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六甲山国際写真祭2019を振り返る・その2

By |2019-09-04T01:21:02+09:009月 4th, 2019|Exhibition, Experience, Mirage Gallery, Mt.ROKKO, NEWS, Organization, Photographer, Photography, Portfolio Review, RAIEC, Workshop|

ミニマルで手作りでありながら最高の体験ができる。六甲山国際写真祭はずっとそんなものを追い求めていた気がします。2013年の5月に実行組織を立ち上げて、初めての写真祭をその年の11月に六甲山上で開催した時、僕は関係者に「結婚式2つ分ぐらいの労力と資金でできること」を実施することを求めていました。新郎新婦が半年程度の準備期間に苦労して開催できる範囲のことを手作りでやろうと考えていました。大きな夢をみなかったわけではありませんが、特定の企業や写真産業に資金や協力を求めてこなかったのには理由があります。参考にした二つの写真祭も大きいものではありませんが、それは運営自体をコンパクトにすることで中身を充実させ、参加者と実行組織との距離を縮め、より体験型の写真祭をデザインしているからです。そうはいっても、詰まるところ、僕自身が忙しく大きなことはできないのは明らかだったのが最も大きな理由でしょう。 最高の体験。参加者にとってそれがどういう意味なのかはすぐに理解することができました。レビューで参加者たちが求めることは、作品への適正な評価と作品作りへの適切なアドバイス、そして機会の提供です。僕のような日本人の、写真の外野からやってきた者にさえ、アメリカやヨーロッパの人たちがレビュー枠を競うように取り合ってくれるのは、面白い体験でした。僕のレビューはいつも真っ先に満席になっていたそうです。それは評価の仕方やアドバイス、機会の提供がうまくできているからだと教えてくれた人がいました。そこで、日本でも同じように写真祭をつくればうまく運営できると考えました。最高の体験を国内の写真家にぜひ味わってもらいたいと思いました。2013年は、Antoine d'Agataが手伝ってくれました。運営は今から考えるとめちゃくちゃでしたが、手応えはありました。ポートフォリオレビューの枠取りも大失敗でしたが、みんな怒りもせず我慢して待ってくれました。2014年は初めて本格的な写真展を試みましたが、山上の公園の奥深くで展覧会をやったので誰もみにきてくれませんでした。ホームページは制作途中で止まってしまって、ようやく形になったのは写真祭が始まった後でした。2015年と2016年は規模を大きくしてスタッフボランティアも大幅に増やしました。近くのギャラリーも巻き込んで無理を言って会場に使わせてもらいました。しかし、自己負担金が膨れ上がって、まともな生活に戻るのに1年近くかかるという苦い経験をすることになりました。しかし、いずれの年も、参加者たちは皆いい顔をして写真祭を去っていったような気がしています。皆が成功するわけもないけれど、充実した山上のキャンプを皆が楽しんで有意義に過ごしたのだと思います。そして実際、多くのプログラムが国内の他の写真祭や出版、海外のプログラムに旅立って行きました。 ・・・。 2019年の写真祭を終えて、満足かと聞かれたらどう答えていいのかはわかりません。世界がいろいろな局面でざわざわしているこのご時世に、写真(写真祭を運営する)の意味について考え続ける身としては、上記の体験を通してミニマルな、手作りな、親身な運営をする以外に六甲山を特徴つけることなんてできないのです。最高かどうかはわかりません。しかし、来てくれた以上は誰一人つまらない思いをして去っていかないよう六甲らしいものであろうと心がけました。展覧会は、My Place My Lifeのテーマのもと、一般の方がみてもわかりやすいプロジェクトを招きました。Santiago Vanegasのシリーズは、家族、故郷を美しい光で捉えた秀作でした。去年の関西御苗場でレビュワー賞に選んだ眞岡綺音は、その後の夢の先プロジェクトをグランプリで終えましたが、みずみずしい表現が好評で、若者らしく皆に愛されたと思います。