Workshop

/Workshop

イノシシだより from Mt.ROKKO / Vol.2

By |2016-04-29T17:21:09+09:004月 29th, 2016|2016, Mt.ROKKO, Organization, Portfolio Review, Support, Workshop|

六甲山国際写真祭2016ポートフォリオレビュー参加写真家募集中! 締め切りを延長しました。5月13日まで。 六甲山国際写真祭を運営しているRAIECの杉山です。 このニューズレターは、過去に六甲山国際写真祭ポートフォリオレビューにお申し込みをされた方、六甲山国際写真祭およびその関連イベントに参加された方、ホームページからご購読いただいた方にお送りしています。 六甲山国際写真祭2016のポートフォリオレビュー参加写真家の募集が5月13日まで延長となりました(実際には5月12日申し込み分まで)。お急ぎで準備されていた方には大変申し訳ありません。今現在、参加しようか迷っている皆さま、5月13日までにすべての手続きが終わるようにお申し込みいただけると写真祭参加への扉が開かれます。写真祭は例年アットホームな雰囲気で進められ、六甲山上の澄み渡った(霧に巻かれることもありますが)空間で、世界における自分のポジションを探るいい機会です。今年から山上のレセプションを簡素化する代わりに無料の強力なワークショップを実施することになりました。特にJameyのワークショップは写真観を変えてしまうくらいのインパクトがあり、写真体験のこれからを見通すプロジェクトになると思います。これは参加者にしか体験できないワークショップとなります。多くの海外アーティストも事前審査を経て皆さんと同じように海外から駆けつけます。ぜひ国際交流の観点から、また六甲山の写真コミュニティーを日本において海外からもいつでも、誰もが参加したくなるようなものに育てていくためにも、皆さまのご参加をお願いいたします。 ご参加いただけない場合でも、25日にオープニングのメインゲスト写真家Jamey StillingsとKosuke Okaharaさんのアーティストトーク、レセプション、28日にはAlejandro Duranさんのアーティストトーク、さらに28日の4-5つのワークショップを開催します。さらに、世界中から選ばれたEMERGING PHOTOGRAPHER'S SHOW 2016には、国内のアーティストを始め、選りすぐりの写真家たちがスライドショームービープロジェクションで参加します。これは例年、六甲山上で一回限りのプロジェクションでしたが、今年はC.A.P. HOUSEにて常時上映を実施します。ぜひこれらを受講、ご参加、またご視聴くださいますようお願いいたします。皆さまの写真の見聞、写真活動向上に必要なあらゆる情報が手に入れられる良い機会となることを確信しています。また、ポートフォリオレビューに参加されなくてもレビュワー陣と密接に関わることのできるチャンスです。 近く、特にアジア地域の写真家たちに対して、写真祭をサポートしてくださる皆さんとともに、クラウドファンディングでのサポートプロジェクトを開始します。これはゲストとなる予定のアジアの写真家にいくばくかの支援を募るもので、例年通り、高額な写真作品や写真集セットが当選するLucky Photo Marketの抽選チケットやオフィシャルカタログ、ノベルティグッズなどをご支援の見返りの対象とするほか、ポートフォリオレビュー現地見学権なども対象としてクラウドファンディングを実施します。ぜひ写真祭の組織運営にご協力をお願いいたします。 写真祭は8月20日から28日まで六甲山上および神戸市内で開催されます。イベントウィークの25日から28日まで、山上で写真合宿のような濃厚なめくるめく体験をしながら、海外や国内のアーティスト、写真のプロフェッショナルとつながりましょう。今年も素晴らしいゲスト写真家をそろえ、写真の面白さ、写真メディアやアートの力、写真による社会への視点を訴えかけるようなプログラムをご用意して皆様のご参加を心待ちにしています。 初めて挑戦しようと考えておられる方、過去に事前審査を通過しなかった方、通過して参加したけれどもっと写真のレベルを上げたいとお考えの方、今年もぜひ六甲山国際写真祭のポートフォリオレビューに挑戦してみてください。 また、この「イノシシだより from Mt.ROKKO」をご購読ご希望の方は、このサイトのフッターからお申し込みください。ニューズレターの方ではその他の情報も入手可能です。  

