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ポートフォリオレビュー準備会始まりました

By |2017-07-03T20:15:07+09:007月 16th, 2016|2016, Mt.ROKKO, NEWS, Portfolio Review, RAIEC, Support, Workshop|

今日は、六甲山国際写真祭2016に参加されるポートフォリオレビュー参加者のなかから希望者に対してポートフォリオレビュー準備会と称して、簡単なレクチャー、ポートフォリオレビューのロールプレイ、そして全員の方に実際にポートフォリオレビューを実施しながらレビューに臨む際の注意点などをお伝えしたり、写真の簡易編集を行って選ぶべき作品の順序やストーリーの研ぎ方、またどのサイズのプリントを用意すべきか、プリントのクオリティーをどこまで高めるかなど、基本的な対策と称して3時間にわたり参加者と交流しました。これは神戸会場が明日もう1日、そして来週末東京会場でも、参加者全体の実に3/4の方たちに有料で実施しています。 ポートフォリオレビューは、言ってみれば口頭試問のようなものですし、参加した経験がなければどれくらいのストレスがあり、どう進めていっていいのかわからないという実態があることが過去3年間の経験からわかっています。そこで、少しでも経験値をあげ、参加者の参加への不安を取り除きながら、写真の意図が伝わるように事前に準備を整えたほうがいいのではないか、と企画したところ、思わぬ数の参加者となりました。 せっかくいい写真を作っていても、プリントが悪いとレビュワーの評価にはつながりませんし、意味不明なステートメントであったり、訴えたいポイントがボケた文章だったりすると、それだけでチャンスを逃してしまいます。一文を付け加えるだけで社会的な要素を演出したりできることを、今日の参加者たちは実感したと思います。かなり手ごたえがあったので、運営サイドに時間的な余裕があるかがポイントにはなりますが、六甲山国際写真祭のレビュー自体の質を高め特徴のあるレビューにするためにもこの準備会は必要なのかな、と考えています。 そこまで実行組織がやるべきかどうかは正直悩むところではあるのですが、今日の参加者の振り返りにもあったように、緊張から言いたいことが言えない、緊張がほぐれ楽しくなってきた頃にはレビューが終わってしまう、というこういった対面のコミュニケーションが不慣れな方が多いことも現実にはあるわけで、決して安くないレビュー費用に対して効果が得られないようなレビューとなってしまうのはとても残念だという思いもあり、開催することにしました。また、国内のみならず海外のレビュワーたちに対しても、よく準備されているレビューというのは疲れず、楽しく、コミュニケーションが取りやすく、先のプロジェクトにつなげやすいというメッセージでもあるはずです。海外のレビューを数多く経験してきた僕としては、作品が同じレベルではなくても、コミュニケーションからつながりを作り得ることを知っていますので、その技術やアイデアを参加者に伝えることで運営そのものがスムースになるのなら、参加者も六甲山国際写真祭自体も評価を高めることができる、という読みもあります。 残り3日。参加者の覚悟に訴えてレビューの質を高める準備をしていきたいと思います。    

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ポートフォリオレビュー事前審査講評

By |2016-06-05T23:25:33+09:006月 5th, 2016|2016, Mt.ROKKO, NEWS, Organization, Photographer, Photography, Portfolio Review, RAIEC, Workshop|