昨年のReview Santa Feで会ったKurt Tongは、祖母を題材にしたパーソナルワークですが、素晴らしいテンポのある作品で見るものを魅了していました。今回は公募展として神戸国際写真賞入選作も発表しました。イタリアから来たFrancescoの作品もやはり故郷への思いを詩的で内省的な表現で描き好評でした。ほんだのりこさんの病に倒れた妹との関係を丁寧に綴った作品も心を打つものでした。そして、Mo Velraanの作品は、上質で心象的な光源を駆使し、自分とパートナーとの間に突然降りかかった病がどれほどつらかったのか、それをどう克服するのかというストーリーで人々を惹きつけていました。C.A.P.のMikaelは残念ながら当地に参加はできませんでしたが、黒人の身体美をつかった黒人差別への強烈なメッセージをこめた作品を送ってくれました。「まちのかり」の参加写真家たち5名は、ローカルストーリーを語るのに苦労したかもしれません。しかし、小さな町の小さな物語にはいつも魅力を感じずにはいられません。「まちのあかり」は六甲山国際写真祭の歴史そのものです。「まちのあかり」会場では面白い?仕掛けも試みました。日本地図と世界地図を配置し、訪問者の出身地や思いのある場所をマッピングしました。 ビッグネームは誘わないのかとよく聞かれます。つながりの中からより大きな人に声をかけて来てもらうことはさほど難しくはありませんが、僕は今回のようなストーリーを語れるゲストの方が神戸やミニマル写真祭には合うと思いました。一般の訪問者に写真の魅力をより伝えられると思いますし、なにより大切に思えて好きです。アートの本質にはちゃんと届いていて、物語が美しく、光と闇が交錯していれば誰にでも理解できる作品になる、それが大切だと思えるのです。Mirage Galleryでの大西正・鈴木達朗写真展は、写真祭初日から快進撃です。彼らと会ったのは2017年のTokyoArtBookFairでブースが隣り合わせだったからですが、ストリートフォトを展示するのも扱うのも初めてで凄みのある展示になりました。写真祭期間中、ものすごい数の人がMirage Galleryを訪れ、交流し、特別に二人が制作してくださった展覧会カタログを購入してくれています。在廊し、写真祭を盛り上げる。観客に声をかけ、写真を説明し売り込む。写真に対する姿勢の美しいお二人には本当に感謝しています。レクチャーではCasePublishingの大西洋さんにお世話になりました。写真集の現在は、旧式の出版業界のシステムに始まったアンチテーゼとは大変面白い話でした。これからの写真集出版がどういう軸で動き、どういうマーケット構造で広がっていくのかが端的にわかったほか、写真集そのものが形式をまとうことを避けながら独自の芸術に昇華しつつあるというお話は、これから出版を目指す人にはとても役に立ったと思います。 今年は新会場である相楽園が写真祭を迎え入れてくれたのが大きかったと思います。C.A.P. KOBE STUDIO Y3の展示に加えて、大きな展示は手作りの竹のかけ具で行うことを決めていました。真夏の炎天下の、そして大雨のふる中での設営は大変でしたが、ボランティアで参加してくださった写真家有志の献身的な努力により、風雨にさらされても崩れない立派なものができました。31日1日はにわのあかりというライトアップイベントに2000人以上の人が集まりました。そして多くの方が写真展を見てくれたと思います。1日のレビューワークショップ参加者の公開プレゼンテーションは、ピアノの発表会に出演する子の親のような気持ちで見守りましたが、すべての写真家が多くの観衆の中堂々と作品を発表していました。2日間のワークショップで作品に与えられるものなどわずかしかないと思いますが、それでも作品は生き生きと語りを得て輝いていくはずです。Kid's Photo Mastersには5名のKidsが参加してくれました。Francescoと審査しましたが、楽しいアートな作品がたくさん生まれました。 結論を言うと、僕はこの写真祭は7年目にしてやっとスタイルを得たと感じています。最高とは思いませんが、僕たちが今できる最高のものを作れたんだと思います。来年?来年写真祭を開催するかはまだ白紙状態です。しかし、何かはやるつもりです。そのために死に物狂いで働いています。 [...]