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私にとってのコミュニケーションワークショップ
/竹谷恵子

By |2016-04-17T12:02:21+09:004月 17th, 2016|2016, Workshop|

第三回六甲山国際写真際にレビューイとして参加した竹谷恵子です。 4月9日、RAIEC TOKYO2016に伴って開催されたコミュニケーションワークショップに参加し、今年もまた自分にとって大きな学びを得られる参加だったように思います。 私が初めてRAIECのコミュニケーションワークショップに参加したのはちょうど一年前の4月5日でした。 4,5年前から写真を撮る面白さに取り憑かれ、S.N.S.を発表の場として楽しんでいた自分ですが、もっと目的を持って写真を撮っていきたいのだけど、今のままではなんだかつまらない。そのためには何を目指しどのとのようにいったらいいのかそのヒントが欲しい!というモヤモヤした気持ちが私をこのワークショップに向かわせました。 参加してみてまず驚いたのは、RAIECが写真家に提唱する基準というのは「社会や世界へ繋がるアートとしての写真」というものであり、そのための具体的で現実的な、様々な示唆や教示を示してくれることでした。そこで参加写真家は様々な写真のプロフェッショナルな方々と出会いレビューやアドバイスを頂くことができ(それも驚きだった)、また自分と同じような仲間との交流の中で様々な情報を得て学び、それらを総合的に自分の写真にフィードバックして良い作品にしてゆくことができることを身をもって知りました。 この東京でのコミュニケーションワークショップの中で特に面白いのは、自分の作品のステートメントを他者が作ることを体験できるという点でした。 参加者はいつくかのグループに分かれ、まずは自分の写真のプレゼンテーションをしたのち、他己紹介のような形でそのグループ内で自分の作品のステートメントを自分以外の参加者が作るという面白いメニューがあるのですが、数年間撮りためた写真の断片を初めて人前でプレゼンテーションし、それが作品として成立するのかどうかのヒントを得たかった私はその時初めて「ステートメント」という概念を知りそれがアート作品としての写真には欠かせないものだと知りました。 優れた作品には優れたステートメントは必然で、優れたステートメントを書くには自分のテーマの本質的な部分に対してより自覚的によりストイックに明確にしなければ作れないことを知りました。 一年前に初めて人目にさらしたその自分の習作は、この時をきっかけにして、その後夏の六甲国際写真祭のポートフォリオレビューを経て、自分の中でプロジェクトとして成立させることができ、今年4月、RAIEC TOKYO2016展で、無事にひとつの形にまとめ発表することができました。ちなみに、その時のグループワークでみんなが作ってくれたステートメントはその後今に至るまで、影響を及ぼし続け、より明確なステートメントを作る上でずっと役立ってくれました。 つまり私はちょうど1年かけて、自分の習作をとりまとめ編集しステートメントにも取り組むという経験ができたわけなのですが、それゆえこのワークショップへの感慨は深く、一年前に思い切って参加して本当によかった!と思いました。 もうひとつ特筆したいことは、今回のワークショップにおいて、講演者である写真家萩原義弘氏の講義に私は大きな衝撃を受けたことです。 萩原義弘氏といえば冬青社から出ている有名な写真集「SNOWY」 を去年参加した写真ワークショップ2Bで渡部さとる氏が教材として取り上げられ、そこで塾生が知るべき重要な写真集として講義をされ、そのおかげで私も優れた写真集として存じ上げることができました。      今回のワークショップではその「SNOWY」やそれ以前に出版されていた「巨幹残栄・忘れられた日本の廃鉱」の2つの写真集を、萩原先生ご自身の解説でその写真集の主軸ともいえる写真の根幹のようなものを伺うことができたのですが、そこに長い年月ひとつのテーマを追い撮られてきた写真家の真実の言葉に含まれる静かだけれど強い説得力に感動しました。 みんなそうだと思いますが私もまた常々興味や直感がどのようにすればテーマやプロジェクトとなり得るのか、ということをいつも考え続けていますが、講義の中での「ドキュメンタリーの要素が大前提にあってこそのアート」という萩原先生のお言葉はとても印象的で強く私の胸に響き、うまくいえないのですが、「何を撮るべきなのか」という基準がなんとなく自分の中で見えたような気がします。 また、これはワークショップで必ずしも約束されていることではないですが、ワークショップ後、たまたまRAIEC TOKYOの会場で写真をご覧になっていた先生に、私は自分の写真を見て頂き、今月から自分が撮ろうとしていたものが自分にとっての北海道で、だけど同時にそれはテーマとして成立するのだろうかと去年から迷いを感じていたのです。萩原先生はその私の迷いを的確に理解してくださり、また明快なアドバイスを下さり、私にとってそのアドバイスは天啓だとさえ感じました。 そのおかげで迷いは晴れ今はスッキリとした気持ちで新しいテーマに向かう決意を抱くことができました。 ワークショップでは、その他にも神戸のギャラリスト野本大意氏の写真家とGalleryとの付き合い方や、アートを取り巻く核心的な裏話的に囁かれるパワー100の存在などの講義を聞くことができ、そちらもとても重要な情報として興味深かったです。 [...]