2016年のMt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVALポートフォリオレビューの事前審査が終わりました。すでに結果は各方面に連絡済みです。 今年は通過者38名となりました。正直に申し上げれば、通過者と次点(補欠)、また通過されなかった方々の違いはさほどありません。どうしてもこのようなイベントの予備選考というものは難しくならざるをえませんが、それは集計点数のわずかな違い、当落線上の1点2点のなかに数名の参加者が集中し、最後は主催者判断が必要となることなのですが、いずれにせよ結果は出ました。 今年は、それでも六甲山国際写真祭の役割というか、この写真祭に参加することで世界中につながりを作りたいという思いが強い方が集まってくださったと思います。上位6名程度は、海外でも十分に活躍できる力量があると考えられますし、作品を作っていく上での覚悟が見えたり、アイデアが豊かに見えたり、より大きなオーディエンスを意識した作品作りをされていたと思います。一方で、やはり作品作りが習作の域を出ず、作り込みが不十分であったり、ストーリーがなく独りよがりだったり、強い美を追求したり力強いテーマを描けずに苦戦する方も多かったと思います。今年から従来の審査基準に加えて、将来性、というキーワードにより多くの点数を含めたことも採点に大きく反映されました。今はさほど強い作品でなくても、将来に可能性を感じさせる作品や、実験的ではあるけど可能性を探ろうとしている作品がいくつか審査を潜り抜けています。 皆さんの経歴を見ていると、なるほど様々なイベントやレビュー、出版物を経過して来られている方も多いのですが、アートや写真の歴史や構造を意識しつつ、どのように自作をアピールするかという点で弱かったり、ステートメントと作品の間に乖離があったり、ステートメントで語りすぎているのに作品が弱かったりと、イメージ自体はさほど悪くないのに得点が伸びないか減点されているというケースが多々見られました。自学されて活動をされている方が多く、専門的な教育を受けていないということも確かにありますが、おそらく写真を作る動機、誰に見せたいのか、どういう人たちと付き合いながらどう世界につながっていくのか、というアイデア勝負となると、国内では通用してきた経験者でも、世界レベルから評価すると圧倒的に経験値が足りないことがよくわかります。正直に言えば、上位10名がなんとかそういう領域には達していますが、それより下位の皆さんはほとんど一並び、そういう意識は見えない方が多いように感じました。また、繰り返し参加されている方も申し込み者全体の20%に及びますが、明らかな新作を提示して来られた方や掘り下げ方を変えて来られた方が通過しています。再挑戦はプロジェクトによほどの発展がないと辛口評価になってしまいがちです。 イメージとしては美しい作品を作っていても、ストーリーが描ききれてないか、複雑な説明を置いたり、言葉を重視しすぎたステートメントが重荷になって評価を下げた作家もいました。通過者の中にもステートメントに問題があるか理解できないものが若干含まれているため、本番を前に作品を整理しなおす場面も必要かもしれません。これは希望があれば準備会のようなセッションを持てればいいなと考えています。また、写真家のウェブページについても、簡潔で十分な情報があり、美的な要素が感じられるサイトを作っておられる方もいますが、そもそもサイトを持っていなかったり、作り直したほうがいいサイトも多数あります。国際写真祭のポートフォリオレビューですので、この辺りも個別に準備を促していきたいと思います。 通過者全体でいうと、地域や家族を取り上げたパーソナルワークが30%、社会のありさまに視点を投げかけるプロジェクトが30%、コンセプチュアルアート20%、ドキュメント20%というような内訳です。風景が全体の20%、ポートレイトが30%、静物が20%で、残りはスナップほか分類不能な作品となります。ただし、これは大まかな印象でこれから少しまじめに集計してみようと思います。 残念ながら通過を果たせなかった写真家、作品についても、僕としては将来性のある作家や作品は何らかの形で取り上げていこうと考えています。がっかりされている方もいらっしゃると思いますが、がっかりしている暇があったら作品をより良いものにする努力を払うべきです。落選するにはそれなりの理由があるはずで、その理由を自分なりに分析する冷静さが必要だと思います。また、実際に六甲山国際写真祭に限らず世界的な写真の枠組みでおこっていることを理解すること、世界という視野の中で表現を磨くために必要な努力については、リサーチが必要なのは言うまでもありません。これまでに参加されて活躍の場を自分でこじ開けてきた先人達のコメントを読んでそれらの作品が評価を得られる理由を考えてみたり、六甲山国際写真祭が写真教育、社会への理解を深めるために写真というメディアを用いている写真祭であることなど、写真祭の開催理念も包括的に理解した上で参加すべきだと感じられました。これにはRAIECのワークショップ、東京展などに足を運んでいただいて体験するのが早道です。六甲山国際写真祭は、写真家育成機関を謳ったことは一度もありませんし、写真家だけが参加してくる閉じたイベントではありません。むしろ私たちが向き合おうとしているのは一般社会の人々です。開催理念として描いているのはあくまでも写真を通じて人生、暮らし、社会への作家の視線や機微を掘り起こすことであり、写真家自身がメディウムであることを自覚して活動し、この途方もなく大きな写真空間を自在に行き交いながら新しい表現を用いて世界的な視野に立つことを目指せるようただ舞台を用意しているにすぎません。そのことを理解していただき、これからもそれぞれの皆さんが写真の高みを目指して活動していただきたいと願っています。