オープンポートフォリオビューイング 9/1日 PM3 相楽園 Open Portfolio Viewing

By |2019-08-24T01:07:08+09:008月 24th, 2019|2019, Mt.ROKKO, Photographer, Portfolio Review, Workshop|

六甲山国際写真祭2019オープンポートフォリオビューイングの開催が決定しました。 今年は神戸市立相楽園 内の旧小寺家厩舎 (重要文化財)が会場になります。 お申し込み不要、どなたでもご自由にご覧いただけます。ぜひこの機会に写真祭参加写真家らとの交流をお楽しみください。     オープンポートフォリオビューイング 2019.9.1日 15:00-17:00頃まで 場所 神戸市立相楽園 旧小寺家厩舎 相楽園の入場料が必要です。大人 300円 小人150円 8/31 (土) 9/1(日)「にわのあかり」イベント開催中のため、浴衣で来場されると入場料が無料になります。        

4/6(土)7(日)はRAIEC TOKYO 2019 オープニングイベント開催

By |2019-04-05T17:04:47+09:004月 5th, 2019|2019, Mt.ROKKO, Photographer, Portfolio Review, RAIEC TOKYO|

こんにちは。RAIECの氏川です。 六甲山国際写真祭2019参加写真家の募集も始まり、また六甲山での夏に向けて本格的に動き始めました。 現在東京では、昨年に引き続きT.I.P./ 72Gallery(中央区京橋)ご協力のもと、RAIEC TOKYO 2019を開催しています。 RAIEC TOKYOは六甲山国際写真祭の活動を東京でも広く知ってもらうためのイベントです。 前年度のポートフォリオレビュー 参加写真家有志が中心となって主体的に運営しています。 今年は13名の方が参加しています。 六甲山国際写真祭2018ポートフォリオレビュー 参加者グループ展 参加写真家 足立健司 大滝恭昌 川鍋はるな 幸村千佳良 鈴木かずなり 田中光夫 田村友美 田村虎之亮 二宮雄大 野呂田晋 和田芽衣 Mitsuyuki Yamaguchi    Scott Hunter 撮影:田村友美 残念ながら私もまだ直接展示作品を拝見できていないのですが、みなさん昨年の写真祭のときよりも更に作品をブラッシュアップされている様子が伝わってきます。会場で作品を見れるのが楽しみです。 [...]

六甲山国際写真祭2019 参加写真家エントリー受付スタート

By |2019-03-14T19:10:04+09:003月 14th, 2019|2019, Mt.ROKKO, Photographer, Portfolio Review, RAIEC, Story|

OPEN CALL 2019 EXHIBITION / PORTFOLIO REVIEW For more information → OPEN CALL 2019 六甲山国際写真祭2019参加写真家のエントリー受付が始まりました。 今年はポートフォリオレビュー参加者 に加え、展示作品も公募します。 応募期間:2019年3月14日(木)―4月30日(火) 応募費用:1シリーズにつき6,000円(3/31までのエントリーは早期割引適用5,000円) 結果発表:6月上旬にメールで通知 応募方法:オンラインエントリーのみ   六甲山国際写真祭2019 [...]