私にとってのコミュニケーションワークショップ
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萩原義弘さんの講義

By |2016-04-15T01:12:43+09:004月 15th, 2016|2016, Experience, Mt.ROKKO, RAIEC, Story, Workshop|

3331で開催された写真コミュニケーションワークショップでは、"SNOWY"で知られる萩原義弘さんに講義をしていただきました。これまで様々な写真家と知り合ってきましたが、写真のプロジェクトの話を伺ってこの人ほどプロジェクトの話ができる人はいないんじゃないかなと考えての依頼でした。それはヴィジュアルなアーティスティックな点と、社会的な視点、教育的な視点とをすべてを併せ持っていて、これからプロジェクトを作っていこうとする方達には大変参考になると思います。 写真はクラシック、モノクロのスクエア、ハッセルブラッドのノッチがわずかに見える正統派の写真です。ただ、そこにはプロジェクトのきっかけである1981年に発生した夕張炭鉱事件から始まり、炭鉱労働者の悲哀、町と人々との関わり、産業の衰退、産業そのものの構造的問題点など、様々な要素を含みながら発展していきます。新聞社の記者という視点も忘れることはできませんが、学生時代に写真を撮りに出かけたという夕張がいかに一人の写真家の人生を決定付けたか、というストーリーは、現代の写真のスタイルとは異なり、かなりストイックです。35年もの間、夕張を起点に発展的展開はあるにせよ一つの素材を追求していく姿勢はなかなかとれるものではありません。 写真を評価する側にいると、写真の掘り下げ方が足りない写真家が多いことに気づきます。良いプロジェクトというのは、主題をもつ音楽のように展開し、絡み合い、また主題に戻ってきます。そういうプロジェクトをレビューで見かけることはほとんどありません。これからの写真は、いわゆるビジュアルコミュニケーションという視点がかならず必要になってきます。それはその作品群を系統的に見せることによって、オーディエンスに社会への気づきをもたらし、オーディエンスが何らかのアクションを起こすということ意味するのですが、そのためにはテーマの掘り下げが必要なのです。 あまり知られていないことですが、萩原さんの写真は2013年には某仏最高級ファッションブランドの秋冬もののカタログに8ページにわたり掲載されるなど(その前号に掲載されたラルティーグなどと同列に!)、たゆまぬ努力の結果が着実に実を結んでいる写真家の一人と言えます。現在は日大の写真学科で講義をされており、参加者の写真の可能性について的確なアドバイスをしていただきました。 そんな裏話なども紹介されて、大変有意義な講義でした。  

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写真コミュニケーションワークショップで起こったこと

By |2016-04-10T01:04:24+09:004月 10th, 2016|2016, Experience, Mt.ROKKO, Organization, Portfolio Review, Story, Workshop|