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Michel Huneaultの仕事 – RAIEC Director's Choice 2016

By |2016-05-31T12:47:05+09:005月 31st, 2016|2016, Eng, Mei House, Mt.ROKKO, NEWS, Photographer, Photography, RAIEC|

We will present “La longue nuit de Mégantic” of Michel Huneault as one of festival main guest photographers (RAIEC Director's Choice 2016). This [...]

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萩原義弘さんの講義

By |2016-04-15T01:12:43+09:004月 15th, 2016|2016, Experience, Mt.ROKKO, RAIEC, Story, Workshop|

3331で開催された写真コミュニケーションワークショップでは、"SNOWY"で知られる萩原義弘さんに講義をしていただきました。これまで様々な写真家と知り合ってきましたが、写真のプロジェクトの話を伺ってこの人ほどプロジェクトの話ができる人はいないんじゃないかなと考えての依頼でした。それはヴィジュアルなアーティスティックな点と、社会的な視点、教育的な視点とをすべてを併せ持っていて、これからプロジェクトを作っていこうとする方達には大変参考になると思います。 写真はクラシック、モノクロのスクエア、ハッセルブラッドのノッチがわずかに見える正統派の写真です。ただ、そこにはプロジェクトのきっかけである1981年に発生した夕張炭鉱事件から始まり、炭鉱労働者の悲哀、町と人々との関わり、産業の衰退、産業そのものの構造的問題点など、様々な要素を含みながら発展していきます。新聞社の記者という視点も忘れることはできませんが、学生時代に写真を撮りに出かけたという夕張がいかに一人の写真家の人生を決定付けたか、というストーリーは、現代の写真のスタイルとは異なり、かなりストイックです。35年もの間、夕張を起点に発展的展開はあるにせよ一つの素材を追求していく姿勢はなかなかとれるものではありません。 写真を評価する側にいると、写真の掘り下げ方が足りない写真家が多いことに気づきます。良いプロジェクトというのは、主題をもつ音楽のように展開し、絡み合い、また主題に戻ってきます。そういうプロジェクトをレビューで見かけることはほとんどありません。これからの写真は、いわゆるビジュアルコミュニケーションという視点がかならず必要になってきます。それはその作品群を系統的に見せることによって、オーディエンスに社会への気づきをもたらし、オーディエンスが何らかのアクションを起こすということ意味するのですが、そのためにはテーマの掘り下げが必要なのです。 あまり知られていないことですが、萩原さんの写真は2013年には某仏最高級ファッションブランドの秋冬もののカタログに8ページにわたり掲載されるなど(その前号に掲載されたラルティーグなどと同列に!)、たゆまぬ努力の結果が着実に実を結んでいる写真家の一人と言えます。現在は日大の写真学科で講義をされており、参加者の写真の可能性について的確なアドバイスをしていただきました。 そんな裏話なども紹介されて、大変有意義な講義でした。  