六甲山国際写真祭に参加して / 岡原功祐

By |2017-07-03T18:24:44+09:004月 28th, 2017|Experience, Mt.ROKKO, Photographer, Photography, Story|

こんばんは、六甲山国際写真祭2017ポートフォリオレビュー事前審査の募集も4月30日までと迫ってきました。 去年の夏の四回目の写真祭の招待作家で参加していただいた岡原 功祐さんから素敵なトークと展示を発表していただいた様子のリポートを預かっています。   六甲山国際写真祭に参加させて頂いた、岡原功祐です。今回、私の作品「Fukushima Fragments」を展示していただきました。 写真展で展示したプリントは、3月に東京で行った写真展のものを神戸に運んで頂き、展示したものですが、大きなシートにステートメントを印刷して頂き、ました。ステートメントはこの作品にとってとても大事な部分なので、こうしてこのプロジェクトを大切に扱って頂いたことにとても感謝しています。 さて、始めて参加させていただいた六甲山国際写真祭ですが、ボランティアの方々を含め、運営の方たちにとても温かく迎えて頂き、素晴らしい時間を過ごすことができました。 初日のトークでは撮影のプロセスを、写真を見せながらお話しさせて頂きました。5年半前の震災は、物理的にも精神的にも難しい撮影でした。今回こうして関西で福島についてお話しさせて頂く機会をいただけて、とてもありがたかったです。 2011年の震災後、何度か関西を訪れる機会が有りましたが、そのたびに東日本とは全く違う空気が漂っていることにショックを受けると同時に、ほっとする自分がいたのを思い出しました。逆に、神戸の震災の時は東京にいて(高校受験の当日でした)、テレビのニュースから流れる映像にショックを受けつつも、実際に現場を見ることはありませんでした。すでに21年もの月日が流れたということに驚きを隠せません。       フェスティバルでは、トークの他に、ポートフォリオレビューにもレビュアーとして参加させていただきました。皆さん準備が素晴らしく、一緒に参加していたシンガポールや中國からのレビュアーも驚いていました。レビューを受ける方同様、私も撮る方なので、作品作りの難しさなどについて共感できるところも多く、何かしら良いものを持ち帰っていただけたらと思いレビューさせて頂きました。私とは畑違いの作品も多く見させて頂きましたが、写真を通すと不思議と見えてくることが多々あり、改めて写真という媒体について考えさせられました。作品は人に見られてなんぼだと思うので、こういったレビューの場は、作品が飛び立っていく上でとても大事だと感じます。 フェスティバルというよりは参加者の強化合宿のような色合いが強い場でしたが、こういった機会は日本では中々ありません。写真教育を中心に据えて行うという理念も素晴らしいと思います。このフェスティバルが、国内の写真教育の重要な場として今後も末永く続くことを祈っています。       六甲山国際写真祭2017ポートフォリオレビュー事前審査のエントリーフォームはコチラになっております。 http://rokkophotofestival.com/blog/?page_id=11357      

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写真表現のためのコミュニケーションWS RAIEC TOKYO 2017 に参加して / 久保 誠

By |2017-07-03T18:26:14+09:004月 25th, 2017|2017, 2017RAIECsatelliteTokyo, Experience, Photographer, RAIEC, Workshop|

六甲山国際写真ポートフォリオレビュー2016のレビューイとして参加した久保誠です。 私は「写真作品を発表する」ということを、自身の思いを伝えるためにプリントをして見せることだと考えていました。 間違っていないとは思うのですが、それは常に主観的で自分本位になりがちな、押し付けがましい行為ではないかと心配でした。 コミュニケーションという言葉にも引っかかります。コミュニケーションならば双方向の対話なはずなのに、観衆からのフィードバックを受け取っていない自分がいたからです。言語を持たず感覚を頼りにして撮っていた私の作品を社会システムの中で同意してもらうためには、観衆である他人を考え客観的な言語にする必要がある。 この事を実践的に習えたこのワークショップは、私にとって大変有意義でした。     「内向的なのか外向的か」「パーソナルなのか社会的なのか」「インパクトの強弱」「見えているのかそれとも想像の世界なのか」、自分の作品の主観を捨てて、客観的に分析するためのヒントを沢山もらいました。 後半の自分の作品のステートメントを他の参加者が作るグループワークでは、自作ステートメントとより良いものが出来る新鮮さに皆、驚いた様子でした。 ワークショップの中で杉山さんが言っていた通り、ステートメントは辞書で調べても「思い」の意味は無く「声明」や「宣言」でした。   自分の作品をより理解してもらうために、もう一度言語で明確にしてみます。    