それは言ってみればMagicなのだと思います。 Magic-① 魔法。奇術。手品。「トランプの―が得意だ」② 不思議な力のある意で,多く他の外来語と複合して用いられる。③ マジック-ナンバーの略。④ マジック-インキの略。 とりとめのない作品を、手品をつかって何段も何段も上げていくのがこのワークショップの仕組みです。それは魔法と呼んでもいいし、奇術と呼んでもいい。とにかく、それは一旦は研ぎ澄まされ、解体され、余計なものを剥ぎ取られて、作家にとってもっとも使いたい言葉を含みながら美しい言葉に言語化されていく作業なのです。それが複製可能なヴィジュアルプロジェクトに命を吹き込んでいく現代のロジックなのです。 日本人の書くステートメントは、かなり問題があります。回りくどいか、意味不明か、そもそも文章ですらない。なので作品はどこにも、誰に対しても、自分自身に対してですら意味をなさない。もちろん、そこが明確化された萩原さんのような大人なプロフェッショナルは確かにいるだろう。しかし、僕が見るところの多くのプロジェクトは、実のところまだプロジェクトですらない。それは習作にすぎず、ただそこに意味もなく横たわっているだけなのです。それは、アイデアがあっても、アイデアを表に引き出しプロジェクトの根幹をなすべき筋の通った言葉が足りていないからだと思います。 と書くとかなり後ろ向きな、炎上しそうな考えなのかもしれませんが、そこに僕たちはMagicを使うのです。正確な、誠実なプロット、弱々しいことを逆手に取るレトリック。シナリオと絵コンテで映画を完成させていくような、場面場面をつなぐ糊のような形容詞、副詞、動詞をつかう。たったそれだけで、Magicは確かに完成するのです。 ではMagicはどこにある?今日、多くの人はMagicを目撃したと思う。   今日はまた、写真のバックヤードの話を野元さんがやってくれた。誰がアートを仕切っているか、というPower 100の話。そしてモチーフ、テーマの上にあるべき根源的な制作欲求、本質。そして、Powerに近づくために必要なつながり。 ではつながりはどこにある?今日、参加者は繋がりを通じてしかPowerに近づけないことを知ったと思う。パワーというのはすなわちお金であるし、より高い場所にある目標です。閉じたアートワールドで活動することで満足する人たちも確かにいるだろう。しかし、それはアートか?といつも自分自身に問いかけている必要があります。僕は違うと思う。アートは常に食指をたえず上にうえに伸ばして勝ち取るべきものなのです。その行動をとったものがアーティストなのです。              

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Mei House WS アフターリポート/ 田中 ゆき

By |2016-03-05T11:49:05+09:003月 5th, 2016|2016, Experience, Mei House, Mt.ROKKO, Workshop|

Mei House WSにこの度講演者としてお招きいただきました、Getty Images Japan報道担当の編集者田中ゆきです。 Mei House WSではいわゆる美術写真だけではなく、ストーリーを伝えるための写真、にフォーカスをおかれていらしゃるのがとても興味深いと思います。わたしの仕事は、『報道写真』―わかりやすく言うと『ニュースやストーリーを多くの人に伝えるための写真』―を作ることなのですが、このような分野について、もっとたくさんの人と気軽に話し合える機会があればな、と常々思っていましたので、このような貴重な機会をいただき大変光栄でした。   私のプレゼンでは、1)自己紹介 2)どのようにストーリーを探すか 3)私が関わった日本で撮影された報道写真の例 をお話しさせていただきました。   1) 日本国内ではフォトエディター(写真編集者)という職業はあまりなじみがないかと思いましたので、どんな経緯でこの仕事についたのか、どのような仕事をしているのか、を自己紹介を兼ねてご紹介させていただきました。ライターとカメラマンがそれぞれ別のスキルを持っているように、編集者にも文字の編集をするエディター、写真を編集するフォトエディターと住み分けがされている場合があります。 私は米国の大学でジャーナリズムやメディアを学び、その後フォトグラファーやフォトエディター・広報などとして仕事をした後、今のポジションにつきました。仕事の内容は、主には日本・韓国でのニュース・エンターテイメント・スポーツの取材の企画やカメラマンの手配をしています。   2) どのようにストーリー・テーマを探すか、ですが私の場合は、世界中のメディアのために報道写真を作っていますので、世界で注目されているトピックについて日本・韓国ではどのような取材ができるか、日本・韓国で起きている出来事が世界では興味をもたれる要素があるか否か、について考えながら何を取材するかを決定します。そしてトピックが決まったらそれが写真で上手に伝えられる内容かを考えます。 そしてそのトピックはどのようなスタイルの写真なら多くの人の心を動かす事ができるか、をフォトグラファーと一緒に考えながら、ストーリーに仕上げていきます。   3)昨年10月まで一緒に日本で勤務していたフォトグラファーChris McGrath氏が撮影した長良川の鵜飼、横須賀の高等工科学校の取材をご紹介しました。   さて最後に全体的な感想ですが、まずロケーション、六甲山の山の中のステキなコテージ [...]