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RAIEC TOKYOトークショー

By |2016-04-11T03:19:51+09:004月 11th, 2016|2016, RAIEC, Symposium|

今日はRAIEC TOKYO 2016のメインイベントであるトークショーでした。 写真家の大森克己さん、そしてライターで写真評論家であるタカザワケンジさんを迎えてトークショーを開催しました。 トークショーはタカザワケンジさんにご司会をいただきました。 大森克己さんは、RAIEC TOKYOスタッフとタカザワさんのセットアップで実現したトークだったのですが、内容はとても刺激的で非常に面白かったです。大森さんとは面識はありませんでしたが、神戸ご出身ということ、また全く同い歳の人ということもあり、彼の作品がどのような考えで作られているのかというトークの内容のみならず、その人物像についてまず興味をもちました。 まず、スイスの美術館からいわゆる宿題として出された京都の龍安寺RYOANJI、つまり日本ど真ん中のキーワードをもとにさまざまな国のアーティストが参加するプロジェクトを、日本のど真ん中にいる大森さんがどのように作っていくのかを、15枚の写真で作られたシリーズとしてスライドショーで見せていただきました。ところが、おそらく会場の中にいてそれらの作品とRYOANJIとがすんなりと繋がって理解できた人はおそらくいなかったと思います。正直、僕にもわかりませんでした。その後、トークは禅だとかカメラだとか、写真のシステムや歴史的な写真の話に迂回しながら、また僕が住んでいる西宮の甲山周辺を舞台にしながら、最終的には大森さんがあえてRYOANJIに直結するイメージではなく(海外アーティストならやるかもしれないけれど)、そこにたどり着くヒントをイメージにつけることで宿題に対する回答を寄せようというプロジェクトとして作られていることが次第に明らかになっていくのです。 少し一節を紹介します。 たとえば、35mmのフィルムのカメラシステムしかない頃は、皆が同じ仕組みで写真を撮っているので、センスや経験で表現に違いがあるにせよ、写真そのものにはさほど違いがなかった。みな土俵は同じで、その土俵上で写真が語られていた。ところが、デジタルカメラが登場すると、いろいろな技術が積み重なったり、年々システムが変わっていく。そういう不安定な状況では、いわゆる土俵のような場所がないから写真そのものが揺れていて、そういうものを使って写真がつくられても語りつくせない時代が続いた。システムの差異が騒がしく語られて、写真そのものが語られているのか、システムが語られているのかわからなかったのだ。でも、そこからさらに進化して、ここ数年で確立したiPhoneやスマホといったフォーマットは、誰もが使うものにまで世界を席巻していて、ほぼ万人共通のプラットフォームになっているから、また同じ土俵で写真を語れる時代がやってきた。だから現在の僕はiPhoneをつかうのだ。さらに、ネットなどを介して表現できるテクノロジーも爆発的に広がり共通しているので、最終的な出力結果まで、たとえばInstagramでただイメージを流しているだけであっても、写真そのものには共通性があって揺らぎがない。大量に生産されて流れていくものであっても、ハッシュタグや適切な言葉をつかって囲うことで流れ去らないようにしていれば、それ自体が最終出力作品になりうるし、プリントまで作りたければそれにも適応できる。 