育を受けたりチャンスを掴む場所があまりにも少ないという実態もあるのだと思います。その結果、ポートフォリオレビューに対する誤解が生じているということもあるのかもしれません。本来、ポートフォリオレビューは作品に対する感想を求めたり、準備が整ったかどうかを誰かに判断してもらうためのものではありません。不幸なことに、この国には写真家の準備が整ったかどうか判断して世に送り出したり、留めたりするシステムはありません。写真賞やレビューの一部、ギャラリーなどがその一端を担っているだけで、チャンスが少ないばかりか系統的なアート教育を担う機関などはほぼありません。アンケートでも、高いアート教育を受けた人は回答者180名全体の7%以下、Review Santa Feなどでこれまで出会った写真家のアートなどの学位保有者が75%を超えるアメリカの実態とはあまりにもかけ離れています。準備を整えるためには自学自習ではまず絶対に学べない表現やストーリーの組み立て、編集の大切さを豊富な経験のある指導者に教えを請うべきですが、経験豊富な指導者もおそらく国内にはわずかしかいないでしょう。先に行なったアンケートでも、自身が優れた写真家になれると信じている方が非常に多かったのですが、一方で同じ回答者が教育のなさを問題とし、どう表現すればいいのか悩んでいる実態も明らかになりました。この矛盾したアンケート結果が国内の写真全体の雰囲気を作り出していることは明らかです。 事前審査の応募状況をみて、今年の写真祭では、従来の1対1、20分のポートフォリオレビューは行わないことにしました。今年は例年より少ない20名の国内写真家と10名余の海外写真家がレビューを受けますが、無理に進めてもチャンスが訪れないばかりか写真家、レビュワーの双方を疲れさせてしまうでしょう。そこで、レビューよりもグループワークなどの方法でレビュワーと写真家が交流し学びを得られる全く別の場を作ろうと考えています。 さて、それでは事前審査に通らなかった写真家たちは一体どのように再挑戦をすればいいのでしょうか。僕は、それはもう猛烈に勉強するしかない、と答えます。教育を受けていない人たちは、教育を受けている人たちより明らかにスタートラインが後方にあります。その間を埋めるためには闇雲にチャンスを求めるより、系統的な教育を行なっているワークショップなどを探してアートの理解を深める必要があると思います。六甲山国際写真祭でも、上記の実態を踏まえ、附属のMirage Galleryと東京で系統的なアートの基礎、表現を学べるワークショップを順次開催予定です。これらはいくつかの世界的なワークショップからシステムごと呼び込んで、国内向きに調整して始めます。とにかく知識を蓄え、他者に作品を見せ、そのフィードバックから作品を作りこまないとチャンスはないと思います。逆に、系統的な知識の集積、社会問題への視点、フィールドワーク、ストーリーテリングの手法、コミュニケーション能力の開発、オリジナリティーを意識して写真に取り組むなら、チャンスを掴むことはさほど難しいことではないと思います。 来年度以降の六甲山国際写真祭は、おそらくこれまでの写真祭とは全く異なったワークショップ中心の写真祭にシフトすると思います。ポートフォリオレビューについては今年のレビューの状況を踏まえて存続させるか廃止するか慎重に検討しようと考えています。もちろん、系統的な教育に参加してくる写真家には、最大限のチャンスがあるような仕組みも検討します。 (イメージは、現在準備中の写真教育教材"I am Steven"の1ページです。システムとしての教育にサポートされた左と、教育のない状況から他者を押しのけて上ぼらなければならない右との状況の違いを示しています)  

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