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東京でイベントを開催します – RAIEC TOKYO 2016

By |2016-03-01T13:31:25+09:003月 1st, 2016|2016, Mt.ROKKO, NEWS, RAIEC, Workshop|

RAIECおよびRAIEC TOKYOでは、4月8日(金)から15日(金)までの8日間、東京3331アーツ千代田において六甲山国際写真祭の告知イベントを開催します。このイベントでは、六甲山国際写真祭にポートフォリオレビューで参加した写真家の作品を展示するほか、4月10日(日)には写真家大森克己さん、タカザワケンジさんをゲストに招いてトークショーを開催します。また、4月9日(土)にはRAIECのワークショップ「写真コミュニケーションワークショップ」を開催します。 東京で六甲山の写真祭の様子をご覧いただけるまたとない機会となると思います。 ぜひご参加下さい。   RAIEC TOKYO WEBSITE

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Mei Houseワークショップで見えたもの

By |2016-02-23T03:36:44+09:002月 23rd, 2016|2016, Mei House, Mt.ROKKO, NEWS, RAIEC, Workshop|

2月19日から21日、2泊3日のワークショップが六甲山Mei Houseにて開催されました。 今回は写真のテーマの見つけ方、写真編集の大切さと実践、ステートメントの作り方、そして出版の仕組みなど、内容的には非常に盛りだくさんのワークショップだったと思います。かなりハードスケジュールでしたが、参加者の体調を見ながら、無事に全セッションを終えることができました。 昨今、写真に関するワークショップが多岐にわたり開催される中、僕としては六甲山のMei Houseを舞台に、国内にはない特徴のあるワークショップ内容を組み立てるのに腐心したわけですが、アメリカからAmber Terranova氏という六甲山国際写真祭のポートフォリオレビュー、ワークショップでおなじみの写真編集者、そしてここまで3ヶ月間日本で東北地方の震災後の取材を続けてきたMichel Huneault氏、パーソナルワークを立て続けに3冊写真集にまとめて出版している藤原敦氏、Getty Imagesのニュース編集者Yuki Tanaka氏、コミュニケーションの講師として福岡大学のTim Cross氏を呼び、台湾からの参加を含む9名の参加者とともに写真についての活発なディスカッションをしました。 特に、Amberが提示したアメリカミシガン州Flintという街を舞台にした地域コミュニティの光と影、さらに最近話題になった川の汚染問題にさまざまな形で関わりながら撮影する写真家の物語の作り方が非常に面白く、おそらく国内の写真家の視点にはない被写体へのアプローチとストーリーの組み立て方、そして作品の提示方法など、参加者のみならずあらゆる関係者が度肝を抜かれる内容だったと思います。それはもはや写真という枠を超えて、メディアという枠のもっとも先端の尖ったトゲのようなリアリティーのある物語で、みたものの胸に鋭利に突き刺さるようなストーリーでした。 Amberの企みは、写真という枠にとらわれるのか、その枠の向こうに突き抜けるのか、というメディアのありかたの大前提について問うことだったと思います。すでにアメリカでは写真から動画や360度全天球、VRにシフトするアーティストが出始めていて、写真とともに動画を用いてインスタレーションを試みたり、VRなどの作品を並列して展示するなどの方法論についての議論が活発です。従来の展覧会、出版をこえて、すでによりリッチなメディアとして公開する大きなプロジェクトがあちらこちらで動いていて、そういうところにより大きな資金が集まり始めています。個人的に見せてもらった現在動き出しているプロジェクトでは、プロデューサー、アートディレクター、写真家、編集者、音楽家、デザイナーなどがチームを組み、資金集めチームと協業してプロジェクトを進めていく新しいメディアを創設しようとしていて、おそらく現在の出版の賑やかしさなども遠く置き去りにされていくのではないかと考えられるほどリッチで高品位なメディアに育っていくと考えられます。 今回、直前に参加が決まったMichelもそういう写真家の一人です。彼は2013年7月にカナダのLac-Méganticという小さな街で起こった列車事故と、その列車事故が不幸な事故にとどまらず原油を輸送していたことから大きな火災を発生させ、さらにその原油が違法な積載物であることがのちに明らかにされ、土壌や近くの川を汚染させた一連の出来事を取材したシリーズを見せてくれました。