というような話です。そうやってスマートフォンで作品となる写真を撮影し、ハッシュタグで写真に情報を加えることで、大森さんはRYOANJIの作品を作っているのです。ここで肝心なのは、大森さんの写真が美的要素やインパクト、RYOANJIにつながる誰もが理解出来るわかりやすいイメージではなく、イメージから想起されるわかりやすい言葉をハッシュタグで付け加えることで、わかりにくいイメージのグループを次第にRYOANJIに近づけていることなのです。 うーん、と唸るしかありませんでした。 写真の最先端は、もはやこれまでの写真のシステムの中にはなくネットの中、さらに言えば写真なんていうものはイメージである必要性さえなくなっていくのではないかと思わせるような大変興味深いお話でした。もちろん、写真である以上イメージは必要ですが、ハッシュタグがイメージを支配する、あるいはイメージに付着する言葉が主役になるなんて話が実際進められていることは、まさにこれまでの写真とは別次元の話です。そしてそれがまさに現代アートなのだと認識させられました。 タカザワさんは、写真祭や写真表現の話をからめながら、RAIEC TOKYO 2016出展者の表現の質や方向性をみて、一言ダイバーシティー、つまり多様性という言葉を話されていました。これは六甲山国際写真祭のプログラム構成上に一貫したテーマがなく、さまざまな種類の作家が参加していることに起因しているのですが、他方日本の写真表現全体にも言えることとして話されていました。すでに「写真」というブロックは溶け始めて(溶け終わって)世界の写真アートの前線基地は大森さんのような情報テクノロジーやインスタレーションに移りつつあるというのはよく聞く話です。残念ながらそこに気づいて動ける人はさほど多くはありません。タカザワさんとしては、写真の古いシステムの存立自体が溶けている今、個々の写真家の表現に対してはより精度をたかめ言葉を強く粘り強く作品を作っていくしかないと話されていました。私たちのような写真祭の方向性や開催意義にも、さまざまな要因で特色を作っていく必要があるのではないかと話されていました。 もう一つ大森さんとタカザワさんの話の中で、パーソナルワークについての言及がありました。これもおもしろかったので 紹介したいと思います。 もし誰かを愛しているということを写真表現したいのだとすれば、その愛を伝えるために写真を撮る前に「愛している」と言葉で話せば済むことた。話せば済むくらいのことなのであれば、写真に表現するには及ばない。家族、恋人などのパーソナルワークというものは、言葉では表現できない普遍的な何かをあぶり出すために撮られるべきだから、その普遍が何かが写真で理解されるかどうかは作品としてまとめ発表する前に一度考えてみるべきだ。 これもとても的を得た考えだとおもいました。 大森さんの魅力は、人を惹きつける話力にあるのだろうなと素直に思いました。豊富な知識とラディカルな思考、研究、分析の力。音楽やアートへの造詣の深さ。そして始終にこやかで、和ませる表情、声。たった数時間のお付き合いでしたが、とても楽しい時間でした。機会があれば神戸や六甲山国際写真祭などでのプログラムでお目にかかりたいと思います。 最後に、このトークショーを実現してくださりご司会をいただいたタカザワケンジさんにこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。   [...]