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2017RAIEC Tokyo 参加作家ファイル -02-

By |2017-07-03T18:30:39+09:004月 7th, 2017|2017, 2017RAIECsatelliteTokyo, Mt.ROKKO, NEWS, Photographer, Photography, RAIEC|

明日から2017RAIEC Tokyo展がスタートです。 総勢21名の展示の搬入が先ほど終わりました。 会場は3331 Arts Chiyoda 〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14 東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分 東京メトロ千代田線湯島駅6番出口より徒歩3分 都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口より徒歩6分 JR御徒町駅南口より徒歩7分 JR秋葉原駅電気街口より徒歩8分 JR御茶ノ水駅聖橋口より徒歩15分 開催期間は2017年4月8日〜4月16日      12:00〜20:00(最終日18:00まで)となっております。 参加作家の方々をご紹介(順不同)しています。第二弾!! 参加作家の皆さん、ありがとうございます。 http://rokkophotofestival.com/raiec_tokyo/ RAIEC2017satelliteTokyo 参加作家ファイル -02-   [...]

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Kosuke Okaharaさんの仕事 – Main Guest Photographer

By |2016-07-14T00:25:16+09:007月 14th, 2016|2016, Eng, Mt.ROKKO, NEWS, Photographer, Photography|

KOSUKE OKAHARA “FUKUSHIMA FRAGMENTS” Aug 20 Sat – 28 Sun 2016 10:00 – 19:00 (closed on Monday) C.A.P. HOUSE 4F WEST GALLERY 岡原功祐 「フクシマ・フラグメンツ」 [...]

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ポートフォリオレビュー事前審査講評

By |2016-06-05T23:25:33+09:006月 5th, 2016|2016, Mt.ROKKO, NEWS, Organization, Photographer, Photography, Portfolio Review, RAIEC, Workshop|