列車事故だけでも悲惨であったはずのものが、環境破壊などといったスケールに発展し、平和な町が瞬く間に修羅場と化した事実について、写真家は事故の一報をニュースで知ると、わずか20時間で現地入りし撮影を続けてきました。その後何日間も取材し、息子を亡くしたという父親のインタビューや、町を覆うように作られた奇妙なフェンスを取材し、そしてその後の町の移り変わりなどについても繰り返し繰り返し取材したといいます。この作家も写真にとどまることなく、音声やビデオを使ったインスタレーションを試みていて、写真をよりリッチななメディアに押し上げて発表しているのが特徴でした。 2日目、参加者のプロジェクトがプレゼンされました。参加者は思い思いに自分の作品について話すよう促されるのですが、ここでは日本の、特にこういったプレゼンテーションに不慣れな方特有の説明の足りなさ、感覚的情緒的説明、写真からはうかがい知れない事象への言及などが多く見られました。それが最終日にどのような変化を遂げるのか、というのが今回のワークショップの主眼であるわけで、その後にGetty Imagesの田中さんからニュース素材の編集の仕事、Amberが参加者の作品を編集するというセッション、またコミュニケーションを通じて自分の作品を客観的に眺め、編集を取り入れた作品の選び直しを求めるなどのコメントや意見が交わされました。 夜には藤原さんに3つの出版プロジェクトの編集過程を講義をいただきました。藤原さんには、故長谷川明さんと出版したAsphaltのシリーズの編集プロセス、また自身の3つの写真集の編集について、ユーモアを交えて話していただきました。彼は編集そのものは編集者に任せていて、編集されて返ってきた作品を見ることで客観的な地平から自分の作品を見直していくというプロセスが自分には合っている、ということでした。AmberもMichelも基本的にはそれに同意的で、他者の視点を置くことで写真家は冷静になれるし、誰に提示されるべきか、どう提示していきたいのか、という視点が加わることは何より大切だと話していました。 さらに、出版のプロセスに欠かせない知識を得る場として、印刷所のマネージメントを行う京都・サンエムカラーの飯田さんに講義をいただきました。カラーマネージメント、オフセット印刷の原理を、実際にインクを載せる刷版やカラープルーフ原稿を持参していただきわかりやすく講義をしていただきました。特に、カラーマネージメントの困難さについて、「コンピューターのモニタ画面を見てこの色が欲しい」といくら求めたとしても、実際の色の解釈があらゆるデバイス間で翻訳されて渡されるという現実から、同じ色に整えられることはほぼないため、写真集の場合はプリントとは異なった製作物であると割り切っていく必要があると話されていました。 3日目、参加者の2回目のプレゼンテーションがありました。3日間の学びから編集とステートメントを改良してプレゼンテーションに臨みました。多くの参加者は、より客観的でシンプルなステートメント、さらにいくらか写真を入れ替えてプレゼンテーションをしていました。その結果、より写真についての理解が進み、その後AmberやMichelからコメントやアドバイスを受ける機会が増えてました。 Mei Houseでの3日間を終えて、どのような印象を受けたのかAmberとMichelに翌日尋ねてみました。ワークショップ自体は、アメリカではジャーナリズムのワークショップに近く、基本的な要素組み立てを含むなど、初心者にも上級者にも有効な方法をとったワークショップとの印象をもったということです。さらに、日本人のプレゼンテーションが独特で、私的で感覚的、信仰的、抽象的な用語が多いことに驚いていました。また、参加者全体に共通する問題点として、選ばれた写真にばらつきがあり、それぞれが強くないため何を伝えたいのかわからないケースが多かったが、2度目のプレゼンテーションでは多くは改善されていて、編集を変えるだけで見違える作品が多かったとのこと。つまり、やはりより客観的な他者からの指摘に応えていく形で写真のメッセージを磨いていくと、写真のストーリーはもっと効果的に伝わっていくのではないか、ということでした。世界的な写真への理解が足りない点への言及もありました。 3日間、びっしりと詰まったワークショップでしたが、参加者の皆さん、ご苦労様でした。これからもMei Houseの写真プログラムは、国内にないワークショップを六甲山や東京で試みていきます。特に、写真表現にとどまらず、今後発展していく可能性のあるメディアの手法を取り入れた世界最先端の表現方法などの検討を、NYに本拠を置くプロジェクトと共同で開発していく予定です。 [...]