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東京でイベントを開催します – RAIEC TOKYO 2016

By |2016-03-01T13:31:25+09:003月 1st, 2016|2016, Mt.ROKKO, NEWS, RAIEC, Workshop|

RAIECおよびRAIEC TOKYOでは、4月8日(金)から15日(金)までの8日間、東京3331アーツ千代田において六甲山国際写真祭の告知イベントを開催します。このイベントでは、六甲山国際写真祭にポートフォリオレビューで参加した写真家の作品を展示するほか、4月10日(日)には写真家大森克己さん、タカザワケンジさんをゲストに招いてトークショーを開催します。また、4月9日(土)にはRAIECのワークショップ「写真コミュニケーションワークショップ」を開催します。 東京で六甲山の写真祭の様子をご覧いただけるまたとない機会となると思います。 ぜひご参加下さい。   RAIEC TOKYO WEBSITE

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Mei Houseワークショップで見えたもの

By |2016-02-23T03:36:44+09:002月 23rd, 2016|2016, Mei House, Mt.ROKKO, NEWS, RAIEC, Workshop|

2月19日から21日、2泊3日のワークショップが六甲山Mei Houseにて開催されました。 今回は写真のテーマの見つけ方、写真編集の大切さと実践、ステートメントの作り方、そして出版の仕組みなど、内容的には非常に盛りだくさんのワークショップだったと思います。かなりハードスケジュールでしたが、参加者の体調を見ながら、無事に全セッションを終えることができました。 昨今、写真に関するワークショップが多岐にわたり開催される中、僕としては六甲山のMei Houseを舞台に、国内にはない特徴のあるワークショップ内容を組み立てるのに腐心したわけですが、アメリカからAmber Terranova氏という六甲山国際写真祭のポートフォリオレビュー、ワークショップでおなじみの写真編集者、そしてここまで3ヶ月間日本で東北地方の震災後の取材を続けてきたMichel Huneault氏、パーソナルワークを立て続けに3冊写真集にまとめて出版している藤原敦氏、Getty Imagesのニュース編集者Yuki Tanaka氏、コミュニケーションの講師として福岡大学のTim Cross氏を呼び、台湾からの参加を含む9名の参加者とともに写真についての活発なディスカッションをしました。 特に、Amberが提示したアメリカミシガン州Flintという街を舞台にした地域コミュニティの光と影、さらに最近話題になった川の汚染問題にさまざまな形で関わりながら撮影する写真家の物語の作り方が非常に面白く、おそらく国内の写真家の視点にはない被写体へのアプローチとストーリーの組み立て方、そして作品の提示方法など、参加者のみならずあらゆる関係者が度肝を抜かれる内容だったと思います。それはもはや写真という枠を超えて、メディアという枠のもっとも先端の尖ったトゲのようなリアリティーのある物語で、みたものの胸に鋭利に突き刺さるようなストーリーでした。 Amberの企みは、写真という枠にとらわれるのか、その枠の向こうに突き抜けるのか、というメディアのありかたの大前提について問うことだったと思います。すでにアメリカでは写真から動画や360度全天球、VRにシフトするアーティストが出始めていて、写真とともに動画を用いてインスタレーションを試みたり、VRなどの作品を並列して展示するなどの方法論についての議論が活発です。従来の展覧会、出版をこえて、すでによりリッチなメディアとして公開する大きなプロジェクトがあちらこちらで動いていて、そういうところにより大きな資金が集まり始めています。個人的に見せてもらった現在動き出しているプロジェクトでは、プロデューサー、アートディレクター、写真家、編集者、音楽家、デザイナーなどがチームを組み、資金集めチームと協業してプロジェクトを進めていく新しいメディアを創設しようとしていて、おそらく現在の出版の賑やかしさなども遠く置き去りにされていくのではないかと考えられるほどリッチで高品位なメディアに育っていくと考えられます。 今回、直前に参加が決まったMichelもそういう写真家の一人です。彼は2013年7月にカナダのLac-Méganticという小さな街で起こった列車事故と、その列車事故が不幸な事故にとどまらず原油を輸送していたことから大きな火災を発生させ、さらにその原油が違法な積載物であることがのちに明らかにされ、土壌や近くの川を汚染させた一連の出来事を取材したシリーズを見せてくれました。