2016年のMt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVALポートフォリオレビューの事前審査が終わりました。すでに結果は各方面に連絡済みです。 今年は通過者38名となりました。正直に申し上げれば、通過者と次点(補欠)、また通過されなかった方々の違いはさほどありません。どうしてもこのようなイベントの予備選考というものは難しくならざるをえませんが、それは集計点数のわずかな違い、当落線上の1点2点のなかに数名の参加者が集中し、最後は主催者判断が必要となることなのですが、いずれにせよ結果は出ました。 今年は、それでも六甲山国際写真祭の役割というか、この写真祭に参加することで世界中につながりを作りたいという思いが強い方が集まってくださったと思います。上位6名程度は、海外でも十分に活躍できる力量があると考えられますし、作品を作っていく上での覚悟が見えたり、アイデアが豊かに見えたり、より大きなオーディエンスを意識した作品作りをされていたと思います。一方で、やはり作品作りが習作の域を出ず、作り込みが不十分であったり、ストーリーがなく独りよがりだったり、強い美を追求したり力強いテーマを描けずに苦戦する方も多かったと思います。今年から従来の審査基準に加えて、将来性、というキーワードにより多くの点数を含めたことも採点に大きく反映されました。今はさほど強い作品でなくても、将来に可能性を感じさせる作品や、実験的ではあるけど可能性を探ろうとしている作品がいくつか審査を潜り抜けています。 皆さんの経歴を見ていると、なるほど様々なイベントやレビュー、出版物を経過して来られている方も多いのですが、アートや写真の歴史や構造を意識しつつ、どのように自作をアピールするかという点で弱かったり、ステートメントと作品の間に乖離があったり、ステートメントで語りすぎているのに作品が弱かったりと、イメージ自体はさほど悪くないのに得点が伸びないか減点されているというケースが多々見られました。自学されて活動をされている方が多く、専門的な教育を受けていないということも確かにありますが、おそらく写真を作る動機、誰に見せたいのか、どういう人たちと付き合いながらどう世界につながっていくのか、というアイデア勝負となると、国内では通用してきた経験者でも、世界レベルから評価すると圧倒的に経験値が足りないことがよくわかります。正直に言えば、上位10名がなんとかそういう領域には達していますが、それより下位の皆さんはほとんど一並び、そういう意識は見えない方が多いように感じました。また、繰り返し参加されている方も申し込み者全体の20%に及びますが、明らかな新作を提示して来られた方や掘り下げ方を変えて来られた方が通過しています。再挑戦はプロジェクトによほどの発展がないと辛口評価になってしまいがちです。 イメージとしては美しい作品を作っていても、ストーリーが描ききれてないか、複雑な説明を置いたり、言葉を重視しすぎたステートメントが重荷になって評価を下げた作家もいました。通過者の中にもステートメントに問題があるか理解できないものが若干含まれているため、本番を前に作品を整理しなおす場面も必要かもしれません。これは希望があれば準備会のようなセッションを持てればいいなと考えています。また、写真家のウェブページについても、簡潔で十分な情報があり、美的な要素が感じられるサイトを作っておられる方もいますが、そもそもサイトを持っていなかったり、作り直したほうがいいサイトも多数あります。国際写真祭のポートフォリオレビューですので、この辺りも個別に準備を促していきたいと思います。 通過者全体でいうと、地域や家族を取り上げたパーソナルワークが30%、社会のありさまに視点を投げかけるプロジェクトが30%、コンセプチュアルアート20%、ドキュメント20%というような内訳です。風景が全体の20%、ポートレイトが30%、静物が20%で、残りはスナップほか分類不能な作品となります。ただし、これは大まかな印象でこれから少しまじめに集計してみようと思います。 残念ながら通過を果たせなかった写真家、作品についても、僕としては将来性のある作家や作品は何らかの形で取り上げていこうと考えています。がっかりされている方もいらっしゃると思いますが、がっかりしている暇があったら作品をより良いものにする努力を払うべきです。落選するにはそれなりの理由があるはずで、その理由を自分なりに分析する冷静さが必要だと思います。また、実際に六甲山国際写真祭に限らず世界的な写真の枠組みでおこっていることを理解すること、世界という視野の中で表現を磨くために必要な努力については、リサーチが必要なのは言うまでもありません。これまでに参加されて活躍の場を自分でこじ開けてきた先人達のコメントを読んでそれらの作品が評価を得られる理由を考えてみたり、六甲山国際写真祭が写真教育、社会への理解を深めるために写真というメディアを用いている写真祭であることなど、写真祭の開催理念も包括的に理解した上で参加すべきだと感じられました。これにはRAIECのワークショップ、東京展などに足を運んでいただいて体験するのが早道です。六甲山国際写真祭は、写真家育成機関を謳ったことは一度もありませんし、写真家だけが参加してくる閉じたイベントではありません。むしろ私たちが向き合おうとしているのは一般社会の人々です。開催理念として描いているのはあくまでも写真を通じて人生、暮らし、社会への作家の視線や機微を掘り起こすことであり、写真家自身がメディウムであることを自覚して活動し、この途方もなく大きな写真空間を自在に行き交いながら新しい表現を用いて世界的な視野に立つことを目指せるようただ舞台を用意しているにすぎません。そのことを理解していただき、これからもそれぞれの皆さんが写真の高みを目指して活動していただきたいと願っています。

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Michel Huneaultの仕事 – RAIEC Director's Choice 2016

By |2016-05-31T12:47:05+09:005月 31st, 2016|2016, Eng, Mei House, Mt.ROKKO, NEWS, Photographer, Photography, RAIEC|

We will present “La longue nuit de Mégantic” of Michel Huneault as one of festival main guest photographers (RAIEC Director's Choice 2016). This [...]

Michel Huneaultの仕事 – RAIEC Director's Choice 2016 はコメントを受け付けていません。
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