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Mei Houseとは?

By |2016-02-13T09:53:42+09:002月 13th, 2016|2016, Mei House, Mt.ROKKO, NEWS, Workshop|

2月19日から六甲山上のMei Houseにおいて写真ワークショップのプログラムが始まります。 Mei Houseは、2014年2015年のMt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVALの宿泊、レセプション会場として使われた宿泊施設です。2014年に偶然見つけて、オーナーの方に無理にお願いして六甲山国際写真祭の宿泊施設として使わせていただくことになりました。素晴らしいロケーションと景色、宿泊してみるとアットホームなまとまった雰囲気があること、そしてオーナーのケアが行き渡っていることなど、この上ないMt.ROKKO体験ができる素敵な場所であることから、いつか定期的なワークショップ開催ができればと六甲山国際写真祭の参加アーティストやレビュワーたちと夢を語っていたのが実現したものです。最大18名宿泊が可能で、景色のいいテラスをもち、暖炉のある大きなダイニングやちょっとしたミーティングが可能な本格的会議室があります。自炊できるキッチンもあるため、宿泊しながら濃厚なワークショップ開催が可能です。夏には施設内テラスでBBQが可能で、2015年にはなんと60名近い参加者を収容してプレゼンテーション、レセプションを開催しました。 今後RAIECでは、Mei Houseを使用して国内海外からの有力な専門家を呼び、写真アートやメディアに関するワークショップを開催してまいります。 現在のところ、7月に写真コミュニケーションワークショップを予定しているほか、8月25日から開催予定のMt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVALでは、宿泊、ワークショップ会場となる予定です。 お楽しみに。  

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Mei House Photography Programs Vol.1のご案内

By |2016-01-11T15:34:58+09:001月 11th, 2016|2016, Mei House, Mt.ROKKO, Workshop|

Mei House Photography Programs 第1弾 「写真編集の大切さ/写真シリーズを作る・写真集出版への足がかり」 開催目的 写真シリーズは、アートからジャーナリズムにわたるまで、展覧会、記事、写真集出版という出力構成にかかわらず、編集がそのシリーズの良し悪し、メッセージの強さを決定する上で重要な役割を果たします。また、作品にわたる言語的構成、すなわち起承転結、目的・方法論・検討・結論といった構成上の組み立てがシリーズの評価を受ける上でますます重要なファクターとなっています。RAIECでは、世界に通用する写真家を育成する立場から、六甲山上にあるMei Houseにおいて表題の写真キャンプを開催します。   開催地 神戸市六甲山 六甲サロン Mei House(愛称)   開催期間 2016年2月19日(金) - 21日(日)   講師 Amber Terranova shilt publishing [...]

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Angkor Photo Festival

By |2015-12-13T04:42:40+09:0012月 13th, 2015|2015, Mt.ROKKO, Organization, Portfolio Review, Slideshow, Workshop|