列車事故だけでも悲惨であったはずのものが、環境破壊などといったスケールに発展し、平和な町が瞬く間に修羅場と化した事実について、写真家は事故の一報をニュースで知ると、わずか20時間で現地入りし撮影を続けてきました。その後何日間も取材し、息子を亡くしたという父親のインタビューや、町を覆うように作られた奇妙なフェンスを取材し、そしてその後の町の移り変わりなどについても繰り返し繰り返し取材したといいます。この作家も写真にとどまることなく、音声やビデオを使ったインスタレーションを試みていて、写真をよりリッチななメディアに押し上げて発表しているのが特徴でした。 2日目、参加者のプロジェクトがプレゼンされました。参加者は思い思いに自分の作品について話すよう促されるのですが、ここでは日本の、特にこういったプレゼンテーションに不慣れな方特有の説明の足りなさ、感覚的情緒的説明、写真からはうかがい知れない事象への言及などが多く見られました。それが最終日にどのような変化を遂げるのか、というのが今回のワークショップの主眼であるわけで、その後にGetty Imagesの田中さんからニュース素材の編集の仕事、Amberが参加者の作品を編集するというセッション、またコミュニケーションを通じて自分の作品を客観的に眺め、編集を取り入れた作品の選び直しを求めるなどのコメントや意見が交わされました。 夜には藤原さんに3つの出版プロジェクトの編集過程を講義をいただきました。藤原さんには、故長谷川明さんと出版したAsphaltのシリーズの編集プロセス、また自身の3つの写真集の編集について、ユーモアを交えて話していただきました。彼は編集そのものは編集者に任せていて、編集されて返ってきた作品を見ることで客観的な地平から自分の作品を見直していくというプロセスが自分には合っている、ということでした。AmberもMichelも基本的にはそれに同意的で、他者の視点を置くことで写真家は冷静になれるし、誰に提示されるべきか、どう提示していきたいのか、という視点が加わることは何より大切だと話していました。 さらに、出版のプロセスに欠かせない知識を得る場として、印刷所のマネージメントを行う京都・サンエムカラーの飯田さんに講義をいただきました。カラーマネージメント、オフセット印刷の原理を、実際にインクを載せる刷版やカラープルーフ原稿を持参していただきわかりやすく講義をしていただきました。特に、カラーマネージメントの困難さについて、「コンピューターのモニタ画面を見てこの色が欲しい」といくら求めたとしても、実際の色の解釈があらゆるデバイス間で翻訳されて渡されるという現実から、同じ色に整えられることはほぼないため、写真集の場合はプリントとは異なった製作物であると割り切っていく必要があると話されていました。 3日目、参加者の2回目のプレゼンテーションがありました。3日間の学びから編集とステートメントを改良してプレゼンテーションに臨みました。多くの参加者は、より客観的でシンプルなステートメント、さらにいくらか写真を入れ替えてプレゼンテーションをしていました。その結果、より写真についての理解が進み、その後AmberやMichelからコメントやアドバイスを受ける機会が増えてました。 Mei Houseでの3日間を終えて、どのような印象を受けたのかAmberとMichelに翌日尋ねてみました。ワークショップ自体は、アメリカではジャーナリズムのワークショップに近く、基本的な要素組み立てを含むなど、初心者にも上級者にも有効な方法をとったワークショップとの印象をもったということです。さらに、日本人のプレゼンテーションが独特で、私的で感覚的、信仰的、抽象的な用語が多いことに驚いていました。また、参加者全体に共通する問題点として、選ばれた写真にばらつきがあり、それぞれが強くないため何を伝えたいのかわからないケースが多かったが、2度目のプレゼンテーションでは多くは改善されていて、編集を変えるだけで見違える作品が多かったとのこと。つまり、やはりより客観的な他者からの指摘に応えていく形で写真のメッセージを磨いていくと、写真のストーリーはもっと効果的に伝わっていくのではないか、ということでした。世界的な写真への理解が足りない点への言及もありました。 3日間、びっしりと詰まったワークショップでしたが、参加者の皆さん、ご苦労様でした。これからもMei Houseの写真プログラムは、国内にないワークショップを六甲山や東京で試みていきます。特に、写真表現にとどまらず、今後発展していく可能性のあるメディアの手法を取り入れた世界最先端の表現方法などの検討を、NYに本拠を置くプロジェクトと共同で開発していく予定です。 [...]