11th Angkor Photo Festivalが終わりました。僕はポートフォリオレビューにレビュワーとして参加し、2日間で14名以上の写真家のレビューをしました。僕自身Angkor Photo Festivalに参加するのは2011年以降4回目。毎年子供たちの自立支援プログラムを支援したり、新しい写真専門家や写真家に会って写真の現在を学んでいるわけですが、ある意味Mt.ROKKO INTERNATIONAL PHOTO FESTIVALなどのプログラムにプロジェクトを呼び込むネタにはこと欠きません。今年も例年にもれず美しい写真に出会ったし、このフェスティバルがアジアを代表する強い写真のフィールドだと改めて感じたりしています。Antoine d'Agata氏やSohrab氏などのマグナム組、それ以外にもKosukeOkahara氏など強力なワークショップのTutor陣に引き寄せられて、アジアのみならず欧米からも数多くの写真家が訪れているのも特徴です。 レビュー参加者の一人 アジアからは、マレーシア、シンガポール、台湾、タイ、中国、韓国からたくさんの写真家がワークショップを訪れていました。今年のショーケースは中国、台湾の写真家が招待されていたほか、カンボジアの写真家でこのワークショップ出身のレミッサ・マク氏の素晴らしい作品がフェスティバルセンターに置かれていました。連日のプロジェクションでは世界中のジャーナリズムの中からコーディネーターであるFrançoise Callier氏のセレクションでスライドショーが繰り広げられました。これは六甲山国際写真祭でも取り入れているプロジェクションですが、膨大な写真家データベースを駆使し、周到な準備、完璧で流れる波のような抑揚のあるショーで、本当に素晴らしいの一言。世界的な諸問題、戦争、紛争、格差、差別、人権、環境、暮らし、発見などあらゆる問題をフィーチャーしていて、羨ましい限りでした。 ポートフォリオレビュー会場 日本人は残念ながら六甲山からは八木玲子さんが出版ワークショップに、林典子さんと渡邉博史氏がプロジェクションに誘われたのみで、六甲山国際写真祭参加者の2名の写真家がポートフォリオレビューなどに自主参加するのみでした。写真のストーリーの描き方、モチーフを組み立てる作業、編集、技術にいたるまで、あらゆる写真の要素について、本当に豊かなヒントを得られるこういったフェスティバルに日本から自主参加する人が少ないのは、ある意味日本の世相やコミュニケーション能力をそのまま表していると思います。同じアジアの国々から活発にチャンスをうかがって参加する写真家が多いのとは対照的で、色々考えさせられます。アジアの写真家たちがこのフェスティバルを目指してやってくるのは、いろいろインタビューしてきましたが、やはり写真のテーマや表現へのヒントが得られるからで、多くの若い世代の写真家はそれぞれのネットワークでこの写真祭の素晴らしさについて語り合っていると言います。写真の活動が少なくても何とか上達し世界に羽ばたきたいと願うアジアの写真家にとって、こういった写真祭はアイデアの宝庫です。たった1週間滞在するだけで写真表現の根本が変わるくらいこの写真祭のワークショップやプロジェクションのインパクトは強烈なのですが、全体的に見てみると日本では活発に動いている日本人写真家や専門家たちがそのことに気がつき世界に学びを得るために動きだすのにはもう少し時間が掛かるのかもしれません。 Zalmai氏のプロジェクション(2014年六甲山国際写真祭メインゲスト) 写真の美的な要素とともに、世界的な諸問題、戦争、紛争、格差、虐待、差別、人権、環境、暮らし、発見などの問題は人類共通の話題です。すぐれた写真家の要件があるとすれば、こういったテーマにどれだけ寄り添えるのかという一言に尽きるわけで、現代社会においてはジャーナリズムに限らずアートの分野でも避けて通れないのが現実です。そういうテーマが欠け落ちても写真活動そのものが成り立ってしまう国は日本の他にはない、というのが海外から見て取れる日本の写真の共通認識になりつつあるのがとても残念に思えました。こういったイベントに限らず写真家データベースに載るための努力を誰がしているかというと、残念ながら日本の写真コミュニティーは何もしていないのが現実です。もっとも、写真のメインストリームに立てる人は海外であってもごく一部です。それぞれの人がそれぞれの立場で、たとえ小さなストーリーでも誠実に写真を撮り続けること。そして他者が見て何かしらメッセージが含まれる作品を作りたいのであればそれがどういうものであるべきなのか、写真家を名乗り表現を続けたいのであれば考え続ける必要があるわけで、日本の写真家の中には小さなきっかけで世界に渡れる実力のある人たちも確かに少なからずいます。短い滞在でしたが、きっかけを作るという意味で六甲山国際写真祭を含めた写真をサポートする立場としての僕自身のミッションにも大きな気づきのある滞在でした。

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