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Additional Info/Portfolio Review Entry Is Now Open

By |2016-02-18T13:01:50+09:002月 18th, 2016|2016, Eng, Mt.ROKKO, NEWS, Organization, Portfolio Review, RAIEC|

Here is additional info about Mt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVAL portfolio review application. We have three application fee reduction program for international photographers. Early [...]

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Portfolio Review entry is now open! Deadline April 30

By |2016-02-17T17:30:18+09:002月 17th, 2016|2016, Eng, Mt.ROKKO, NEWS, Organization, RAIEC|

Portfolio review application is now open for the Mt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVAL 2016. From this year, we are open to the oversea photographers. [...]

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福井の写真コミュニティーを訪ねて

By |2015-11-30T20:33:00+09:0011月 30th, 2015|2015, NEWS, Organization, RAIEC|

昨日一昨日と福井県福井市を拠点とする写真コミュニティーを訪ねてきました。 もともとは六甲山国際写真祭のポートフォリオレビューに参加された写真家の一人が中心に立ち上げた写真コミュニティーですが、地域のデザイナーを中心に写真愛好家たちが集まって構成されたグループです。面白いのは、福井駅前にある新栄商店街という古い商店街の地域産業振興NPO「きちづくり福井」の中に様々な部活動を取り入れた一つの部として写真部の活動を行っている点で、来年開通予定の北陸新幹線南伸を機に地域の活性化を担う若い世代が沢山集まっているのが大変印象的でした。ワークショップは商店街のNPO拠点とSANKAKUという強力なコミュニケーションベースを使って行われました。 RAIECとしてのミッションは、地域コミュニティーにある写真活動の拠点作りを応援することです。そのために写真が社会に果たす役割や写真アートの重要性を理解してもらえるようなセッションを持ったり、写真コミュニケーションの手法を広げ、写真の理解を深めることにあります。六甲山国際写真祭の参加者の皆さんはおそらくRAIECのそういう方針についてよく理解されていると思いますが、今回の訪問は六甲山の活動が地域の写真活動と直接つながって写真コミュニティー作りに参加する初めてのケースとなりました。 @福井駅前 初日は小雨の中、地域産業新興NPOを訪れ、代表の方や写真家の皆さんと交流しました。福井駅前には古い商店街があるのですが、過疎化や経済的な衰退といった地方都市ならどこでも抱えている問題から商店街の活気が失われていきました。それでも地域における産業振興の観点から様々なグループが商店街活性化のために立ち上がり活動を続けてきた背景があり、そのベース基地となっているNPOには様々な人々がゆるく関わりながら様々な部会を持ち、全体として福井市の産業活性化を狙っているわけです。 RAIECではこの趣旨に基づいて新たに設立されたFUKUI PHOTO ART CLUBという写真グループと交流し、そのグループが有意味な写真活動を展開し写真メディアアートを理解出来る写真家を育てる活動を支援する目的で第1回のワークショップを開催してきました。 @新栄商店街 2日目のワークショップでは、まず「或る日の福井」というゆるいテーマで撮影された写真家それぞれの写真のプレゼンテーションを受けました。参加写真家は6名。それぞれが感じた「福井」を撮影した写真、そしてその写真を撮影したそれぞれの写真家の思いを聞きながらプレゼンテーションが進められました。次に、RAIECが定期的に開催しているコミュニケーションワークショップの手法を用いて、それぞれの作家の写真をキーワードや印象などで一度分解し、その後参加者全員でそのキーワードを用いて写真家の作品を言語的に再構築するという作業を行いました。中には「仲間」や「消えゆく街」をテーマに、優れた作品を作っている作家もいて、熱心なコミュニケーションがはかられました。午後からは僕が用意した写真の理解を深めるための講義を行い、歴史上重要な作家と作品を共有してみました。エドワード・シュタイケンからブレッソン、キャパ、ダイアン・アーバス、ナン・ゴールディン、最近のアンドレアス・グルスキー、澤田知子まで、風景写真、ポートレイト、ファッションフォト、パーソナル写真、アート写真、ジャーナリズムの写真まで、それぞれがどのように評価されて価値を有するに至ったのかを具体的なイメージを用いて説明してみました。また、現代の写真についてPhoto Lucida Critical Massの最終50名の写真からピックアップして提示しました。 @取り壊され新たに道路になる工事現場 最後に、神戸から参加いただいた徳平さんが福井でわずか2日間で撮影した1200枚の写真を提示し、作品を作るという点で技術的な要素は確かに必要だけれど、とにかく撮影することとそこから意味のある写真を抽出する努力をすることの大切さを説明していただきました。 @ワークショップの議論の様子 福井を訪れて印象的だったのは、若い世代からご年配の方に至るまで、街を愛し街のこれまでとこれからを共に考えてまちづくりをしていこうとする強い気持ちです。まちづくりに関しては様々な枠組みが同じ気持ちを持ちながらいきいきと活動をしており、商店街にも活気が戻りつつあるようで、これからの新しい街を作りたいという気概のようなものが強く感じられました。写真の歴史や過去の写真の膨大な価値について教育を受けたことがない人たちがいきなり優れた作品を作ることはなかなか難しいのですが、今回のワークショップで写真の根底にあるべき広大な装置を発見し理解することで一人でも多くのアーティストが福井から飛び立っていくことを願っています。それが結局は社会に根ざした地域の強い活動をささえる原動力になると感じられるものであればいいと思います。福井の皆さん、ありがとうございました。 @同じNPOに所属する民謡部会の忘年会に乱入 RAIECでは、国内海外にかかわらず、写真と町、写真と社会とがつながるような活動に対して支援をしていこうと考えています。出張ワークショップの開催を希望される方は是非ご連絡をお願いいたします。 info@rokkophotofestival.com

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